給料を気にする人生を、歩んできたつもりもなくここまで来た。


今も、そんなものだ。


ある意味ポンコツ。


でも、四人きようだいを大学に行かせた。


それは、妻のおかげと誇り。


意地だった。


後は、お前たちでなんとかしろ。


子供達の、支えにと仕事をして来た。


それは、考え方であり生き方。


確かに、日銭を稼ぐのは大切なれども。


カッコいいかも知れないが、自分の子供より他人の子供のための仕事。


妻には母子家庭と言われても。


それでメシを食ってる、仕方がないとも。


人生の表舞台、変われども。


性分と言うものが、人にはある。


切り離せないもの。


昨日から、水不足に悩む田んぼに水を。


早起き?いや、まだ暗いけど。


気温7℃、雨、風、寒いけど。


1時間6tの水をと思えば、苦などない。


少しでも、皆んなに早く水を。


偉ぶる必要などない。


ただ、そこにいて役目を。


自分が困るなら、誰かも困る。


同じ理屈。


性分。


それは今も、変わっていないようだ。


組合の長老と、昨日の話。


自分の田んぼは、低いところにあるからまだ良い。


でも、トンネルの泥を掻き出さないと、下々に水は回らない。


だから、トンネルにワイヤーを通して、土嚢にくくりつけて。


毎年、引っ張りあげていると。


みんなのため、誰かのため。


齢80を超えた爺さんの、戦い。


尊敬及び同意。


自分だけ良ければ。


自分の地位さえ、守られれば。


そう言う人もいる。


でも。


世の中は、それでは回らない。


銅像にも、石碑にも刻まれない、数多の善意。


これで、この国が作られていることを、私たちは忘れてはならぬ。


誰がために鐘は鳴る。


打てば響く、そう信じて。


エンジンの、鐘がなる。


水、届け。