昨日は長男の運転で上野毛カトリック教会へ!
ガウディの日本への紹介者としても有名だが、シュタイナーに最も魅かれていた建築家、今井兼次が建築したこの木造の教会!幼いころから私の魂の声と音はここで育てられた。
従弟の建築写真家の渡部信光が、この聖堂に細部の細かな意匠に至るまで、今井兼次が並々ならぬ深い霊性の意図をもって敬虔にもりこんだ驚くべき創造を、地道に何年もかけてさまざまな角度から解明していて、それが上野毛の教会報に連載されている(彼の写真と併せていつか書籍化されることも希望!)。
その詳細はまた改めて書きたいが、家族のそれぞれが新たなフェーズに向かっている大切なタイミングで、長男と二人この聖堂にたたずみ心を澄ますことができたことは本当にありがたかった。
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上野毛教会は沈黙の祈りを大切にするカルメル修道会の教会。この会の最も重要な霊性の聖人の一人、十字架の聖ヨハネの奥村一郎訳の「カルメル山登攀」が今年ちくま学芸文庫から出版された。
東大の哲学教授、トマスに関する優れた著作もたくさん書かれている山本芳久さんは、「キリスト教神秘主義の最高峰が文庫化」「禅の精神を生きた奥村一郎神父による、これを超えるのは不可能に近いほどの名訳で、キリスト教神学最高の達成の一つ」と紹介されている。
キリスト教神秘主義の最高峰が文庫化されます。ちくま学芸文庫から一月に刊行される、十字架の聖ヨハネの『カルメル山登攀』です。禅の精神を生きた奥村一郎神父による、これを超えるのは不可能に近いほどの名訳で、キリスト教神学最高の達成の一つに触れる絶好の機会です。https://t.co/tfnbVp87yf
— 山本芳久 (@201yos1) December 28, 2024
この本の序文をルチオ神父が書かれていた。本当に小さな子供のころからお世話になった、いつも陽気にいろんなユーモアと笑いの元気な神父様で、でも「クリスト」というときのすべてのRが強力すぎるイタリアネイティブの巻き舌で、高い鼻と口腔空間に響くその声は子供にこわいくらい?!の強力な声と笑いのエネルギーだった。この序文には十字架の聖ヨハネの霊性に寄せた、アウグスティヌスやベルグソンまでも引用したルチオ神父の精緻で気高い高みを仰ぎ燃える声があり、あのユーモラスで底抜けの明るいお人柄はこの深みに支えられていたのか、と改めて知る思いだった。
難しい言葉で大人の話はしたことはほとんどないのに、小さなふれあいの中でも本当にたくさんのものを与えていただいていた。それらが一瞬であふれるように流れ込んきて分かって、涙で文字が読めなくなった。
本当に謙虚に深く、光を仰ぎ続けて霊性の高みに向けて慎ましく生き続けた方々がたくさんおられる。そして、それぞれの垂直性の中で高く深く仰いだ。眼に見えるものだけが残されたわけではないだろう。それでも、残されたささやかな尊い痕跡は、私の垂直性の中で受け止めなおし、ていねいに見つめ続けていきたい。