4月下旬から5月初旬にかけて、日本の滝百選5箇所を一気に訪ねて回った。
特に難関の八ツ淵の滝や双門の滝を訪問できたことは大きな収穫だろう。
5月の半ばになって季節はさらに良くなったことだし、もうちょっと遠出して滝百選の数を稼いでおきたい。
そこで、鳥取県の名峰・大山の東山麓にある大山滝に行くことにする。
滝までのアプローチは大山の衛星峰である矢筈ヶ山に至る登山道の途中にあるので、ついでに一等三角点百名山の矢筈ヶ山にも登ることにした。
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かなりの遠出になるが、自宅から車での長距離ドライブで現地へ向かう。
16日の昼過ぎに出発し、いつもなら東名高速ルートで行くところを今回は中央道経由にした。
まあ、天気も良さそうなので沿線の山々を眺めながらドライブした方が少しは長距離ドライブの苦痛から解放されるだろうという勝手な思い込みだが(笑)。
駒ヶ岳SAに寄ってソースかつ丼でエネルギー補給後、さらに西を目指す。
暗くなって名古屋付近を通過し、名神高速の竜王IC付近で突然渋滞につかまった。
平日の夜なのになぜ?
理由は集中工事で大津 ICから吹田ICまで通行止めになっていたためだった。
事前に情報を知っていれば対処したのだが‥。
大津ICで強制的に下り、京都市街を抜けて国道171号を吹田方面に向かったのだが、吹田付近でかなり迷ってしまった。
中国池田ICから何とか高速道に入り直せ たが、かなり時間ロスしてしまった。
加えて慣れない下道走行を強いられたせいで、疲労もかなり溜まってしまった。
中国道、米子道はスイスイだったが眠気との闘いだった。
現地に早く着きたい一心で給油以外に休憩することなく、蒜山ICでようやく高速走行から解放された。
そのまま県道114号を走って蒜山高原から大山の山懐へ。
山越えでは霧が立ち込めて視界が悪かった。
岡山と鳥取の県境を越え、県道45号を下って登山口の一向平キャンプ場へようやくたどり着いた。
辛い長距離ドライブだった。
キャンプ場は誰もいないようだった。もう夜明けまで2、3時間ほどしかないが、とにかく少しでも睡眠をとりたい。
簡単に食事を済ませてすぐに車中で眠りについた。
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あまり眠れないまま夜明けを迎える。
天気予報に反して空はどんよりと曇っているが、回復することを願って出発準備をする。
キャンプ場は平日ということもあり、ひと気がなくひっそりしている。
戸締りされた管理棟前の登山コース案内図に目を通す。
大山滝までは1.8キロほど、所要時間は30~40分程度だろう。
車道っぽい幅広の平坦道をやや進むと、山腹に付けられたの登山道となる。
道標には「中国自然歩道」と記されている。
新しい丸太階段が現れる。
かなり急でいった何段あるのか?というくらい下っていく。
左右のロープ手摺に時々つかまりながら下り切ると、大山滝吊橋の前に出た。
吊橋を渡って加勢蛇川左岸の道を行く。
「旦那小屋跡」や「木地屋敷跡」と名の付いた昔の山人たちの居住跡を示す道標を見て、なおもほぼ水平の道を進む。
すると、ヒノキ林に覆われた広場っぽい場所に「大山滝」のイラスト入り解説板があった。
大山滝はそこから谷側にやや下った滝見台から眺めることができた。
初めて対面する滝に心が躍ったものの、次の瞬間「おや?ちょっと待てよ?」と首を傾げることになった。
確か大山滝は2段のはずだが、どう見ても1段しかない。
良く見ればその滝壷の直下に1メートルほどの小滝?と思しき流れがあ り、その手前は近年大量の土砂で埋められたような砂礫地が広がっていた。
もしや、土砂災害で下段部分が埋められてしまったのか?
滝壷へ下りるルートを探ってみると、急斜面の露岩部分にクサリが張られていた。少々危なっかしいが、それを伝って滝前へ下りることができた。
実際に下りてみると、やはり大量の土砂が流れ込んで埋められた場所であることが分かる。
対岸の山の斜面が大きく崩壊しているのが見えたが、もしかしたらそれが原因かもしれない。
滝壷手前の1メートルほどの小滝は無残にも埋められたかつての下段部分の名残りのようだ。
こんなことなら、もっと早くに訪問しておくべきだったと後悔した。
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後日、調べてみるたところ、2011年9月に台風12号の影響で右岸側の山腹が崩壊し、2段の滝の下段部分が消滅したらしい。
滝見台付近の解説板を読むと、もともとは3段の滝であり、昭和9年の室戸台風による中段の崩落で2段になったらしい。
そして、またしても台風により1段になってしまったわけだが、さらなる台風の襲来で滝が完全消滅しないことを願うばかりだ。
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滝壷から登山道に引き返し、気を取り直して矢筈ヶ山へ向かうことにする。
ブナ林の道を登り、小沢を徒渉するとヒノキ林が広がる平坦な道が続く。
やがて大休口と呼ばれる分岐に着いた。
ここから大山への難路である地獄谷コースが分かれている。
小休止していると青空が広がってきた。
大山滝て落胆した気分が明るくなり、矢筈ヶ山へのモチベーションが上がってきた。
山頂からの大山の眺めが楽しみだ。
大休口からヒノキ林をやや行くと急なジグザグのブナ林の登りに変わった。
今までの道が平坦だったためきつく感じるが、足元には可憐なイワカガミが咲き、ブナの鮮やかな新緑が辛さを忘れさせてくれる。
南側に視界が開けて烏ヶ山の特異な姿が目に入った。
三本杉分かれは三本杉方向の道が分かれる分岐のはずだが、それらしき道は判別できない。
通行止めになって廃道同然になったのだろう。
三本杉分かれから山腹道を進むと、樹間からついに大山が姿を現した。
荒々しい東壁の谷間に残雪をまとった姿は息を飲むほど素晴らしい。
これは矢筈ヶ山山頂からの展望にかなり期待が持てそうだ。
大休峠まで0.6kmの道標を見てさらに進むと、避難小屋の 建つ大休峠。
展望は良くないがちょっと開けた場所で休憩にちょうどいい。
ここは十字路の分岐でもあり、矢筈ヶ山への登路の他に野田ヶ山を経て大山に向かう道と川床へ下る道が分かれている。
峠の案内板に目を通し、避難小屋の入口側から矢筈ヶ山への登りにかかる。
岩がゴロゴロした登りにくい急斜面を頑張ると、次第に傾斜が緩んで歩きやすい土道になった。
地図上の1300mピークに登り着いたようだ。
この辺りは実に見事なブナ林が見られる。
あまりブナ林のイメージがない山陰の山だが、このブナの景観には目を見張るものがあった。
1300mピーク付近のブナ林
1300mピークを過ぎるとダイセンキャラボクやイチイ、イヌツゲなどの樹林に混じってムシカリの白い花がちらほら咲く穏やかな尾根道になった。
前方にはようやく矢筈ヶ山の丸みを帯びたピークが望まれ、振り返ると大休峠の前後で前山に隠されていた大 山が再び姿を現した。
そして北には日本海の海岸線が。
山頂からの展望への期待感がいやが上にも高まり、山頂直下の急登がもどかしく感じられた。
10時過ぎに待望の矢筈ヶ山山頂に立つ。
さすがは1等三角点の山頂、360度の大展望だ。
主役の大山は言うに及ばず、衛星峰の三鈷峰に烏ヶ山、北に延びる尾根上には尖峰の小矢筈に台形の甲ヶ山、その彼方には日本海が広がっている。弓ヶ浜の海岸線が美しい。
烏ヶ山の左には蒜山など中国山地の山並みが続き、目を凝らすと樹海の中に開かれた登山口の一向平が確認できた。
誰もいな い山頂で展望を独り占めするのは気分がいい。

矢筈ヶ山山頂より大山を望む
さて、矢筈ヶ山は三角点のある本峰とそれより少し標高の低い小矢筈との双耳峰なので、ぜひとも小矢筈のピークも登っておきたいのはピークハンターの本能(笑)。
ガイドブックには矢筈ヶ山本峰から小矢筈まで往復で10分などと書いてあるが、距離的にも険しさから見てもそんな短時間では無理と思えた。
まずは灌木帯の急下りで鞍部に下りると、山頂からは見下ろしていたトンガリピークが仰ぎ見る感じでそびえ立っている。
山頂直下の岩場は西側が切れ落ちて要注意だが、東側はブッシュや灌木が覆っているので心理的な不安がいくらか和らぐ。
ちょっとした岩登り気分でグングン高度を上げ、狭い小矢筈のピークに立った。
小矢筈も矢筈ヶ山同様360度の展望だが、大山はその矢筈ヶ山に隠れてしまっている。
しかし、日本海の眺めはこちらの方がやや優れているだろうか。
とりわけ、大山北山麓に広がる西日本一とも言われるブナ林は見事のひと言に尽きる。
ただ、ここは狭い上に足元はスッパリ切れ落ちているので要注意。
のんびり休憩するのは矢筈ヶ山本峰の方が良いだろう。
北にそびえる甲ヶ山に登高欲をそそられるが、山頂直下が難路であることや事件的なこともあり、往路を引き返すことにする。
ちなみに、矢筈ヶ山から小矢筈往復は休憩も含めて30分ほどの所要時間。
やはり、それくらいかかるのが妥当だろう。
矢筈ヶ山山頂に戻って休憩していると、夫婦らしい年配の男女が登ってきた。
今回の山行中で初めて人に会う。
2人は甲ヶ山まで行くと言い、休憩もせずにに山頂を後にしていった。
私が先ほどたどった小矢筈の岩峰に取り付いている2人が豆粒の様に見える。
彼らが小矢筈の向こう側に姿を隠したのを見届けてから往路を下山する。
大休峠までの間に何人かの登山者とすれ違う。
峠の避難小屋前でも数人ほどの登山者が休憩していた。
その中の1人の若者がベ ンチの上で上半身裸で気持ち良さそうに寝ている。
時間は正午。
朝方は肌寒いくらいだったが、日中は軽く汗ばむくらいの陽気になってきた。
復路では大山滝を登山道脇から眺めただけで通過する。
大山滝吊橋を渡りながら眼下の加勢蛇川を見下ろすと、土石流の跡と思われる大量の土砂が堆積し、倒木が散乱しているのが目に入った。
付近の山腹も大きく崩壊している。
1段の滝になってしまった大山滝だが、また大規模な風水害があったらどうなってしまうのだろう?
橋のすぐ下流に鮎帰りの滝という滝があるようだが、大山滝の状況を考えると存在に不安があるのでパスすることにした。
橋を渡り切ってあの長い丸太階段を上り返すが、山行終盤にはこたえる仕打ち?である。
「木地屋敷跡」の標識
キャンプ場手前の平坦路で振り返ると、往路ではガスで見えなかった矢筈ヶ山の双耳峰が手前の尾根の上に頭をのぞかせていた。
出発時には私の車1台だけだったキャンプ場の駐車場には、車が数台ほどとまっていた。
キャンパーではなく観光で来たようで、平日のせいか人は少な目だった。
[山行日:2013年5日17日]
[コースタイム]
一向平キャンプ場5:50→大山滝吊橋6:10→大山滝6:45~7:25→大休口(地獄谷分岐)7:50~8:00→三本杉分かれ8:30→大休峠9:05~9:15→矢筈ヶ山10:10~10:30→小矢筈10:45→矢筈ヶ山11:05~11:20→大休峠12:00→三本杉分かれ12:25→大休口(地獄谷分岐)12:50~13:00→大山滝13:20→大山滝吊橋13:40→一向平キャンプ場14:10




























