(全体像を示せば支持される?)

先日(22日)、高村正彦・自民党副総裁は、集団的自衛権に関する東京都内での講演で「来年の通常国会で全法案が出る。全体像を示して審議すれば、多くの国民の理解が得られる。法律が通る頃には50%以上が支持してくれる。」との見通しを示しました。

(自衛隊員の奥様方の誤解)

しかし、本当に「国民が支持してくれる」でしょうか。同日、岩国市内で行った街頭演説の際にアンケート(集団的自衛権の行使について、「賛成」・「反対」・「わからない」を問うアンケート)を取ったところ、数少ない「賛成」と回答した人たちの中に、岩国に駐屯する自衛隊隊員の奥様方がおられました。

夫婦仲が悪いから「賛成」しているのではありません。その奥様方は、「今は、自衛官である夫たちが海外に行った際、十分な武器が使えない。集団的自衛権の行使が認められると十分な武器が使えるようになるので、集団的自衛権の行使に賛成する。」と、夫の身の安全を心配して答えたそうです。

この答えは、誤解から生じています。現在自衛官が海外に出て行っているのは、集団的自衛権が行使される場面ではありませんし、むしろ、安倍内閣の閣議決定では、これまで自衛隊が活動していた場所が安全な場所に限られていたのに対し、もっと危険な場所での活動を認めようとしているのです。

国会の集中審議で岡田克也衆議院議員などが、しつこく「自衛隊のリスクが高まることをちゃんと認めるべきだ」と追及しても、安倍首相は答えませんでした。安倍政権が考えていることの実態を知れば知るほど、高村副総裁の期待に反して、自衛官の奥様方は、自分たちの夫がより危険にさらされていくことに気づくでしょう。

(集団的自衛権問題の本質)

ところで、高村副総裁は、この講演で「(現行憲法の下で)集団的自衛権行使は丸々駄目というのは論理の飛躍だ。必要最小限というのであれば(そもそも認められるので)、形式的には解釈変更ということになるが、実質的には解釈変更に当たらない。」と強調したそうです。

しかし、この説明は、「集団的自衛権の行使」問題の本質を理解しない発言です。問題の本質は、「日本国憲法は、諸外国の間で起こる武力紛争(国際的紛争)に我が国が軍事的な介入をすることを認めておらず、我が国が武力攻撃を受けた場合にのみ自らを守るための武力行使を認めている。」との考え方を変更するのか否かという点です。

我が国の国際社会における立ち位置を変更することになる今回の「集団的自衛権の行使」容認の閣議決定は、「実質的な解釈変更」に止まるどころではない、「実質的な憲法改正」を行うに等しいものであって、立憲主義の考え方からは、決して許されるものではありません。

(了)