無農薬栽培の食べ物しか要らない!
日本の農産物は、農薬まみれで危ない!
オーガニックしか食べない!
健康に良いから!
そう言う意見を聞きます。
今回は、一石投じて見ますね。
一応、農業高校の教員一筋でしたから。
で、無農薬の藁で、鰹のタタキ作りたいけど手に入らない?って言われたんです。
私は、水の専門家でもあるので説明したんです。
本当の無農薬栽培って、水の観点からすると完全、って事にはなりませんよ。
例えば田んぼの水は川から来て、排水や基底流出でまた川に戻ります。
この段階で、その田んぼに散布された除草剤は、完全に消えますか?
薄まったとしても、数学的にはゼロではないですよね?
と言うことは、ある田んぼで「無農薬です!」って言っても、地域の因果性からは逃れられません。
もちろん、土壌に浸透した微量な農薬成分など、抜き取られません。
地下河川は、目に見える河川水の3倍。
ある湧き水の話。
飲み水だったのですが、周囲にリンゴ畑が沢山あって、調べたら飲めないことが判明しました。
さて、それはなぜでしょう。
そう言う事なんです。
でも、無農薬!天然!ってのに消費者は惹かれます、これも事実なのですが。
で、リンゴに夢みる社長と話になったんです。
「リンゴってさ、農薬かけ過ぎで危険なんじゃ?って言う人いるよね」
まあ、いますね。
「でね?リンゴの剪定枝も農薬まみれみたいな事を言う人がいるんだけど」
う〜ん、ただ、リンゴに農薬かけるのは、8月の半ばで最後なんだけどね。
「え?て言うことは、私が剪定枝もらいにいく4月までの8ヶ月は無農薬って事だよね?」
そう。リンゴの残留農薬もきちんと検査機関で調べてるし、規定に沿った散布もしてるし。
何より、無農薬栽培にしたら、毒素を出し始める植物がほとんどだから。
だから、低農薬で毒素の生成を抑えるのが逆に安全だと思うよ。
さて、どう言う事でしょう。
私たちの食生活には、毒という危険があるのはみなさんご存知かと。
例えば、キノコには食べられないものがあるとか、ジャガイモの芽とか。
で、植物の進化を考えてみましょう。
私たちが見ている植物は、生き残ったもの。
もしくは人為的に残したもの。
野菜や果物なら、美味しく、可食部を増やし、品質が保持されやすく、育てやすく、暑さや寒さに強く、と。
で、植物って自分が生き残るために、他の植物を退けようとするんです。
動けない分、防御合戦を繰り広げて来たんです。
逆に、ハチに受粉を手伝ってもらったり。
鳥に実を食べさせて、種を運んでもらったりと、仲良くもして来たんです。
ジャガイモは芽を動物に食べられたくないから、毒を持つ事にした。
バラは、身を守るためにトゲを身につけた。
ワサビは、身を守るために辛み成分を取り入れた、どうやらそれで生き残って来た。
私たちは玉ねぎ食べても死なないけど、犬やネコなら?
と考えてみると、無毒の食べ物ってあるの?って極論に行き着きます。
あれ?そうすると?
エームスショックは、ご存知でしょうか。
植物がそもそも持つ毒素と、農薬の毒素、どっち?って研究をされた、エームスさん。
つまり、「毒をもって毒を制す」なる言葉は、植物栽培に当てはまるって話なんです。
となると、農薬は全て悪と言い切れるでしょうか。
確かに、発ガン性物質を含むってわかっていながら除草剤売ったモンサントはダメです。
その販売、ユルユルの日本もどうかと思います、使わなきゃ良いだけですけど。
こう言うのが、「農薬は全て危険!」と言う風評になるのかと。
でも、私は水田で見ました。
昔居なかったはずの、おびただしい数のタニシを。
農薬は、進化しています。
いわゆる、魚毒性が低いんです。
知り合いの農家も、同意見です。
初期一発の除草剤で、これから芽を出す雑草にピンポイントで効く。
さて、農薬に功罪あれども。
イメージだけで、決めつけてはならないと。
この一石が、農薬は何でもかんでもダメ!とは言えない、波紋を生めばと。
ちなみに、無農薬栽培のリンゴ園では。
奇跡的な、そこの話。
綺麗に実がなる、一角があるそうで。
それは、隣のリンゴ農家が散布した農薬が風で流れた場所だと。
奇跡って、なんでしょう。