今日は読書日記+近況。
悪い癖で文章が長くなってしまいましたが
お付き合いいただければ、幸いです。
まずは、
最相葉月「星新一 1001話をつくった人」
星新一さんに関する詳細すぎるノンフィクションです。
上下巻でおよそ800ページ。
そのうち、最初の300ページは
幼少時代と、製薬王と言われたお父さん(星一)に関する記述。
固有名詞が多すぎて、正直誰が誰だか
ぜんぜん頭に入ってこねぇ。
なので、最初の300ページは飛ばし読み。
ひょっとしたらここでこの本を挫折してる人も
けっこういるんじゃないかしら、と思った。
300ページあたりから星新一がやっと
ショートショートを書き始めて
ググッと面白くなってくる。
高校生の好きな作家ナンバー1になり、
子供向け作家のレッテルを張られて、
「読者が何よりも大切」と思いつつも、
酔うと「なんで俺に直木賞をくれないんだ」と
周りにからむこともあったそうです。
しかも意外と晩年まで。
そのあたりの作家としての葛藤を
ページ数をきっちりさいて、
はしょらずに書いているので
この本がいくつものノンフィクション賞を
受賞したのもうなずけます。
あと、興味深かったのが
ショートショートの創作方法。
「要素分解共鳴結合」という方法でつくられていた、とのこと。
「要素」をいくつかのキーワードに「分解」して
「共鳴」するものを「結合」する、
といっても何のことやらさっぱりわからないですよね。
超おおざっぱに具体例をあげます。
まず「戦争」と「平和」という対立する「要素」がある。
戦争→武器、殺戮、原子爆弾、などに「分解」。
例えば「原子爆弾」に対応するキーワードとして
原爆の「平和」利用を訴えた「アインシュタイン」。
ただ、「原爆とアインシュタイン」だと
当たり前すぎて「共鳴」しない。
そこで、
原爆→線香花火
アインシュタイン→花火屋のおじさん
と置き換える。
線香花火のもの寂しげな儚さと
それを売るおじさんの物語を通して、
その向こうに「戦争」と「平和」を透かせて語る、
という手法、らしい、、、
プロの作家さんは皆さんこの方法で
物語を作ってるらしいです。
続いて、夏目漱石に関する本。
出口汪「漱石の名作がすごい!」
新潮文庫編「文豪ナビ夏目漱石」
姜尚中「姜尚中と読む夏目漱石」
夏目漱石「こころ」
突然、漱石に興味が出て
まず手始めに、漱石まとめ本に手を出した。
予備校講師の出口汪先生の本はイマイチ。
文豪ナビと姜尚中さんの本はよかった。
夏目漱石に関しては、
学生時代に「最も読みやすい」と評判の
「坊っちゃん」で挫折して以来、
気にはなるけど避けてきました。
だって当て字が多くて読みづらいんだもの。
なぜ気になってたか、というと
漱石の本には当時の高等遊民(優雅なニート)が
よくでてくるからです。
「学校を出て、年がいっても
働かずにプラプラしてる人たちを描いているなら
今の自分が共感する内容が書かれているはず」
と思ったから。
で、最近youtubeにあった
ある漱石の動画を見たことをきっかけに
再挑戦を決意。
手元には「草枕」と「こころ」があって、
最初、草枕を読もうとするも
言葉が難しすぎて数ページで挫折。
(英訳版はピアニストのグレングールドが
何十回も読んで愛読してたらしいのですが、
翻訳されたものの方が読みやすそう。)
というわけで、後期の高等遊民モノの「こころ」を読んだ。
先生と呼ばれる思わせぶりなプータローが
奥さん(女の人)の思いなんて完全に蚊帳の外、
意に介さずに勝手に自殺する話。
ストーリーだけみると
「なんじゃそりゃ」って感じで
つっこみどころ満載。
主人公の青年の両親が
先生(プータロー)をどのようにおもっているか、と
青年自身が先生に寄せる思いにはギャップがある。
主人公青年が欲しているのは
誰でも言えるありきたりな常識的麗句を吐く輩ではなく
「自分独自の価値」を持っていて
なにか生きる意味を教えてくれる人なのです。
先生は無職だけれど、
自分の価値感を持っている。
そこに主人公の青年は魅かれてる。
ストーリーはともかく、
現役プータローの僕としては
引き込まれる視点がたくさんある作品でした。
次は前期の高等遊民モノ「それから」を読んでみたい。
最後に、トーマス・マン「トニオ・クレエゲル」
何かを表現する者(芸術家)と俗世間との関係を書いた本。
主人公トニオは表現の世界で成功し、
その道を極めようとするも
俗世間と打ち解けている人々に対する未練を断ち切れない、という話です。
上で挙げた夏目漱石の「草枕」も似たようなテーマの本です。
岩波文庫で読んだのですが、
訳のせいなのか、とにかく読みづらかった。
もっと心に迫るものを感じる本かと期待しましたが
今回はそこまででもなく。
今度は違う訳者バージョンでも読んでみたい。
あと、トーマスマンと言えば
やはり「魔の山」。
上下巻の長編なので尻込みしていますが
近いうちに挑戦します。
本の感想はこのへんでお終い。
近況
ワクチンの副反応と思われる
胸の痛みについて。
病院(循環器内科)に行ってきました。
聴診器、レントゲン、心電図、脈、血圧、など
いろいろ調べて、心臓と肺は何の異常もなし。
ワクチン2回目も問題なく受けてよいと
お墨付きをもらいました。
やはり、心筋炎というのは
発熱などの風邪のような症状が出た後に
2~3日して発症するらしい。
僕のように接種当日から胸が痛くなり
発熱もないようでは、
心筋炎とは考えられない、ということでした。
とりあえず、よかったです。
実際には、ワクチンの副反応かもしれないし、
そうじゃないかもしれない。
ただ、(苦手ですが)あまり考えすぎないように
努めたいとおもいます。
それから、自閉症の中学生の家庭教師について。
2回目は予習してプリントを作るなど、
準備して臨みました。
が、準備しすぎで逆に平板な授業になり
相手もちょっと集中できてない感じになってしまった。
どうすればいいのか、
答えはありませんが、
さらに修正が必要そうです。
それでは、長くなってしまいましたが
最後まで読んでいただき
ありがとうございました。