ガブリエル・マルセルに寄せて (詩と音楽) | 色と祈りと歌うこと - Hidetake Yamakawa (山川英毅)

色と祈りと歌うこと - Hidetake Yamakawa (山川英毅)

自分自身の中に豊かにある深いものに触れて、元気や安らぎを得るのに「色と遊ぶこと」や「自分で歌う」ことが欠かせないない気がしています。
色・音の作品や「発声法」などについての気づきもシェアしていきます。

哲学者ガブリエル・マルセルに寄せた私の言葉に音楽を併せた動画を作りました。

 

 

 

 

 

 

==

音楽の魂を持っていた哲学者ガブリエル・マルセルが日本の大学で講演会を行ったとき、講演後、喜悦に満たされた学生たちは彼を胴上げして見送ったという。

 

同じ実存主義哲学者のサルトルが同じように日本で講演を行ったときは、緊張した静寂さで学生たちは眉間にしわを寄せていたという。(サルトルとマルセルの日本での両方の講演会に参加したことのある知人からこの話をきいた。)

 

音楽家としての感性、素養も高かったというガブリエル・マルセルは、「実存」を孤立のペシミズムに連なる方向としてではなく、固有の豊かな生命の受肉ととられ、人間の個別の生と存在の光を丁寧に解き明かしていくまなざしを持っていた。

 

 

マルセルの中には、いわゆる瞑想的な境地、反省的意識に自己を分離しすぎないで、自己の存在に寄り添い和解する境地としての「潜心 (recueillement)」が語られており、それは「心の和らぎ (detente) や、自己放下 (abandan)を伴う」「自分の統一を撮り戻す行為」であるという。

 

この動画は彼の著作の内容によりそった私のメモつぶやき(?!) のようなものと歌です。

===

『ガブリエル・マルセルに寄せて』

 

世界に在って世界の内でもある「私」

完全に外に置くことのできないものだから
その不思議な奥行に私たちの知は迷ってばかりだ

個別のいのちの深みの謎を
慈しむようにみつめ続けた哲学者に倣って

私は厳かに内に潜み
世界の鼓動を回復する

痛みと涙を持つ「私」を
春にうずく野に、今、置こう


歌が始まる

==

ガブリエル・マルセルの多くの著作を翻訳した私の恩師、三雲夏生先生は小説家、遠藤周作と共にフランスに留学し、テイヤール・ド・シャルダンやマルセルなどの著作を日本に紹介した。三雲先生の翻訳や数多くの独自の論稿を最近読み返しながら、その内容の重みと輝きに改めて驚愕している。

三雲先生についてはまた改めてお話します。

 

いずれにしても静かに高まってくる春の予感は、やはりうれしいものですね。。

 

 

Music: "Mahmant" for piano and vocal (Hidetake Yamakawa)