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そろソロ一歩

ブログタイトルの“そろソロ一歩”とは、遅ればせながら人生の再スタートで一歩を踏み出そうという気持ちを込めました。
そして、日頃単独行動が多いため「単独=ソロ」という意味合いもあります。

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この本、27万部も売れているベストセラーなのだそうだ。

内容は「アドラー心理学」という、フロイトやユングの心理学とは一線を画す「個人心理学」という論理を、それを説く哲人と人生の様々な悩みを抱えた青年との対話(というより激論バトルに近い)という形で、その概要を分かりやすく記した本である。


この心理学を唱えたアルフレッド・アドラーという心理学者は、フロイトやユングに比べると日本ではあまり馴染みがないようだ。

実は私も「アドラー心理学」というものを、この本を読んで初めて知った。


一読して私が学んでいる「森田療法」といくつも共通点があると思ったのだが、アドラーと森田正馬(森田療法の創始者)は同時代を生きた人物ではあるが、両者の接点は全くないらしい。

さしずめアドラーの言う「自己受容」とは、森田療法で言えば「あるがまま」「事実唯心」に通じるものがあるかもしれない。


森田療法は心の問題に起因する神経質症状(対人恐怖や強迫観念など)を、考え方の誤りや行動によって克服するという精神療法(理論)だが、アドラーの「すべての悩みは対人関係の悩みである」と言い切っているところ、それは本人の「ライフスタイル」に起因するのだという解釈は一脈通ずるものがありそうだ(この『ライフスタイル』という言葉は文中で頻繁に登場する)。


ひとつ興味深かったのは、「ひきこもり」の原因についての記述。

トラウマを否定するアドラー心理学では、その原因が家庭環境などにあるのではなく「目的を持って」社会との接点を避けたため「ひきこもっている」と述べている。

詳しく書くと長々となるので簡単に言うと、表面的には何とかこの状態から抜け出したい思っていても、自分の「ライフスタイル」を変えたくないから引きこもっているということらしい。


実は私の知人にほぼ同年代で社会に出て働いた経験がほとんどなく、約四半世紀にわたって引きこもっている男性がいる。

私もかつては彼ほどではないにせよ、対人関係や仕事の悩み等でメンタル的に不調をきたし、半ば引きこもりに近い状態にあった時期があった。


今でも仕事はしているが外出することは少なく、また社会に対する不安も強いために時々心理カウンセラーのお世話になっているので、アドラーの言う「ライフスタイル」とはまた違った意味で「ひきこもり」に近い状態なのかもしれない。


ただ、私と彼の違うところは、彼は今の自分がこうなったのは親など周囲の人間のせいだと言っているのに対し、私は「これは自分の問題だ」と捉えていた点かもしれない。

別に自惚れているわけではなく、冷静に考えてそう思っている。


彼の悩みは理解できるし本人も何とかしたいと思っているので、私としても手助けをしてあげたいところなのだが、文中にはこんなことわざが紹介されていた。


「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることまはできない」


「最終的に水を飲むのは馬なのだ」ということ、つまり本人次第ということか。

アドラー心理学では「課題の分離」という言葉を用いて、ひきこもりの問題で言えば相手を無理やり立ち直らせることは「他人の課題」に介入することであり、そこはハッキリ分けないといけないらしい。


ところで、本のタイトルである「嫌われる勇気」にもあるように、この心理学には「勇気」という言葉がひとつのカギになっている。

これは「他人の人生を生きる」のではなく、「自分の人生を生きる」という「ライフスタイル」を転換するために必要な「勇気」なのだと。

この辺りは森田療法よりちょっとアクティブな考えだと思う。

森田療法でも「不安や感情はそのままに『目的本意』で行動すること」と説いているが、ある意味これもひとつの「勇気」なのかもしれない。


さて、私が一番耳が痛かったのは「承認欲求の否定」だろうか(笑)。

まあ、私にとって人生の幸福とは何かを考えた場合「他人から認められること」こそ重要だと思っていたので‥。


アドラーによればそれは自分に意識が向き過ぎた「自己受容」ができていない状態から、他者に関心を寄せて「他者貢献」する、つまり世の中において自分という存在が役立っていると実感することで幸福感が得られるものらしい。

まあ、そうなんだろうけど、人間なかなかそう変われるものじゃない。

というか、こういう意識を持てるか持てないかというのは、その人の持つ「資質」がかかわっているのでは?


世の中にはいわゆる成功者と言われるように、自らバイタリティを存分に発揮して固い信念を持ち、どんな困難も乗り越えて人生の道を切り開いていくタイプの人間もいれば、ひきこもりの例のようにネガティブな人生(主観的な意味で)を送っている人もいる。

おそらく「パレートの法則」じゃないけど、世の中にはこうしたタイプの人間が一定数いるのではないか?と個人的には思っているのだが‥。


まあ、この本を読んだ瞬間から、まるで霧が晴れたかのように人生の悩みが解消するわけでもない。

むしろ、私も含めてほとんどの人間がそうなれないからこそ悩んでいるのだが‥。

私もこうした自己啓発本に触発されて人生が変わるタイプの人間ではないので(笑)。


しかし、人生の様々な悩みで生きづらさを抱えている人には示唆に富んだ内容だと思うし、何かしら有用な気づきは得られると思う。

世の中の様々な問題、特に対人関係が絡んだ事象をアドラー心理学というフィルターを通して考え直してみるのも一興かも。


さて、私の「居場所」はどこにあるのだろうか?