春闘の重要な時期に突入!

 今回、代表質問を通じて、価格交渉や賃上げに活用可能な資料、国や県の支援策、相談窓口等を一覧にしたウェブサイトの開設を岐阜県に要請し、それが実現しました。

 是非ご活用ください!

https://www.pref.gifu.lg.jp/page/288385.html

【質問の概要】※以下長文

〇 更なる持続的賃上げに向けた取組みについて

 Q:賃上げに対する知事の思いと今後の県の取組みは。

 A:(知事)日経平均株価がバブル期を超えて史上最高値を更新するなど、景気は回復の兆しを見せてはおります。一方で、消費者物価指数が29カ月連続で上昇するなど物価高騰は続いており、物価上昇分を除いた県内企業の実質賃金指数は、直近1年のうち9カ月で前年比マイナスとなっております。この実質賃金の減少は、個人消費の落ち込み、経済の縮小にも繋がっていくわけであります。

 成長の果実を適切に分配し、消費拡大から更なる成長へとつながる好循環を作り出すためにも、物価上昇を上回る持続的な賃上げは、喫緊の課題であると考えております。

 県内の賃上げの状況を見ると、先ほどもご紹介がありましたが、県産業経済振興センターの調査によりますと、2023年の県内企業の賃上げ実施率でございますが、昨年12月時点で78.7%と、前年に比べて6.6ポイント上昇しております。ただし、規模別では1人ないし19人の小規模事業者の実施率が68.0%、業種別では商業部門が66.4%と相対的に低くなっております。

 また、県の経営者協会による2024年の賃金改定動向アンケートによりますと、昨年の賃上げを超える企業は32.4%、同程度と回答しているのが50.0%と、総じて昨年以上の賃上げという見込みでございます。ただし、賃上げ原資の確保には、生産性の向上と適正な価格転嫁が必要との意見が多くみられております。ご指摘の「岐阜県経済・雇用再生会議」でも同様の意見がございました。

 そこで、県としては、まず、生産性向上に向けて、企業の設備投資やイノベーション創出を支援してまいります。このため、賃上げの実施率が低い小規模事業者の事業転換・業態転換に必要な設備投資などを支援する補助金を創設するとともに、技術の高度化や新製品開発のための機器導入を支援してまいります。

 また、県の試験研究機関において、県内企業と共同で生産性向上や競争力強化に向けた製造技術の開発を進めるなど、県内企業のイノベーション創出を支援してまいります。

 さらに、企業の省人化・省力化や、人材の育成により、一人当たりの生産性を向上することも重要であります。

 このため、「テクノプラザものづくり支援センター」やDX推進コンソーシアムが中心となりまして、業務の自動化・効率化を支援するとともに、DX人材の育成やものづくり産業におけるリスキリングの強化を図ってまいります。

 一方で、県内の中小・小規模事業者からは、「賃上げのために身を削る努力をしているものの、それにも限界があり、更なる賃上げを実施するためには、価格転嫁せざるを得ない」との声が上がっております。こうした価格転嫁を円滑に進めていくためには、関係企業の適切な対応が不可であります。

 これに関しては、ご指摘の「岐阜県経済・雇用再生会議」におきまして、企業の価格転嫁を促すため、関係団体による協定締結の提案がございました。これを県から広くお声がけしましたところ、近く23団体に及ぶ「適正な価格転嫁の推進に向けた協定」締結の運びとなっております。

 また、県としても、企業間取引の適正化によるサプライチェーン全体の共存共栄を目指すことを表明する「パートナーシップ構築宣言」を行った企業に対して、県制度融資の最も低い利率を適用するとともに、補助金の加点措置を実施しております。

 以上のほか、賃上げした小規模事業者への補助金の補助率を引上げることや、県のプロポーザル方式の契約審査項目の一つに「パートナーシップ構築宣言
」や賃上げの実施を追加することにより、賃上げの実効性の向上を図ってまいります。

 Q:中小企業における労務費の適切な転嫁を促す価格交渉に対する支援は。

 A:(商工労働部長)県中小企業団体中央会が昨年7月現在で実施した調査によると、原材料の価格転嫁を行った、又は行う予定の企業は約8割であったのに対し、人件費引き上げ分の転嫁は約3割にとどまっています。

 労務費の適切な価格転嫁の交渉にあたっては、昨年11月、国において発注者・受注者の取るべき行動を示した指針が示されました。その中では、国や県が作成した統計結果などの公表資料を用いて価格交渉を行うことの合理性が認められています。この点、ご紹介のありました埼玉県の支援ツールは、全て全国値ではありますが国の統計結果を用いて作成されており、本県企業にも有用なツールと考えております。

 そこで、県では先日、このツールをはじめ、本県の各種統計指標をまとめた「ぎふ経済レポート」、国が作成した「価格交渉ハンドブック」などの公表資料と、国や県の賃上げに向けた支援策や相談窓口情報を掲載したホームページを開設しました。交渉に役立つ様々な情報をまとめたものであり、広く県内企業に活用を呼びかけてまいります。

〇令和6年能登半島地震を踏まえた防災・減災対策について

 Q:被災地への人的支援の経験を生かした本県の災害対応力の強化策は。

 A:(知事)ご案内のように1月1日に発生しました能登半島地震を受けまして、翌日には本県としては、私をトップとする支援対策本部を立ち上げました。そして、県内の全市町村や関係機関と連携をし、新型コロナ対策で培った「オール岐阜」の体制で、総力を挙げて人的支援に取り組んでまいりました。

 1月4日には、石川県中能登町の対口支援団体に本県が指定され、災害対策本部のマネジメント、避難所運営、給水、罹災証明書の申請受付・発行、災害廃棄物処理、下水管渠被害調査、被災建物の公費解体の申請受付など、中能登町からの要請に応じて幅広く支援を行ってきております。

 また、1月13日には、より甚大な被害を受けた輪島市の対口支援団体にも指定されました。本県から1日当たり30名規模で、市内3カ所の避難所の運営支援に注力しております。車中泊の方も含めた避難者名簿の整備、間仕切りを活用したプライベート空間の確保、支援物資の効率的な配置と在庫管理表の作成、清潔なトイレ環境の維持など、避難所の環境改善に努めてもらっております。

 このほかにも、能登半島各地において、消防や警察による捜索救助、DMATやDPATなどの医療活動、保健師による避難者の健康管理、被災建築物・被災地の応急危険度判定、災害ボランティアの派遣用務、域外へ避難した児童・生徒への支援などを行ってきております。

 こうした本県からの人的支援は、延べ約1万1千人・日、発災当日から今日まで平均いたしますと、一日当たり約160人、発災から2カ月を経過した現在でも一日当たり百人から百数十人のオーダーで取り組んでいただいております。

 あらためて、42の全ての市町村、そして対応可能な全ての関係機関に全面的にご協力いただきましたことに感謝申し上げる次第でございます。私自身としましても、本県から、職員、関係機関の方々を被災地へ送り出す際には、「被災された方々に寄り添い、必要な支援を行うこと」、「自らの健康と安全に十分留意すること」に加えて、「「明日は我が身」どころか「今日の我が身」と心得て、本県で被災した場合にどう対処するかを考えながら活動すること」をお願いしております。また、被災地から戻った後の活動報告の場を設け、市町村や関係機関とともに、現地の実状や課題、活動で得られた知見などを共有してまいりました。

 今後は、被災地で活動された職員や関係機関の方々が現地で得た知識や経験、的確な支援のあり方などを、本県の貴重な財産として取りまとめ、これを来年度に改定作業を進める「岐阜県強靭化計画」などにも反映させてまいります。

 これに加え、かつてない規模で行っている今回の支援活動を通じて、県内のどの組織に、どのような支援経験を持った人材がいるのかをデータベース化し、県内での大規模災害発生時に、支援ニーズに即した人材を被災市町村に即座に派遣するなど、「オール岐阜」での応援体制の強化につなげてまいります。

 さらに、来年度には、県と市町村と共同で、今回の地震で発生した事態をシナリオに盛り込んだ実践的な訓練を実施するほか、避難所生活が長期化した想定での避難所運営に関する研修、迅速な罹災証明書の発行に関する研修なども実施をし、県や市町村の職員のスキルアップを図ってまいります。こうした訓練や研修には、被災地で活動された方々に参加していただいて、現地で培った知識や経験を継承していただきたいと思っております。

 以上申し上げましたとおり、今回の経験を踏まえた取組みを広く行うことにより、本県の災害対応力の強化につなげてまいりたいと思います。

 Q:UPZ (緊急時防護措置を準備する区域)における孤立対策は。

 A:(危機管理部長)本県のUPZである揖斐川町坂内川上地区は山間地にあり、土砂災害が発生した場合には、避難経路も限られていることから、孤立対策は重要な課題であると認識しております。

 このため、毎年の原子力防災訓練において、陸路が使用できなくなり同地区が孤立した場合を想定し、現場の情報収集及び自衛隊派遣の要請手順を確認する訓練や、県と自衛隊のヘリコプターにより住民の方を避難所に向けて移送する訓練を実施しております。今後もこうした訓練を継続し、万一の事態に備えてまいります。

 また、最寄りのヘリコプターの臨時離着陸場が川上地区の外にあるため、これを地区内に設置できないか調査した結果を国に報告し補助制度の創設を要望したところであり、今後、国と具体的な検討を進めてまいります。

 一方で、避難経路である国道303号の土砂災害対策についても重要であり、道路への土砂流入を防止する設備の設置に関する調査結果を国に提出し、同様に補助制度の創設を要望したところでございます。

◯ 人への投資について

 ▷教職員の働き方改革について


 Q:教職員の働き方改革の進捗状況は。

 A:(教育長)県教育委員会では、教職員の勤務時間の削減と業務負担軽減を図ることで、教職員が自らの人間性や創造性を高め、子ども達に対してより良い教育を行うため、働き方改革に取り組んでおります。


 具体的には、出退勤管理システムの導入や退勤時間を19時に統一するなど勤務時間を意識した働き方の推進、デジタル採点システムや県内統一の校務支援システムの導入などICT化の推進、部活動での活動時間や休養時間等を定めたガイドラインの策定、教員業務をサポートする外部人材の積極的な活用などに取り組んだ結果、例えば、県立学校の一月当たりの時間外に在校した時間の平均は、和元年度3 2時間から、和4年度には20時間と約12時間減少いたしました。


 また、今年度、WEB出願システムを導入した高等学校入学者選抜では、受検生のデータの正確性の確保と、中学、高校、県教委の事務局の事務量の大幅な削減が図られております。今後も、長時間勤務と多忙化の解消に向け、様々な手法を用いて教職員の働き方改革に取り組んでまいります。


 Q:1年単位の変形労働時間制の導入を判断した根拠は。


 A:(教育長)本制度については、「教職員の働き方改革プラン」において、和2年度から検討する旨を記載しております。


 また、制度の活用の前提となる時間外勤務が概ね月45時間以内の教員の割合は、例えば、県立学校においては、年間平均で和年度の約7 0%から令和4年度は約90%に増加している状況です。


 こうした中、今年度、県内の公立学校に勤務する全教員を対象に、メリット及びデメリットを示すなど丁寧に説明した上で、アンケート調査を行ったところ、72%にあたる約1万2千名余りから回答を得、そのうち44%にあたる約5千3百名が、本制度を活用したいとの回答を受けており、今回の制度導入の判断に至ったところです。


 本制度は、県全体や市町村、学校単位で行うものではなく、あくまでも個人で選択できるものであり、年次休暇の年度への期間変更とともに、教員が年度を通じて自身の働き方を考える契機となると考えております。今後は、制度の周知や運営マニュアルの策定など、和7年度の施行開始に向け、1年間をかけて丁寧に準備してまいります。


 Q:飛騨牛繁殖研修センターの研修生確保に向けた取組みは。


 A:(農政部長)今年度は、新たに作成した研修ガイドと紹介動画によるガイダンスの実施、東京や大阪で開催される就農フェアへの参加の拡大や、地元フリーペーパーでのPR活動など取組みの強化を図りました。これにより、相談件数は昨年度を上回る28件となり、体験研修にも至りましたが、現時点で入所にはつながっていません。


 相談の中では、畜産業に携わることへの不安の声も多く、まずは牛に触れる機会を設けるため、就農フェアや全国規模の移住フェアなどに訪れた県外相談者に岐阜へ来ていただき、都会に近く豊かな自然に囲まれた生活と、飛騨牛の飼育現場を1泊2日程度体感する機会を設けてまいります。


 また、県内の農業高校や農業大学校の生徒が肉牛農家となるまでの道筋をよりイメージしやすくするため、新たに、研修修了生が牛を飼う喜びや研修の大切さを語る交流会を開催してまいります。


 今後は、研修センターのパートナーである岐阜大学、全農岐阜県本部との連携を強化し、研修生の確保につなげてまいります。


◯暮らしを守る取組みについて


 Q:岐阜県指定金融機関の選定の理由は。


 A:(知事)現在の指定金融機関の指定期間は、和6年度末までということになっております。


 そこで、会計事務に支障が生じないように、前回と同様、期限の1年前に、次期指定金融機関を選定するということにしているわけであります。


 このため、昨年7月に、県内に本店を有し、経営規模など一定の要件に該当する金融機関に対しまして、指定を希望する場合には所定の資料を提出するよう求めたところでございます。


 これに対して、2つの銀行から資料が提出され、これらをもとに「経営の健全性・安定性」「県民の利便性」「指定金融機関業務の受入態勢」「地域経済への貢献」といった観点から検討を行ってまいりました。


 この結果、両行ともに、経営の健全性・安定性に問題がないこと、県内に広く店舗を設置するなど県民の利便性に優れていること、指定金融機関業務を問題なく担った実績があり業務を実施する能力・体制に問題がないこと、地域経済への貢献に積極的であることなど、いずれも指定金融機関業務を十分担うことができる金融機関であることを確認しております。


 一方、ここ数年、国からも通知が出されるなど、全国的に公金取扱事務に係る経費の見直しに向けた動きが本格化しております。本県の指定金融機関の委託に際してもこれは例外ではございません。


 この点に関して、今回の調査で両行の提案を比較しましたときに、公金取扱業務に見込まれる手数料の点で有意な差が認められたことから、このたびの結論に至ったものでございます。


 Q:岐阜県TDMプロジェクトに対する県の取組状況は。


 A:(県土整備部長)国・県・市・警察などで構成する「岐阜県道路交通渋滞対策推進協議会」では、岐阜市内立体工事の着手にあたり、交通集中の分散を目的としたTDM社会実験を行っております。


 昨年度の実験では、岐阜市内で発着する人を対象に、通勤時間や交通手段の変更などを呼びかけ、県からも350名以上の職員が参加しております。その結果、国道21号の部周辺では通勤ラッシュ時の渋滞の長さが、300メートルほど改善されております。


 この結果を踏まえ、協議会では昨年11月、県内全域の自治体や企業などに広く参加を募り、恒常的な渋滞緩和につなげる「岐阜県TDMプロジェクト」を開始いたしました。現在は14の自治体と60の企業が参加しており、県としても職員の時差出勤や利用経路の変更、公共交通機関や自転車通勤に継続的に取り組んでおります。


 今後も、広報や各種会議の場において、広く参加を呼びかけるなど、多様な働き方やCO2の排出削減、ひいてはSDGsの実現にも貢献する本プロジェクトの実効性の向上に取り組んでまいります。


 Q:孤独・孤立対策地域協議会の設置における県の役割は。

 A:(健康福祉部長)孤独・孤立状態に陥っている方への具体的な支援内容を協議する孤独・孤立対策地域協議会については、基礎自治体である市町村が設置し、県はそのバックアップや未設置の市町村がある場合の広域的な設置が、各々の役割分担として国から例示されています。

 これを踏まえ、県としては、まずは年度内にも市町村との意見交換を開始し、丁寧に意向を確認しながら必要な対応を検討してまいります。

 その上で、市町村が協議会を設置する場合は、専門的・広域的な見地から、必要に応じて精神保健福祉センターや女性相談センターなど県の関係機関が参画し、活動を支援してまいります。

 こうした取組みに加えて、県や県内全市町村、NPO等からなる孤独・孤立対策官民連携プラットフォームを活用し、関係機関同士の情報共有や広域的な連携強化、さらにはシンポジウムなどの広報啓発に取り組むことで、孤独・孤立の問題を抱える方を早期に発見し、必要な支援につなげてまいります。

 Q:Gークレジット制度の本格展開をどのように進めるのか。

 A:(林政部長)昨年11月の制度開始以降、まずはクレジットの創出に向け、林業関係者へのPRに努めてきた結果、これまでに4者から申請があり、7者が次年度の申請に向け検討を進めています。

 一方で、クレジットの認証、販売については、昨年度試行的に取り組んだ2者の申請分について、今月開催する運営認証委員会での確認を経て、第1号となるクレジットを認証する予定です。

 今後、クレジットが活発に取引されていくためには、クレジットの魅力や認知度を高めていく必要があります。

 このため、まずは昨年11月に条例に基づく温室効果ガス排出削減実績にクレジットを活用できるよう規則を改正しました。さらに公契約においてクレジットの購入実績を評価する仕組みの導入について関係部局と調整してまいります。

 加えて、制度の普及やクレジットの購入に継続的に取り組む金融機関や企業を登録し公表する「(仮称)Gークレジットの森・応援パートナー」制度を創設し、本格的な運用を進めてまいります。

以上、