パリ、恋人たちの2日間(2007年 フランス)
監督:ジュリー・デルピー
主演:ジュリー・デルピー、アダム・ゴールドバーク

ジュリー・デルピーが、監督、脚本、製作、音楽、編集、主演までこなした恋愛コメディ。
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ニューヨークに住むフランス人のマリオンとアメリカ人のジャックは付き合って2年になるカップル。イタリア旅行の帰りに、パリにあるマリオンの実家に2日間だけ泊まることになる。フランスらしいオープンな家族や街で出会うマリオンの昔の恋人たちに翻弄され、戸惑うジャックは嫉妬とフラストレーションが溜まる一方。ついに二人の関係にもヒビが入ってくるのだが・・・
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重いのが続いたので、軽い恋愛映画を数本続けます。
「ビフォア」シリーズと同じような雰囲気の映画ですね。よりフランス人の生活臭さが出ております。アメリカ人や日本人にはなかなか馴染めない敷居が高い文化感がありますよね。いつもフランス人のそれに対抗したいと思いながらも一蹴されてしまうのですが・・・。デルピーは、モンタンの女番を狙ってるのかしらねぇ。恐るべし! お相手の男性は「デ・ジャブ」の科学者さんですね。
映画的には「ビフォア・サンセット」が大好きです。

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THX1138(1971年 アメリカ)
監督:ジョージ・ルーカス
出演:ロバート・デュバル

ジョージ・ルーカスの学生時代の短編作品をフランシス・コッポラが製作を務めてリメイクした長編デビュー作。
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25世紀。人類はコンピュータに支配され、精神抑制剤を投与されながらモニター等により管理されていた。名前も持たず登録番号で呼ばれ、人を愛することも厳しく制限されていたが、THX1138のルームメイトの女性LUH3417が抑制剤の投与を密かにやめ、THX1138の抑制剤まですり替えたことにより2人は次第に人を愛する感情に目覚めてしまい、禁止されている肉体関係を交わしてしまう。そのことがばれたTHX1138は投獄され裁判にかけられることになってしまう・・・
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低予算ということもありますが、非常にシンプルな画のSF映画に仕上がっています。当時はこのシンプルさが評価されたとは思えませんが、渋いですね。地味すぎて劇場未公開なのも納得します。でもこのあと「スターウォーズ」を撮っちゃうわけですが、白を基調としたり、どこかそれまでのSFらしからぬ雰囲気を創り上げつつあるのを感じました。もう少し話に盛り上がりがあるとのめり込めそうなのですが、ちょっとスマートさが鼻についちゃいましたかね。時にルーカスのセンスの良さと悪さって表現し難いけどヒシヒシ感じちゃうんです。ドキドキ感と退屈さがまるで波のよう。
THXサウンドはこの映画のタイトルから命名。

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これはなんかカッコいいね。
エレファント(2003年 アメリカ)
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ジョン・ロビンソン

1999年に起きた米コロラド州コロンバイン高校の銃乱射事件を基に、その一日をガス・ヴァン・サント監督が描いた青春ドラマ。2003年カンヌ国際映画祭パルム・ドール及び監督賞W受賞という史上初の快挙を果たした。
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オレゴン州ポートランド郊外の高校。いつも通りの朝が始まる。ジョンは酒に酔った父と車の運転を交代して登校。早速、校長に呼び出される。イーライは、カメラ片手にポートレイトの作成に夢中だ。アメフト部のネイサンはガールフレンドと外出しようと思案中。女子の3人は食事をした後すぐにトイレに行って食べたものを吐き出すダイエットを実行中。いつも通りの毎日が繰り返されるはずだった。そんな中、いじめられっ子のアレックスとエリックはネットで入手したライフル銃を手に、ある計画を進めていた。
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ガス・ヴァン・サント監督が描く日常の風景が堪らなく好きです。とてもリアルで匂いまで伝わります。本当にそこにそういう生活がある、カメラがなくてもそこに生活がある、というのが感じられます。映画でよくみた学生の生活でなく、僕らが過ごしてきたような生活の一部分を切り取る、というのが非常に上手ですね。
特にこの映画を観ていると、映画を観ているというよりも、彼らのその学生生活の中に居て校内を歩き回っている気分になります。映画的には時間の使い方も少しだけ戻ったり、いろんな角度で同じ景色を見せたりとテクニカルで飽きさせませんし、臨場感や親密感が湧く分、彼らにはその当たり前の明日が来ない、という恐怖が一層強く伝わります。銃社会の恐ろしさを説くよりも 日常の危うさを淡々と描くことにより、そっと僕らの心の中に何かを置いて行った、そういう気分になる良質な作品でした。

また、タイトルのエレファントは、「Elephant in The Room」という慣用句、「誰の目にも明らかな大きな問題があるにもかかわらず、それについて誰も語ろうとせずに避けて日常を過ごす」という表現からと、アメリカ共和党のシンボルからとったそうです。事件からさほど時を立たずこの映画を撮った勇気にも敬意を評したいですね。マイケル・ムーアの「ボウリング・フォー・コロンバイン」も面白いですが、全く逆のアプローチであるところが非常に興味深いですね。うん、秋の夜長にぴったりの映画でした。

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わたしを離さないで(2010年 イギリス、アメリカ)
監督:マーク・ロマネク
出演:キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ
「日の名残」のカズオ・イシグロの同名小説を映画化した異色のヒューマン青春映画。過酷な運命を宿命づけられた少年少女たちを描く。
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森の奥深くにある寄宿学校「ヘールシャム」。そこは外界から隔離され、生徒たちは徹底した管理の下、規則正しい生活を送っている。謎めいたその寄宿舎の中で彼らは過酷な運命を強いられながらも現実を受け止め成長していく。そんな中で共に成長してきたキャッシー、ルース、トミーの3人は18歳となりヘールシャムを卒業し、別のコテージで共同生活を送ることになるが・・・
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暗いテーマ第三弾。でも嫌いじゃないですよ。お話は当然フィクションなのですが、いろんなことに置き換えて考えてしまいますね。ネタバレしたくないので、あまり書きたくはありませんが何か大きなシステムに管理されている家畜や、国民なんかを思い浮かべてしまいますね。そして妙に抵抗がないところがこの話の肝ですね。過酷な運命から逃げ出すのではなく、しっかり受け入れているところが、哀しいかな教育なんですね。映画はその驚愕の事実を描くというよりも、彼らの心の拠り所を、連帯感を哀しくしっとりと描いています。ふと、ブレードランナーのレプリカントと対極を成すのかなぁ、なんて思っちゃいました。
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ザ・ロード(2009年 アメリカ)
監督:ジョン・ヒルコート
出演:ヴィコ・モーテンセン

「ノーカントリー」の原作者 コーマック・マッカーシーのピュリッツァー賞受賞のベストセラーをロード・オブ・ザ・リングのヴィコ・モーテンセン主演で映画化した地球崩壊寸前のアメリカをひたすら南に旅をする親子を描くロード・ムービー。
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理由はわからないが、完全に崩壊した現代社会。食料は無くなり、飢えと寒さを耐え忍びながら、南に向かうことにより状況が改善すると信じ、ひたすら旅を続ける父と息子の二人。数少なく残った人々の中には、暴徒化し人を襲い人肉を食べる者たちもいる。彼らの襲撃から身を守りながら、最愛の息子のために善良な心、人間らしさを忘れないよう教えながら過酷な旅を続ける。果たして極限のサバイバルに終わりが訪れる日は来るのか、その旅の先に待つものは・・・
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全くあり得ない状況ではないですね。どこかでこの世界は崩壊する可能性がありますね。そういうことをよく想像したりもしますが、崩壊後のこういう状況で生き残るのも辛いですね。映画はそんな状況をトーンを落としてひたすら描きます。ただ、ちょっと暗すぎてしんどくもなりますね。まだ「マッドマックス2」なんかを観ている方が楽しいですね。・・・でもそんなこと言わずに辛抱強くこの親子の旅に付き合います。父は息子に人間らしさというものを、自分も忘れてしまわぬように言い聞かせ続けますが、時に何かを見つけ、そして色んなものを失い、自暴自棄になったり、他人を信用できなくなります。それでも親子で気持ちを確かめ合いながら、心に火を灯し続けて行く旅に、少なからず心を打たれます。僕も父親らしくない父ですが、息子に正しい姿を見せることができるだろうか・・・うーん、なかなか難しいですね、そうありたいけど。
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