終戦記念日の本日、超党派のハト派系議員で構成される「立憲フォーラム」の近藤昭一会長(衆議院議員、民主党)が、「国際的な協調と共存を図るための平和創造基本法案」(仮称。以下、「平和創造基本法案」という。)を試案として提案しました。

平和創造基本法案は、軍事面に限らず、「平和的生存権」や「人間の安全保障」を実現しようとする法案であって、「これから国民の皆さんと一緒に我が国の安全保障の在り方を考えて行こう」とする議論のたたき台となるべきものとして提案されたものです。

平和創造基本法案の作成においては、私も、近藤会長の作業のお手伝いをさせて戴きました。自民党の「安全保障基本法案」や民主党の前原、長島議員等の「安全保障基本法草案」が、軍事的行動に偏重した法案となっているのと違って、「日本が進むべき道」が適切に描かれていると思います。

以下に、その法案の「要綱骨子試案」をお示しします。ちょっと長いですが、皆さんに是非一読して戴きたいと思います。安倍首相が唱えている「日本を取り戻す」として描いている「社会のあり様」や「日本のあり様」とは違った姿が見えてくると思います。さあ、皆んなで平和創造基本法案を論議しましょう!


「国際的な協調と共存を図るための平和創造基本法」について(案)

(基本的考え方)

 私たちが目指す「社会のあり様」は、私たちの生活が様々な脅威から守られ、私たちの生存が脅かされることのない社会、すなわち、「平和のうちに生存する権利」(平和的生存権)が保障され、「人間の安全保障」が確立されている社会である。

 そのため、私たちが目指す「我が国のあり様」は、人類の内なる脅威(戦争、貧困等)と人類への外からの脅威(気候変動、災害、疾病等)に対して、世界各国と協調して取り組む国となることであり、国際的な協調体制が築けるよう積極的な役割を果たす国となることである。このような「我が国のあり様」を通じて、私たちは、「人類の共存」や「世界の国々との共存」を目指していく。

 特に、人類の内なる脅威のうち「平和的生存権」を侵害し「人間の安全保障」を脅かす最大のものである戦争に関しては、平和主義及び国際協調主義を理念とする現行憲法の下にある我が国においては、世界をブロック化し、敵・味方を分けて対立をあおり、集団的自衛権を含む軍事的関与を拡大させようとするような考え方は、許されるべきではない。

 以上の基本的考え方に基づいて、我が国は、「戦争を起こさせない」「戦争被害を最小限に食い止める、戦争を早期に終結させる、戦後復興に最大限貢献する」との基本的視点に立って行動すべきであると同時に、米国の一国支配が終焉し世界で多極化が進む中、世界的な協調体制を築くために積極的な役割を果たすべきである。

(法律案の趣旨)

 以上の考え方に立って、本法律案では、憲法の平和主義及び国際協調主義の理念を踏まえ、特に憲法第9条に関し「他国間の武力紛争への軍事的不介入」を前提としてその解釈を確定させるとともに、必要最小限の自衛力の保持と自衛権行使の限界、国連を中心とした国際社会の諸努力への参加の原則、 北東アジアの地域安全保障体制の構築推進等を明らかにすることにより、平和主義と国際協調主義に 立脚し、国際的な共存を目指す我が国の安全保障への取組を規定する。

【国際的な協調と共存を図るための平和創造基本法】(仮称)(要綱骨子素案)

昭和二十二年五月三日、日本国憲法が施行され、その前文において、我々日本国民は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすること及び平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して我々の安全と生存を保持しようとすることを決意し、並びに全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認した。我々日本国民は、これまで一貫してこの日本国憲法の理想及び目標を達成するために、たゆまぬ努力を続けてきた。

しかるに、日本国憲法の施行後に生じた国際的な対立構造によって、その理想及び目標の十分な実現が妨げられてきた。また、今日、国際社会において、多極化が進行し、国際連合を中心として協力して取り組むべき課題も多様なものとなっている。

このような状況の下、我々は、改めて日本国憲法の理想及び目標並びに国際連合憲章の精神に思いを致し、世界の平和と人類の福祉の向上に向けて貢献すべきである。また、我々は、そのために、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会との協調及び共存を図らなければならない。

ここに、我々は、日本国憲法及び国際連合憲章の精神にのっとり、安全保障の基本理念を明らかにしてその方向性を示し、及び日本国憲法の下で創設されかつ維持されてきた自衛隊の役割を確認することにより、日本国及び日本国民の安全を保つとともに、国際の平和及び安全を維持するため、この法律を制定する。

第一 総則

1.目的  国及び国民の安全を保つとともに国際の平和及び安全の維持に積極的に関与すること

2.基本理念  

日本国憲法に定める平和的生存権を保障するため、安全保障政策は次の5つの理念を旨として行われる。

(1)国際的協調の推進、人間の安全保障の確立等を通じた平和的生存権の保障

(2)非軍事的手段による国際紛争の解決

(3)専守防衛

日本国憲法の理念を踏まえ、専守防衛、軍事大国化とならないものとする

(4)国際の平和及び安全の維持のための努力への寄与

(5)民主的統制の確保等

我が国の防衛、国際の平和及び安全の維持に関する国際協力に関する重要な事項への国会の関与の保障

3.国の責務

(1)施策の策定及び実施

(2)地方公共団体等との協力

(3)国民生活に及ぼす影響についての考慮

第二 国際的協調及び諸外国との平和的共存を図るための基本的施策

1.通則

  (1)外交上の努力の推進等

  (2)軍縮の推進等

     核兵器、その他大量破壊兵器、地雷、クラスター弾等の非人道的な兵器の削減と廃絶などの軍縮を積極的に推進。核兵器・大量破壊兵器の製造・保有・持ち込みを禁止。宇宙空間での軍事的活動の禁止。

  (3)国際連合の集団安全保障への寄与

     国連の行う国際の平和及び安全の維持又は回復を図るための活動への積極的な協力。武力による威嚇又は武力行使、武力行使との一体化は認めない。その際の武器使用基準は自然権的権利を保護する場合に限る。

2.国際的協調及び諸外国との平和的共存の推進

  (1)人間の安全保障の確立

     世界的な人口増加、気候変動、疾病、貧困、エネルギー、食糧、水など人間の生存及び生活に対する様々な脅威を除去するための国際協力の積極的な推進

(2)政府開発援助の適切な実施

     軍事的用途への転用、国際紛争の助長につながらないよう必要な措置を講ずる

  (3)災害救助機能を有する専守防衛の実力部隊の整備の推進

  (4)核兵器の原材料の国際的管理の推進

(5)国際連合の活動に対する協力の推進

国際協調主義の理念に基づき国際連合待機制度への積極的対応

3.北東アジア地域における安全保障体制の構築等

  (1)東アジア地域の諸国との信頼関係の構築

     東アジア地域の諸国の文化、歴史等に関する国際相互理解の増進その他必要な措置

  (2)北東アジア地域における安全保障体制の構築

  (3)日米安全保障条約に基づく安全保障体制の堅持

     北東アジアの地域安全保障体制確立までの間の日米安保の堅持。在日米軍駐留による近隣住民の負担の軽減のための措置

4.安全保障に関する情報の取扱いの適正化

  国民の知る権利を制限する必要がある場合に、保護される情報の指定・解除の明確な基準の設定、独立性の高い機関等による監視の推進等

第三 自衛権及び自衛隊

1.自衛権

  (1)自衛権の発動の要件

     我が国への急迫不正の侵害を排除するために他に適当な手段がない場合に限定

  (2)自衛権の発動としての武力の行使の限度

     武力の行使は必要最小限度にとどまること

(3)集団的自衛権の不行使

国連憲章51条の集団的自衛権の権利は行使しない

2.自衛隊

  (1)自衛隊の保持及びその任務

     我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つことを主たる任務とする必要最小限度の防衛力として自衛隊を保持し、必要最小限度を超える実力の保持は認めない。災害対応、公共の秩序の維持。

  (2)自衛隊の整備及び民主的統制

     自衛隊の定員、予算、編成、装備、行動等自衛隊に関する重要な事項については、国会の関与を保障する

  (3)自衛隊員

     自衛隊員になることを強制されない。自衛隊員の人権の尊重など。

3.我が国に対する武力攻撃に当たらない侵害が発生した事態への対処

  (1)武力紛争の回避

  (2)警察等による対処

  (3)警察等と自衛隊との連携の確保等

第四 緊急に講ずべき措置

 1.北東アジア地域における軍事的衝突の未然防止等のための体制の構築

   北東アジア地域における軍事的な衝突を未然に防止し、衝突が発生した場合に紛争の拡大を防止するための体制の構築

 2.軍事施設の近隣住民の負担の軽減

日米安全保障条約に基づきアメリカ合衆国の軍隊が駐留することにより生じ、又は生じるおそれのある当該軍隊の施設の近隣住民の負担が軽減されるよう、必要な措置を緊急に講ずる

 3.日米地位協定の見直し

   日米地位協定について、我が国の法令の尊重、定期的なアメリカ軍施設の使用計画の見直し、

同軍の兵士である被疑者の拘禁の我が国の施設での実施等の実現に必要な措置を緊急に講ずる

第五 その他

1.施行期日

2.関係法令の整備