フランス鴨を、人づてに仕入れ。


塩漬して、いざ勝負。


ガラは2羽分、これで出汁を。


製麺業者さんは、何もしなくても麺つゆを水でのばせば、と言いましたが。


私に、思案と経験あり。


このガラを、活かすんだと。


そこは、命をいただく者の腕の見せ所。


構想は、経験と共に。


数多の失敗経験も、今は武器。


成功に、近道なし。


クーラーボックス、パンパンに詰めて。


無論、仕入れた麺も、きっちり保冷して。


宿、到着。


食材は、すぐに冷やす。


山菜の王様、ミズを採りに。


長野県から来たという、旅人と共に。


気づいていました。


スーパーに並ぶミズ、お値段高め。


これは、現場で何かが起きていると。


案の定でした。


小雨、高温の今年前半。


ミズが細い。


それでも、季節の山菜をフランス鴨と合わせたい。


赤ミズは、加熱してもビタミンC壊れない。


今日の美味しいは、明日の健康のため。


それを、形にして行きます。


開店直後の魚市場にて、私の目はギラつき。


季節のもの、その中でも旬のもの。


さらにそこから、目利きをして。


宿にて、即席居酒屋の始まり。


届いたイノシシと鹿肉を低温調理。


フランス鴨も。


結果として、鴨そばにミズで季節の色合いを添えることができました。


「ご馳走」とは、自らの足で探して走り回る事。


お金だけで、解決はしません。


納得のいく食材で、納得の味と健康を。


「そんなに手間かけて、採算合うのかい?」


イベント後、宿の女将の言葉。


女将は、様々見抜いている人です。


採算というより、作り手としての意地です。


譲ることはできません。


と言うより、手を抜いた料理の作り方がわかりません。


ある意味、不器用なのかも知れません。


美味しさのためには、手間を。


良い食材には、良い調味料を添えて。

地元産マグロ、ヒラメの昆布締め。


北海道産、磯つぶの煮付け。


新物、大間産そうめんもずく。


鯛の酢締め、卵黄添え。


フランス鴨、グリル。


皮が厚くて、塩漬にはもう少し時間差を考える必要を感じる。


満点はない、むしろ課題は明日への糧。


豚バラ、ミズ炒め。


これが食べたかった、ウマヅラハギ薄造り肝添え。


長野県から来た若者は、飲食経験者で。


ずいぶん、助かりました。


飲食を知らないと、わからない仕事があります。


私が外している間にも、現場を見て仕事を進めてくれました。


「飲食経験者じゃないと、この仕事わからないよね」


「なんかさ、会話交わさなくても仕事を進めてくれると感謝しかないよね」


そんなこんなで。


蕎麦、好評でした。


ガラを茹でこぼし。


生姜を効かせて、煮込んではアクをすくい。


でも、生姜臭くはしない。


結果、誰も気づかない、もしくは「あれ?」くらいの。


浮いた脂をすくい、コクを残しつつスッキリと、そう考えました。


流水30分、粗熱を取り冷却。


この「寝かせ」にて、ガラや肉から風味を抽出。


汁には、カモの存在感を。


鴨肉らしい食感と、塩、黒糖、実山椒、椎茸粉末、低温調理で。


しっとりとしていながら、汁とは違う個性を。


元は、同じ鴨でも。


調理法による素性の違いを、一杯の丼に。


ミズは、根昆布と燻製塩で爽やかに。


いつも、思案しています。


汁物は、飲み切って欲しいと。


そのための味にして。


命を頂戴するとは、食べ切る事だと。


ほぼ、完食していただけました。


そのためには、加熱による温度の恒常性維持と。


蒸発により失われる、水分に加水と。


美味しさの睨めっこが必要です。


仲間が、クマ鍋を出してくれました。


温度帯はどうする?


検温は?


衛生法に適合したビニール袋の話。


容器が適合品でないと、台無しになるよ。


夏場の燻製には、遮光性の高い包装資材使ったよ。


一般性菌数を、抑えるための温度帯。


芽胞菌と、納豆の関係。


粗熱の取り方。


輸送時の温度管理。


マキタの充電式クーラーボックス、良いけど高いよね。


テボで麺茹でするけど、一つは菜箸やトングを煮沸消毒用にするよ。


肉の煮込みって、煮過ぎると崩れやすいから気を使うよね。


彼には、家族がいて。


奥さんや子供達とも、面識があり。


「自分だけ美味しいもの食べてズルい」


そのくらいは、気づいているので。


家庭円満セットだよと、残った麺、汁、鴨肉を渡し。


皆に振る舞い。


イベントって、お祭りだからねと。


今日の美味しいは、新しい何かに繋がる。


「飲食店で出したら、これ相当出ますよ」


イベント出店者のお話。


素直に嬉しい、と言うより無事終わって良かったと。


数日前まで、重機乗りまくりの日々。



そして、包丁振り回しの日々。


どちらも私。


ドカコックですから。


さて、一人慰労会、行ってまいります。


休みを、作りました。


電波のない、秘湯です。