先日目黒であった悲惨な児童虐待事件がありました。子供の書く反省文みたいな気持ちが綴られたあの文章は並大抵のものではありません。事件はどこにでもありがちな新しい子は可愛がり、元の妻の連れ子を疎ましくなりネグレクト状態にして殺してしまった殺人事件です。まさしく人間でなく鬼‼️畜生道に堕ちてしまったと言わざるを得ない事件です。
それから半世紀くらいに前の映画になります。子供の時にテレビで普通にオンエアされているのを観てしまったもので、救いようのない結末に、容赦ないバイオレンス描写にアングリで私的には「ゾンビ」「悪魔のいけにえ」「サスペリア」をも凌ぐマイトラウマナンバーワンな作品です。
ガッチャマンの歌を歌って遊んでいる利一(6歳)良子(3歳)庄二(まだ乳呑み子1歳くらい?)に団扇をパタパタあおいで苛立っている菊代(小川真由美)は支度をして出かける。菊代たちの向かった先は埼玉県川越の竹下印刷。ここの主人の宗吉(緒形拳)は菊代の急な来訪に顔が蒼ざめる❗❕
菊代と宗吉は不倫関係であり、しかも嫁のお梅(岩下志麻)とは子供が出来なかったのに菊代とは3人もの隠し子をこさえていたのであった。
竹下印刷が好景気の時は何とかなったのかもしれないけれど、火事を起こしたりして火の車状態に陥り、菊代たちに生活費の仕送りが出来なくなってしまったのだ。いくら催促してもなしのつぶてな宗吉に業を煮やして駆け込んで来た菊代にお梅は「玄関先で騒ぐんじゃないよ。みっともない泥棒猫じゃないんだから入ってお話ししようじゃないの?」と逆上しないで冷静なのが逆に怖いッス😕
ハイ(^o^ゞ修羅場勃発です。板挟みでオロオロヽ(д`ヽ)する宗吉に志麻姐さんと真由美姐さんのバトルがおっ始まる‼️どうにかしてもらうまでここに居座り続けると宣言する菊代に知るか❗勝手にしろ❗なお梅。困惑してお家に帰りたがり泣き出す子供たちに、ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿アワワワしてる宗吉。
夜が更けて、はっきりしないフニャフニャな態度を取り続ける宗吉に怒りのアフガンな菊代はぶちギレて「鬼畜生‼️それでも人間か‼️ホントはわかってんだよ何をあんたがムカついてんだか?自分に子供が出来ないのに三人も作られたからだろうが?亭主はあんたに返してやるよ‼️大切に金庫にでもしまっときな❗❕❕そのかわしね~子供たちは置いてくかんな‼️‼️」と利一たち3人の子供たちを置き去りにして出てってしまう‼️‼️
血相を変えて菊代を追っかける宗吉だが、菊代を見つけることは出来ず、あきらめて家に帰ると仁王立ちのお梅が懐中電灯で子供たちを照らしていて「あんたの子❔だって?フンッ似てないよ❗」と吐き捨てる。翌日宗吉は子供たちを連れて菊代の住んでた家を訪ねるがもう既にソッコーで引っ越した後でどうにもならなかった。家に帰りづらい宗吉は子供たちを夕方まで川越ピープルランドで遊ばせていた。
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宗吉は最初は慣れない子育てに奮闘しながらも仕事をしていた。自分の子供たちに責任と愛情を感じていたのであろう⁉️だが全く赤の他人の子を押しつけられたお梅からしたらたまったもんじゃない❗子供たちは憎しみの対象でしかない。試し刷りのコピー紙でお絵かきしている利一の耳を引っ張る‼️ろくに風呂に入れてもらえない良子の頭に洗濯洗剤をぶっかける‼️食卓のご飯で遊んでいた庄二の口にムリヤリ飯を押し込む‼️とまあ現在じゃオンエア不可能なバイオレンス虐待てんこ盛りです。
お家に帰ってからも気が休まらない宗吉。お梅は当然ながら子供たちの面倒は見てくれないので、宗吉は育児と仕事をかけもちしている。容赦なく利一をひっぱたくビシビシ音を聴いて、従業員の阿久津(蟹江敬三)が
「地獄だね」とぼやく。
元来気の弱い宗吉は「おばちゃんのそばに行っちゃダメだぞ」と子供たちに言い聞かせるくらいしか出来なかった。
ある夜、宗吉は利一に起こされる。「庄二があぶくを吹いてる❗」と言っている。宗吉は小児科に庄二を連れて行く。医者から「栄養失調だ。単なる腹壊しだと侮っていたら小さい子にとっては命取りになりますよ」と警告される。
利一と良子は家にいるといつお梅に叩かれるかわかったもんじゃないので石板印刷の石を遊び道具に公園で暗くなるまで過ごしていた。その間も他の子が普通にお母さんに迎えに来てもらって一緒に楽しそうに帰るのを恨めしそうに眺めていた。
お梅が上から物を取り出そうとしていて、バサッバサッと物が落ちる。ビニールのシートが衰弱してグッタリしている庄二の上半身にすっぽりと覆い被る。宗吉はそれを見て一瞬考える。
夜、宗吉が帰ってお粥を作り庄二に食べさせようと持って二階へ上がると……………
まだ庄二にはビニールのシートがかかったままで息をしていなかった❕❕❕❕❕❕❕❕❕❕❕
宗吉は慌てて小児科に駆け込むが庄二は死んでしまった(´;ω;`)
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夜お梅は宗吉に「助かったと思ってんだろ?これで一つ肩の荷がおりたろ?」と獣のように雄叫びを上げて「ァァ💦あのガキたち見てるとさ。あの女を思い出して気が狂いそうになるんだよォォォォォォ❗」と激しく宗吉に求めてくる❗❕宗吉は無言で応える。
お梅も宗吉もわかっていたのである。衰弱しきっている庄二は重いビニールのシートを払いのけることも出来ずに窒素死したのである‼️‼️
これですっかり宗吉からも子供への愛情や父性はすっかり消し飛んでしまう( ´Α`)
利一と良子は庄二の墓前で花を手向け水を与えていた。
宗吉は良子を一人だけ川越からはるか遠くの東京浜松町にまで連れて来ていた。利一はあちこちを懸命に探し回っているとお梅が良子の人形とかをゴミ箱に放り込んでいた。利一には嫌な予感がしていた。
宗吉と良子は東京タワーのレストランで二人で食事をしていた。良子は宗吉の耳元で「ヨッコはお父さん好きですよ😃」
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無垢な心に胸を打たれます❗❕😢
と囁く。宗吉は「お父ちゃんの名前知っているか?迷子になった時に住所言えるか?」と訊ねる。良子にはまだ幼すぎてそんなことは答えられる訳がない。宗吉は良子に望遠鏡で辺りを見回すようにとやってる間「父ちゃん便所に行ってくるから待ってろ」と言って、そのままエレベーターに飛び乗る❗❕
エレベーターが閉まる直前に辺りをキョロキョロ見回す良子と目👁️が合う宗吉だったが、躊躇いを振り払って、そのまま逃げるように山手線に乗車する。良子が住所や父ちゃん母ちゃんの名前を言えないのを了承してでの確信犯的なネグレクト置き去りである。
理性のタガがすっかり外れた宗吉とお梅に利一は「ヨッコどこ?」と尋問するかのように問い詰める。宗吉は遠い親戚のとこにやっちまったと苦し紛れに適当なことを言ってごまかす。
利一は単独で電車に乗り、以前菊代と住んでいた家へ良子を探しに行くが、もう既に別の家族が住んでいて幸せそうな光景が、ごく一般的な家族の姿がそこにあった。
利一は結局一人でいるところを警察官(田中邦衛)に保護されてパトカーで竹下印刷にまで帰って来る。宗吉とお梅はパトカーを見て「ギクッΣ(・∀・)ギクッΣ(・∀・)」もしかして警察に捕まっちまうでねえか?と気が気じゃなかった。
警察官に「お宅のお子さんは賢いですね。ちゃんとお父さんの名前とここの住所もキチッと言えました」と褒められる。
最後の利一の始末を決意した宗吉は、お梅から青酸カリを預かり、利一と二人で上野動物園に行く。途中の売店で菓子パンを買う。これで準備オッケー。
二人であたかも普通の親子である。パンダやお猿さん、北極熊などを一通り眺め、とっぷりと日が暮れる。石板で一人石蹴り遊びをしている利一に、悲壮な顔をしている宗吉は青酸カリ入り菓子パンを利一に与える。利一はパンをほおばるが「苦い⁉」と吐き出してしまう。プッツン切れた宗吉は利一に青酸カリ入り菓子パンをムリクリにねじこもうとする。でもその現場をカポーに目撃されてしまう‼️
我に帰った宗吉に利一は屈託なく「帰ろう」と言う。宗吉は自分のした鬼畜非道な行為に戦慄してしまったのか?思わず泣き出してしまう。
始末したかと思っていたお梅は相変わらずグズグズで態度が煮え切らない宗吉に「熱海の錦が浦とかなら落ちたら何日も遺体が上がらないって言ってたよ…早よ利一を伊豆の奥でもどこでもエエからとっとと始末して来いや‼️」と急かされる。
数日後、新幹線に乗り込む宗吉と利一。利一は当然ながら新幹線になんか乗るのは初めてであろう?とても嬉しそうである。小田原、熱海を通過し宗吉はなかなか踏ん切りがつかずに新幹線の車掌に乗り越し料金を払い、一気に岐阜の米原まで来てしまう。そこから乗り換え北陸方面へ行く。そして宗吉と利一は絶壁断崖の名所福井の東尋坊までやって来る。ここはかつては自殺の名所でもあった。東尋坊の荒波を恐れることもなく先っちょの方に行って平気で海面を覗き込んでいる利一におっかなくて腰が引けている宗吉。もしも利一の握っている手を離したら……チョイっと肩から一押ししたら…と考えがよぎる宗吉だったが、どうしても最後の一歩は踏み出せず、さらに電車に乗り裏日本、北陸能登半島まで来てしまう。日本海の海岸を歩き回り居酒屋で晩飯を済ませこの日は旅館に宿泊する。海で捕まえてきたヤドカリで遊んでいる利一に、したたか酔っている宗吉は自分の身の上を語る。
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最後の親子のふれあい‼️か⁉
幼くて物心がつかないうちからオヤジは死別していて顔も知らず、おふくろも小さい頃に出てって行方不明になり、その後は親類知人をたらい回しされどこへ行っても厄介者扱いされ、学校で昼の弁当の時間に飯が無くて校庭に出て一人でボッチで過ごしてたこと。やっと成長して奉公に出されて初めてのお給金が貰える!これで饅頭買ったりうどん食ったり出来るってワクワクo(^o^)oしていたら、奉公に出してくれた叔父が借金まみれで宗吉の給料を雇い主から向こう何年分も前借りしていたからびた一文も貰えない。その時悟ったな俺は捨て猫みたく捨てられたんだな😢ってな~と自分のドン底不幸な境遇を利一に語って聴かせるが、いつしか利一は寝落ちしていた。
旅館をチェックアウトして、宗吉は利一に虫取りセットを用意してあげて、遊覧船に乗せてあげて夕方までめいいっぱい利一を遊ばさせてあげる。段々と日が暮れて来て、遊び疲れた利一は宗吉の腕の中ですやすやと安心して眠っていた。
「利一。起きろ利一……」と呼びかけるが全く疲れきっていて無反応なのを確認した宗吉は真っ赤な夕焼けが海面を赤く染める中、崖の上で抱っこしていた利一を物をポイッと捨てるかのように、スルッと滑り落とすかのように利一を海に落としたのである‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️‼️
宗吉はすぐさま虫取網やその他利一の持ち物すべてを海にポイポイ捨てて証拠隠滅をしたあとそそくさとその場を逃げ去る・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
パトカーのサイレンが鳴り響き、警察や地元の消防団の人たちや漁師のオッチャンたちで海岸は騒然となっていた‼️
利一は崖から落とされたが、松の木に引っかかり海への落下は免れて一命をとりとめ、幸いに軽傷で済んだのであった。
利一は警察に保護される。利一を優しくなだめるように諭すように状況を訊ねる婦警さんの役にまだ若い❗大竹しのぶさんがやっております。しかし利一は警察の尋問に一言も答えず、完全黙秘状態で住所も名前も父親に何されたか?も一切口を割ろうとはしなかった。婦警さんが優しく話しても、オジサン刑事が厳しく問い詰めても何をしてもダメ❌であった。警察がほとほと手を焼いていた時に印刷業者の人が注文された名刺を届けにやって来ていて、利一の唯一の持ち物であるポッケにに入っていた石蹴り遊びの石を見て「これは珍しいですな?今時石板印刷の石なんて使う業者はそうそうないですよ😃」と教えてくれる。これで警察は操作の糸口を掴める‼️‼️
竹下印刷で今日も普通に仕事をしている宗吉とお梅。長年勤めてくれていた阿久津が年老いた親の看護のために仕事を辞めるので見送っていた。阿久津が竹下印刷を出てった直後に石川県警の刑事たちが竹下印刷に入り、竹下宗吉を逮捕する❗❕❕❕
宗吉は利一が生きていたことを知ってホッと胸を撫で下ろした態度を取っているのに警察も首をかしげる。新幹線に乗ってさらに乗り継いで遥か能登半島の石川まで宗吉は連行される。
刑事のオッチャンが「オマイのせがれはどんなに尋問しても絶対に口を割ろうとはしなかったんだよ!あんな目に遭わされてもな!やっぱり親子なんだよな!よく罰が当たらなかったな?謝っても謝りきれないだろ❗」と宗吉をなじる。
利一が連れてこられ「さあ?あの人がお父さんだな?」と刑事に促されると利一は……………………………
「違うよ‼️父ちゃんじゃないよ‼️知らない人‼️よそのオジサンだよ❗❕❕」
と言い放ったのであった。宗吉は利一の前でガックリ膝まづき
「堪忍してくれ‼️利一‼堪忍してくれ‼️利一‼」
と泣き崩れるのであった。
ワタクシにとっての生涯忘れることの出来ない傑作であります。最後の親子の再会は涙なくして見れません。殺人と言う十字架を背負わずに済んだ宗吉はこれから三人の子達への虐待の罪状を突き詰められ破滅しかありません。利一にとっても親から捨てられたみなしご孤児のような感じで育っていくことになってしまいます。いずれにしても到底ハッピーエンドにはなれない悲惨で絶望的な結末です。
原作は松本清張の短編で監督は野村芳太郎、で随所にかかる庄二のおもちゃのオルゴールの音と「ジョーズ」のようなドヨンとしと迫り来るような音楽は芥川也寸志と鉄壁の布陣です。まだ若い❗緒形拳、岩下志麻、小川真由美、蟹江敬三、大竹しのぶなど昭和を代表する役者さんたちの怖いくらいの熱演と、この頃の野村芳太郎監督の作品はマジに人間の心の暗部を抉るような怖い((( ;゚Д゚)))作品ばっかしでまだガキンチョだったワタクシも深々と心に突き刺さるヤツがいっぱいあります(「砂の器」とか「震える舌」とかほぼほぼ「鬼畜」と同様な「影の車」とか「真夜中の招待状」とか)
とうとう無事に200レビューすることが出来ました。これからもワタクシの趣味活動に付き合ってくれる方、偏狭的な映画の趣味の方は、これからもアメーバブログがなくならない限りは地道に続けて行こうと思っています。よろしくお願いします(*^^*)