「平成26年の所得について、お尋ねしたいことがあります」
税務署からこんな内容の封書が届いたのは1週間ほど前のことだった。
「つきましては○月○日に平成26年の申告書の控え、帳簿等必要書類を揃えて○○市税務署の担当○○までお越しください」
映画「マルサの女」で宮本信子演じる女査察官が、山崎努演じるラブホ経営者の自宅にガサ入れするシーンがとっさに頭の中に浮かんだ‥。
そこまでは大げさだが、税務調査なんて、あまり気分の良いものではない。
「オレ、何かやらかしたかな?」
自宅に引きこもって仕事をしていても、一応は個人事業主。
たった1人で取引先と直接仕事を請け負って報酬を得る仕事なので、人を雇ったりモノやサービスを提供するわけでもないので、経理はそれほど複雑ではない。
なので、わざわざ税理士に頼むほどでもないと思い、経理は自分で「や○いの青色申告」でチャチャっとやっている。
この“チャチャっ”とやっちゃったことがマズかったのだろうか?
確かに自宅が仕事場である以上、経費と個人消費の線引きがあいまいな点があるかもしれない。
ちなみに個人事業主で税務調査が入るのは、全体の1割にも満たないらしい。
でも、何で年収1千万にも満たないオレみたいな小物に税務調査が入る?
やっぱり、アヤシイと思われてるのか‥。
私はある不安な事象が起きると、悪い方へ悪い方へと考えてしまうイヤなクセがある。
「もしや、脱税で重加算税まで取られるのでは?しかも、過去7年までさかのぼって(((゜д゜;)))」
不安なので、今の仕事を紹介してもらった知人のWさんに電話してみた。
気休めでもいいので、アドバイスか慰めの言葉でもと期待したのだが‥。
W「えっ、税務調査?俺もこの仕事何十年もやってるけど、1度も来たことないよ」
そうなのか‥。
ちなみに、Wさんも経理は自分でやっているらしい。
で、しばらく世間話をした後、こうのたまった。
W「そうか、こっちも税務調査ってどんなことやるのか興味あるから、終わったら結果を教えてね♪報告楽しみにしてるよ、ハハハ‥」
オイッ!他人事かよ!!(-_-メ)
「電話するんじゃなかった‥」
さて、不安な数日が過ぎて、いよいよ調査当日。
帳簿や領収書など書類でパンパンになったカバンを携え、最寄駅からこのクソ暑い中、汗びっしょりになりながら歩いて税務署に向かった。
受付で担当者に取り次ぎを頼むと、しばらく待たされた。
警察の取調室みたいな部屋で、強面の調査官に根掘り葉掘り尋問されるのか(@_@)
みたいなことを想像していたのだが‥。
現れた担当者は人の良さそうなメタボ気味のオッチャンで(失礼)、案内された部屋もごく普通の応接室みたいな部屋だった。
担当者「ちょっと、所得の計算が合わないのですが‥」
何のことはない、申告書作成時の計算ミスが原因だった。
簡単に説明すると、1昨年の途中から取引先が経理の都合で、報酬から所得税を源泉徴収することになった。
しかし、ウッカリ者の私は源泉以降も源泉された報酬をそのまま売り上げに計上してしまった。
つまり、1年数カ月に渡って源泉された分の所得が少なくなってしまったのである。
「やっぱり、“チャチャっ”とやっちゃったのがまずかったか‥」
私は何事も切羽詰まらないと本腰を上げてやらない傾向がある。
これは小学生の頃、夏休みの宿題を休みが終わる直前になってから慌ててやるのと同じで、それは今もあまり変わっていない。
確定申告も例外ではなく、申告期限の1週間前ぐらいになってからやり始めるという具合である。
「終了間際の“チャチャっ”とは戒めないといけないな‥」
その場で修正申告書を作成し、所得が少なくなった1年数カ月分の税金に延滞税が上乗せされた納付書が渡され、手続きは終了。
7年分の追徴課税に重加算税という最悪のシナリオはこうして杞憂に終わった。
まあ、数万円の追加納税でも、痛いことには変わりはないが‥。
こうして、うだるような暑い夏の長い1日は終わった‥。
大団円、だよね?