読売新聞の「五郎ワールド」は楽しみにして
います。
今回は女性デザイナーの石井幹子さんに
関するものでした。
小説家の日野啓三が肝臓がんで慶応病院で
術後東京タワーを眺めた時、
「地獄から地上へ、あの世からこの世へ、幻覚
荒れ狂う狂った世界から事物の落ち着いた
まともな現実へ、ついに私は戻った、私は生き
返った」
東京タワーの照明を大変気にいっていた。
けばけばしく派手でなく、威圧的に明る過ぎも
せず、かすかに愁いをふくんで白銀の色が
くっきりとシャープで、品があって聖なる気配を
帯びていると感じたようです。
日野は照明をしてくれたデザイナー石井幹子
さんに心の底から感謝した。
(日野の“断崖の年”にくわしく書かれている
ようです)
照明デザイナーの石井はプロとしてやって
いくのが「暗い海に一人舟をこぎ出した気分で
ある」と試行錯誤し、先駆的な仕事を続けて
いったようです。
最後に橋本五郎さん斎藤茂吉の歌が
浮かんだと言っています。
「あかあかと一本の道とほりたり
たまきはる我が命なりけり」
茂吉の解説では
「秋の一日代々木の原を見わたすと、
遠く遠く一本の道が見えている。
赤い太陽が團團として轉がると一本の
道を照りつけた。
僕らはこの一本の道を歩まねばならぬ。」
「たまきはる」:命などにかかる枕言葉で
魂(霊魂)の極まる、全身全霊の思いを
込める
最近、体調が悪く、お客様の相談が苦に
なっていたのですが、「五郎ワールド」の記事
を読んで、気持ちが少しだけ上向きになり
ました、斎藤茂吉の本も読んでみたいです。