村井秀夫刺殺事件の真相を追って -35ページ目

村井秀夫刺殺事件の真相を追って

村井秀夫は何故殺されたのか?徐裕行とは何者なのか?
オウム真理教や在日闇社会の謎を追跡します。
当時のマスコミ・警察・司法の問題点も検証していきます。
(2018年7月6日、麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚らの死刑執行。特別企画実施中。)



青ジャージ信者「あっ、刃物持ってる!」

Tシャツ信者「刃物持ってる!」



女性レポーター「ハッハッ?!ハァァァァ?!」

村井を質問攻めした女性レポーターが悲鳴をあげた。


男性「えっ?なになになに?」

女性「刃物もってるぅ」

男性「刃物ォ?」

現場から距離のある人たちは、何が起きたのか実感できない。


だが、現場近くの女性レポーターは興奮しながら叫んだ。

「刃物持ってる!!」


暴漢は人目を避けるため群衆の中に割り込んだ。すかさず青ジャージの信者が、刃物の持ち主を追いかける。群衆の間に空白ができると、一匹の「けだもの」が姿を現した。



「刃物持ってます、刃物持ってます!誰かが刺されました!刃物持ってます!」



暴漢の右手には黒く染まった牛刀。ヒョウ柄のセーターには、村井の返り血がべったりと付着している。男は血なまぐさい悪臭を漂わせながらぶらぶら動くと、牛刀を乱暴に投げ捨てた。牛刀は弧を描くように落下すると、「チャリーン」と金属音が響いた。




徐裕行「ンナァ!!ウナァーッ!!!」




ヒョウ柄姿の狂人は、野獣のように奇声をあげて周囲を威圧した。何が起きているのかすぐには分からなかったが、牛刀が視界に飛び込むと、信者やカメラマンたちは一斉に引き下がった。



しかし、狂人は仁王立ちになったまま、その場を離れずに留まった。逃げる素振りもない。



やがて人々は血まみれの牛刀にカメラをを向けて、一斉にシャッターを切った。




青ジャージの信者が叫んだ。




青ジャージ信者「こいつが刺した!」

徐裕行「早く警察を呼べよ」


どこからかスーツ姿の眼鏡をかけた中年男性が現れた。警察だ。




警察「おまえがやったのか」
狂人は警官に腕を力強く掴まれた。あまりの力に、狂人の体はふらついた。

「あー!すげぇすげぇ!」

やじうま「凄い凄い、ヤバい包丁持ってる!」

「村井秀夫氏が、何者かに…」

「凄いよ、凄いよ、包丁持ってる」「誰!?」

暴漢が連行されると、大勢の人ごみが動き出した。



「マジ?マジ?今」「まじでぇ?誰刺されたの?」「ホラホラホラ」

信者の一人が、犯人に罵声を浴びせた。村井を警護していた男性信者だ。



信者「何考えてんだお前ら!!何やってんだよ!」
「なんてことしてんだよ!」




しかし、信者の声に同情する取材者はいなかった。
気を取り直して実況を始めるもの、押し合いながら夢中で暴漢を撮影するもの、プロレス観戦感覚でへらへら笑うもの。

男性アナウンサー「村井秀夫氏が、何者かに」

やじうま「怖いよ、怖いよ、包丁持ってる(笑)」

「怖い怖い」女が害虫に不快感を示したような声で呟く。


車の側まで連れて行かれると、暴漢は横柄な態度で警官に命令してきた。



徐裕行「車ン中入れろよ」
スーツの警官に替わって、水色のジャンパー姿の私服警官が犯人の腕を掴む。



犯人は車の中に自分から進んで乗り込んだ。直後に横から白髪の刑事が乗り込んできて、警察手帳を見せた。



「よくやった!」

誰かが、犯人を英雄視して声援を送ってきた。
サリン事件の仇を討った、正義のヒーローと思っていたのだろう。
彼らは暴漢の正体を知らず知らずに応援した。


「どういう動機ですか?!」「どのような動機ですか?!」

「動機は何ですか!?動機は何?動機は?」

車内のガラス中に、マスコミが張り付いてくる。暴漢は視線を正面に向けると、そのまま石像のように固まった。白髪の刑事の背中が顔にぶつかりそうになっても静止したままだ。
白髪の刑事は新聞紙でカメラを遮った。



ピッ!ピッ!ピッ!

3回クラクションが鳴らされたのち、犯人を乗せた車は赤坂警察署へ走り去った。



南青山総本部前。



アナウンサー「大量に、村井氏は出血しております」
警護の信者「ちょっと止めてよ!あんたたち!何考えてんだよ!」





女性レポーター「「危ない危ない危ない…ちょっとこれ、警察の方いませんかー!警察の方!」



警護の信者「何やってんのモォー!!!!」



警官「下がれ!下がれ!下がれ!下がれ!」
鋭い叫び声でスーツの男が周囲を牽制してきた。
物的証拠を荒らされまいと、警官が現場へ飛んできたのである。

「下がって!下がって!下がって!」
警官はポケットからカメラを取り出し、凶器を撮影した。

信者「頑張ってください!」「止血できる人!」「しけつできるひと!」



「オウム真理教総本部前、誰かが刺されたようです、えー、誰か刺された模様です……大変なことになりました、いま報道陣に取り囲まれておりますが、包丁を持った男がいたという声が聞こえます」






「上祐いる!」

信者達は必死になって懇願した。

上祐がビルから顔を出してきた。警護の信者に事情を聞いているようだ。



「えー上祐、えー上祐、広報外報部長も出てきております」「上祐だ上祐」

女性信者「救急車はいるからあけてくださーい」「どきなさい!道をあけなさーい!」「道をあけなさーい」「早く呼んでくれー!」

「上祐外報部長ただいま出てまいりました、上祐外報部長が出てまいりました」

上祐は地面にの凶器を確認すると、再び村井の元へ戻り容態を伺った。

車のクラクションが聞こえてきた。

「下がれー!」

警護の信者「なんで来ないんだよ!!」



警護の信者が、大きな声で叫ぶ。信者たちの顔が涙でびしょ濡れになった。



救急車が到着すると、救急隊員が酸素マスクを取り付けた。応急措置を受けた村井は担架に乗せられ、都立広尾病院へ移送した。





「8時48分、えー、村井科学技術省長官が、えー救急車に今乗せられるところです」

「日曜日8時50分です。村井科学技術省長官を乗せました救急車が、えー今東京総本部前を出て行きました。これから病院に向かうものと思われます」










男性信者「止めてください!」男性信者(青ジャージ)「止めてください!」

男性記者「血が出てるよ…?」





男性信者(青ジャージ)「アッ!刃物持ってる!!」





建物内へ落ち延びた村井は、最後の力を振り絞り、自分を刺した朝鮮人を睨みつけた。





激痛が走る。体が重くなる。目眩に襲われる。





意識が遠のく。呼吸が苦しくなる。足の力が抜ける。





…息ができない。





かつて自分が殺めた人たちの恐怖と絶望が、村井の心と体を蝕んでいく。






















































村井の顔はみるみる青くなり、傷口を押さえる気力が抜けた。瞳孔が開いていた。


「ぽた、ぽた、ぽた」


村井の体からどす黒い血のりが、滴りながら床の周りを汚していく。

警備のサマナたちが言った。


「お願いですから横になってください」


村井はドアの方へ仰向けになって倒れ込んだ。








血が一面に広がった。





1995年4月23日午後8時36分




女性「村井氏が…」男性記者「村井さん」





女性「えー、こちら東京総本部に到着しました…村井さん!!」





野次馬「ぎゃははははは!」女性「村井さん!クシティガルバ…部下の方がいて…」

村井「ええ」





女性「その件で今日はいらっしゃったのですか?」

村井「ええ…あの、急いで行かないと」





女性「あの方は、あの方は、やはり、村井さんの部下の方ですかァ?…あの方は村井さんの…」










男性「村井さん!何処へいらっしゃったんですか?」

男性「何処へいらっしゃったんですか村井さん?」





女性「村井さん、クシティガルバさんの居場所はご存知ですか?」





村井は取材陣に押しつぶされ、ビルの壁へもたれかかった。





群衆を避けるため地下階段を下りる村井。










女性2「村井さん何処から戻られたのでしょうか?」





やじうま「ハハハ…お帰んなさい!!」










「がちゃ、がたがた」

山路「?」





山路「……」





村井が地上へ戻ってくる足音が聞こえてきた。





村井「…開いてない」





男性レポーター「どこからいらっしゃったんですか?」

男性記者「村井さん!」女性「村井さん!」





男性記者「村井さん!」女性記者「村井さん…」

「お話はされました?」





「あの方は」村井「ちょっと待って、早く入らないといけない」

村井「あっ、そうですよ、彼は私の部下です」女性「部下ですか」

村井「ハイ」女性「あ、そうですか」





村井「ちょっと通してよ…大丈夫ですか?」




















村井「危ない」

男性記者「村井さん」





オウム信者「ちょっとスンマセン」「通してください!通してください」





オウム信者「やめてください」





信者「やめでください!!」「やめてください」





女性「村井さん」













ドスッ









男性信者「オイ何やってんだコノヤロー!!!!!オルアァァ!!!!!!」

























村井は抵抗し、徐の体を振り払う。

胸の刺し傷が浅過ぎた。あまりの焦燥感に、朝鮮人の表情が引きつった。





村井が入口へ向かうと、だれかが腕を伸ばして逃げ道をさえぎった。





何が起きているのか状況がわからない。左腕の違和感に気が逸れていた。










村井(血が出てる…?)





村井が立ち止まっている隙を見ると、進路をさえぎった眼鏡の男が警護の信者につかみかかった。





眼鏡の男は、信者を引き離そうと右足をかけ、わずかな隙間を作った。

朝鮮人は歯を食いしばると両脇の信者の力に逆らい、姿勢を立て直そうとした。





朝鮮人は牛刀を水平に構え、即座に村井の下腹部を狙った。そして次の瞬間