小説「神田 直子/ようこそ!私の奇跡」第33話(眠れない夜) | ひでおん

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2023年8月より、童話に続けて小説を投稿し始めました。
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適当によろしく~

神田直子(37)は中国出張からの帰国便で大事故に遭ってしまい、ひと月もの昏睡状態から奇跡の生還を果たすことが出来た。

 

目覚めた直子は高度な読心術と電撃能力を手に入れていた。

そして自身の体の中を出入りする宇宙人のバモスとテレサとのドタバタ生活が始まったのだ。

 

これは、愉快痛快! ポンコツ物語なのです。

 

 

早口で説明してくれた木村さんは、そこに立っているバモスと、さらに遅れて入ってきたテレサを見て異様なふたりに仰天した。

そして何を思ったのか「あ、あ、ごめんなさいね……、鍋に火をつけたまま来ちゃったから戻らないと……」とそそくさに帰って行った。

 

 

「神田 直子/ようこそ!私の奇跡

第33話 (眠れない夜)

 

 

そして再び正志の遺体の傍に、しばらくいた直子がリビングに戻ってくるとバモスが言った。

 

「ジニキタも地球人と同じ大きさになっていた……、僕らがアラヤダ星を発ったあと何かがあって、やつは僕と同じような能力を持ったとしか考えられない。そして、あの飛行機事故で僕らが直子の中に飛び込んだ時に、あいつも誰かに入ったんだ……、タラップから転落した後で生存出来た人は直子以外にはひとりしかいない」

 

そうだ、隣の席にいた中年男性が飛行機の揺れが恐くて、おしっこを漏らしてた。着陸するや我先にと私をまたいで行ってから落ちたのを思い出した。

その男は雷に打たれたんだよ、それでパニックになって私は押し出されたんだから……。

 

ジニキタはアラヤダ国の精鋭部隊であるドンビキ隊の隊長で、バモスのような一般人とは違い、軍隊で訓練を受けてきているから、とてもじゃないけど敵う相手じゃないらしい。

 

そして頼みの綱である電撃の能力がかなり落ちている為に本気でやるつもりなら勝負にならないと言うことらしい、しかし直子の頭の中はかなり上の空だった。

 

それは実家や義実家(正志の家)に連絡しないといけないと考えていたからで、決して忘れていた訳ではないのだが何度も躊躇(ためら)っていた。

 

正志の両親の悲しみの大きさを思うととても辛かったのだ……でも先延ばしにしてはいけないと思いもあり、まずは自分の両親へ電話をかけようとしたが、やはり止めてしまった。

(明日の朝にしよう……、でも早く伝えないと……)という考えがぐるぐる回っていた。

 

既に午後9時を過ぎたころ玄関のチャイム再び鳴ったのでドアの穴を覗くと、またしても警察官が3人いたのだ。

 

(もう……疲れたわ……)

 

ほ、本物の警官なの? と直子は覚り能力を全開にして応対した。

 

「夜分恐れ入ります……、ご主人が亡くなられたとご連絡を頂きましてお伺いさせていただきました。遅くなりまして申し訳ございません」

と入ってきた警察官はしっかりと警察手帳を提示してきた。

その警官の心の声は(さっさと片付けてしまおう……、パンツ1枚にされて眠らされていた、あいつら(同僚の警官)の方が大事件だ)と言っていた。

 

かなり焦っている為なのか事情徴収はあっと言う間に終わった。

事件性の疑いなどは全くないように処理を進めているのは覚り能力を使わなくても感じ取ることが出来た。

 

バモスとテレサは友人で、直子がひとりきりで居るのが辛い為に来てもらった事を話すと

「ああ、そういうことなんですね、分かりました」と言われた。でも心の中では(変な外人だけど面倒くさいから余計なことは聞かない……)と言っていた。

 

さらに直子の泣き腫れて疲れている顔つきから察してくれたのか、

「奥さん、大変申し訳ありませんが旦那さんを警察病院へ運びますのでご理解ください。決まり事であるし我々の仕事なのですよ」

と年配の警察官が丁寧に断りを入れてそそくさに帰って行ったのだ。

 

連れて行かれた正志の遺体は解剖されてしまうのかと思っているとまた涙が出てきてしまった。

 

 

ようやく布団に潜り込んでテレサを真ん中にして川の字になって寝た。

 

ふたりは疲れたのかスースーと寝息をかいているが直子は眠れない。目を瞑っていても、正志との思い出が走馬灯のように次々と浮かんでくる。

 

頭の中がぐるぐる回り、どろどろしてきた頃、

「直ちゃん……、僕たち結婚しよう」

と行き着けの居酒屋で告白されて隠し持っていたプレゼントをくれた。

 

「うん! ありがとう!」

と外箱を開けるのだが中身は分かっていた。

 

だってこの場面を覚えているよ、誕生石のエメラルドが嵌っている指輪が入っているんだから……、でも分かってても嬉しいなあ。

そして包装紙を開けようとしたが……えっ? どこから開ければ良いの? 紙が全て繋がっていて、繋ぎ目に張ってあるはずのセロテープがない? 全体がつるんとしてるから爪を掛けて剥がすところがないのだ。

 

「ねえ、まー君、開けられないよ。開けてくれない」と正志を見ると顔が変わっていた。

顔なし、のっぺらぼうに……。

 

ぎゃあ! と飛び起きた。ぐっしょりと寝汗をかき、胸がどきどきしている。

 

 

34話へ続く

 

 

主な「登場人物」

 

神田直子:物語の主人公 37歳

神田正志:直子の夫

バモス:アラヤダ星人

テレサ:アラヤダ星人、アラヤダ国の王女

ジニキタ:アラヤダ星人、バモスとテレサを追う暗殺者

 

 

 

おまけのはなし

「リトープス」

いやあ~ この植物を育てるのは本当に難しい

難しいから楽しいのか?

この模様に魅了されているんです!

別の模様のが欲しくなっている

 

これは、2024年3月現在

 

さらに1年前くらい

 

これは、購入した頃 2年前

 

新しい品種が欲しくて種を買ったんだけどね

10粒すべて芽が出たものの

ほとんど、溶けて消えてしまった

 

残り2芽は写真に写らないほどのゴマ粒のまま

 

 

それで、お助けの 植物育成ライト導入しました

 

赤、青、紫に点灯できるのだ

 

効果あるのか? 育つのか? 頼むぜ!

 

しかし! 点灯させた写真はデータ量が急に増えてブログにアップ出来ないのですよ

ガビーン 

 

ごめんなさい~

今度データ量を抑えてみます

 

 

作者からのお礼

 

コメントありがとうございます。元気と執筆パワーを頂けます!

 

今回のお話は夫の正志の死後に義両親や実家への連絡に躊躇したりする

直子の精神状態を想像して書いてみました。

 

次回もお楽しみくださいね。

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

 

では、また来週