春の雪山はどこに行こう。

吾妻連峰の滑川温泉を歩いた時にちょっと気になっていた山 栗子山1227m。

登山道は無くて積雪期限定の山。

米沢から栗子隧道見学に来る人がいるようだ。

隧道見学のためにはゲートから4㎞ほど歩く。 

栗子隧道は米沢と福島の県境を結ぶトンネルで明治時代に開通した。

奥羽本線開通で使用されなくなった。

その後自動車道路は別ルートにて栗子トンネルの名は残る。

 

ヤマップ記録を見ると栗子隧道より先は急傾斜もあり

ピッケルがあった方がよさそうだが4月に入れば不要と判断。

 

米沢でレンタカー借りれば日帰りも可能。

天気予報の良い日を見計らって計画。

アイゼン・ワカンを小さなザックに入れ、AKUの靴は袋で持参。

 

2024.4.5

小竹向原(0527)-電車新幹線前池袋・大宮経由米沢(0820-35)-車栗子隧道登山口ゲート565m(0900-0912)-栗子隧道850m(1030-40)-杭甲山・栗子山鞍部1120m(1120)-杭甲山1202m(1136-59)-鞍部経由栗子山1217m(1231-47)-栗子隧道登山口ゲート(1437-47)-車鷹山の湯温泉(1505-45)-車米沢駅(1625-43)-大宮・池袋経由小竹向原(1930)

 

米沢駅の駅レンタカーはトヨタレンタカー内にあった。

ナビで米沢砕石(株)をセットして出発。

30分弱で(時速20㎞制限の)米沢砕石㈱の構内に入る。

事務所で名前を記入して栗子山方面に行く構内入場の手続き。

萬世大路散策のパンフレットを頂く。

ゲートは200m程進んだ所にあり手前に駐車。

駐車は3台くらい可能か?

 

靴を履き替えてスパッツ・ストックで出発。

 

ゲートから少し歩いたところ

萬世大路にこのような案内がある。

萬世大路と大げさな名前だが隧道開設時に明治天皇が来たとのこと。

 

この辺りから雪道になり、サングラス着用。

ゲート565mから栗子隧道抗まで

標高差が300m近くあり途中の雪道も少し潜る。

 

少し汗をかきながら1.5時間で栗子隧道に着いた。

 

栗子隧道

明治初期に作られたものとは別の昭和のもの。

入口の雪はトンネルの上から落ちたもののようだ。

栗子山隧道(明治14年竣工)と栗子隧道(昭和11年竣工)2本がすぐ近くにある。

 

山形県令 三島通庸の和歌

 

ぬけたりとよふ(ぶ)一声に夢覚めて通ふもうれし穴の初風

明治9年に米沢から福島に抜ける栗子隧道を開鑿した。

初代山形県県令の三島通庸は福島経由の交通が大事と土木事業に注力した。

竣工は明治14年。

 

氷筍

 

昭和の栗子隧道のすぐ隣に明治の栗子山隧道がある。

入口の幅・高さも小さくいかにも手作り感のある隧道。

そこには氷筍がほんの少し残っていた。

 

栗子山

 

これから行くルートを見回す。

ルートは坑道入口から東方面の右側の林の中の谷沿い。

谷は雪崩の危険が高いがこの谷はブナ林も多く今の時期は雪崩の可能性が低い。

それでも気を付けて行こう。

 

古いトレースらしきがある。

ワカン着用を考えたがツボ足でもそれほど沈まない。

北斜面は日当たりでも気温は低いようだ。

ツボ足でほとんど沈まず、キックステップで進む。

雪崩の起きそうな地形ではジグを切ると雪崩を誘発しかねない。

広い斜面ではなるべく直線で進む。

 

急斜面ではアイゼンも考えたが、

足付け根まで踏みぬいたりして、枝を踏みながらの歩行はツボ足のほうがいい。

下りはアイゼンが必要かなと考えながら進む。

急斜面では枝をつかみながら体を持ち上げる。

 

鞍部近くに来て振り返ると絶景

 

飯豊連峰が白い壁になっている。

中央に栗子川からの水窪湖。

中央左より高みが飯豊本山2105m、右寄りの高みが朳差岳1636mか。

 

鞍部に登ると蔵王連峰が見えた。

一気に南の杭甲山を目指す。

 

12時前に杭甲山(くわこやま)1202mに着いた。

 

朝日連峰と置賜盆地

 

すこし左寄りに祝瓶山1417mの鋭鋒がわかる。

右の高く見える山が大朝日岳1871mか。

置賜という地方名(以前は県名)を山形テレビの天気予報で知った。

米沢市を中心とした山形県南部地方を置賜地方という。

 

中央手前は七ツ森1219m 後方に蔵王連峰

左の後方が熊野岳1841m、右の高みが屏風岳1825m。 

 

飯豊連峰

右下に登り始めた米沢砕石が見える。

 

西に吾妻連峰

左の雪のある一切経山1949m、右が西吾妻山2035mであろう。

 

杭甲山から栗子山

 

地元では杭甲山1202m を栗子山と呼んでいる。

(萬世大路のパンフレットに印刷されている)

左の丸い山が地形図の栗子山1217m。

 

笹が多い斜面は雪が融け落ちている。

気温にもよるが今年は後2週間ぐらい藪漕ぎなしで大丈夫?

 

鞍部に戻って栗子山に向かう。

ほぼ雪の上を歩けそうだ。

風もなくシャツ1枚で雪の上を歩ける幸せウインク春山の醍醐味。

 

栗子山山頂付近

月山が薄く見えた。

栗子山の三角点はこの辺り。

予定より時間も早く降りることができそう。

 

鞍部付近から杭甲山

 

鞍部からの下りでアイゼンを考えたがツボ足のほうがより安全か。

気温も少し上がりキックステップで滑落はなさそう。

 

無事栗子隧道まで戻り一安心。

 

一枚岩を滑る春の水

 

ヤマドリが急の闖入者に驚いて飛び立った。

来る時より少し伸びたフキノトウを少しお土産に。

 

レンタカーに戻ったらレンタカーの白い車に泥が跳ねて汚れていた。

ゆっくり走ってきたつもりだったが。

 

時間の余裕があるので米沢市の風呂に寄って行こう。

ナビでセットして無料の高速経由で鷹山の湯に行った。

平日でも地元の人で混んでいた。

風呂後に米沢ラーメンを頂いた。

 

車を返却して予定より早めの列車で帰京した。

新幹線とレンタカーを使えば行動範囲がさらに広がる。

地形図を見直したらここも分水嶺だった。

烏川~摺上川~阿武隈川~太平洋、栗子川~梓川~最上川~日本海。

 

登山中は水は1L程度しか飲まなかったが新幹線で1L近く飲んだ。

ワカンとアイゼンは終始ザックに入れていた。

洗う・干すなどの手入れ必要なく戻せる。

 

東京はずっと曇りから雨の天気だったらしい。

 

標高差:652m

氷筍のやがて消え去る定めとて

 

終わり