イノシシと、シカの肉をジャーキーにして行く。
シカの肉は、若い個体と聞いて。
真空パックしたものの、色味で見分けがつきにくい。
成獣なら、わかりやすいのですが。
で、多分そうだろうと思ったが。
それぞれ、焼いてみる。
油の甘味で判断、予想は的中していた。
イノシシの方が、脂肪の甘味が強く香る。
これは、シカのラードと向き合った経験が生かされた。
スーパーの肉にはない、赤身の旨み。
もう、塩すらいらないくらいの。
天然肉の、凄みを改めて感じる。
皆さん、スーパーの肉は養殖です、忘れていませんか?
そして害獣駆除の名の下に、捨てられている現実も分かっているからこそ。
もったいなくて。
いただきますに、繋げたくて。
マタギの流儀も、心得ていたくて。
食品衛生管理者と、狩猟免許を取ったわけです。
え〜、と言うわけの変人です。
漬け込み液には、ビールで。
自分は発泡酒なのに、ジャーキーにはエビスビールと言うこだわり。
黒糖、浜比嘉島の塩、ローズマリーなどのハーブを今回は使う。
しばらく、洋風から離れたレシピだったが。
在庫を抱えたままと言うのも、もったいなくて。
粉末生姜、硝酸根に春菊を。
醤油。
既存のレシピには頼らない。
私ならこうする、と言う経験と知識の組み合わせにて。
合わせて、ロースハムも塩漬。
確かな調味料で、確かな食品をと作っているうちに、味覚が鋭くなってきていて。
お店で食べる料理に、どんな塩を使っているかがわかってしまう。
これは嫌われる客。
ですが、誤魔化してない料理もわかる訳で。
「本物センサー」、でしょうか。
岩木山は綺麗。
せわしなく走り抜ける軽トラ。
昼食にて、店主からこれ、燻してみないかと。
豚サガリをもらい、私ならこうすると考えて。
ギリギリ攻めて、ソフトジャーキーに。
「あ?これなんだ?止まんねーよ」。
嬉しい反応、攻めた甲斐あり。
さて。
夕方の営業前、店主に届けて。
あれこれ、作り手談義の中。
「すくめ」、これ何入ってるか当ててみろと言われて。
すくめとは、酢の物。
サメの頭をよく使うのですが。
大体、青森県民は何食ってんだと言われるが。
今、すくめを好んで食べる人は少ないかもしれませんが。
青森県民は、縄文時代から食べており。
で、店主から「すくめ」、分かるべ?と言われて。
「これ、何か当ててみろ」と。
え、普通はサメだけど違う。
遊び心か、この変化球は面白い。
触感、食感、直感で「タコの頭?」と答えた。
店主驚き、「これ当てたのお前だけだよ」と。
「お前、ただの資格持ちじゃねーな」と。
700円のラーメンを、500円にした時に店主から。
「それで良いだろ?」と言われた返答をした。
「500円にするから、もちろんスープの手を抜く人とは思っていなかった、美味しいものを食べさせたい、そこは譲られないですよね」と。
「安くしたから手を抜くなんて、それは料理人としてダメだろ」。
それから。
料理に、完成形はないと言うこと。
料理の世界は、泥沼だと言うこと。
私の燻製概念と、まったく同じで。
分かるからこそ、分かり合えて。
まあ、食材と相談して。
その甘味や旨みを引き出すのが、塩なら。
それに合わせた塩分濃度が、振り子の向こう側に。
バランス良く。
その中心に、人が感じる味覚の中心軸があれば大当たり。
さて、ジャーキーどうなりますか。