武田鉄矢が司会をしている歌謡番組なの
ですが自分の知らなかった歌が紹介される
ことがあり、時々名曲に出会います。
昨日、桐生祭りだったのですが、地元の八木節
には自分の気持ちと共鳴することがないし、人が
あまり多くいる場所は好みません。
昨夜の番組で「白い勲章」という
宅島徳光という学徒出陣生の日記をモチーフに
美空ひばりが補作詞し、船村徹が作曲した歌を
聴くことができました。
どんな感想をもたれるかは個人個人違い
ますが恋人同士がそれぞれの写真を交換
して別れる場面が印象深かったです。
話がとんでしまうのですが、いま
『書く力』加藤周一の名文に学ぶ 鷲巣 力 著と
いう本を読んでいて、その中の第4章
五感でつかむー「美しい顔」という部分が妙に
興味をひきました。
一部を紹介します
「女の顔が美しく見える時がある。小さな顔が
テーブルの向こう側に、ほの暗い灯りのなかに
浮き出し、眼があうと、その眼が、微笑(ほほ)
えんで、眼が逸(そ)れると、その眼に微(かす)
かな潤(うれ)いがある。・・・・・・・・・・
仄暗い光のなかでも、小さな顔のはっきりとした
輪郭が見え、生涯の記憶の、どこかでいつか
出会ったやさしい感情のなかに、たくさんの景色
が蘇る。・・・・・・・・・・・・・・・・
女の顔がかぎりないやさしさに溢れ、かぎりなく
美しく見え、ほとんど息が止まるほど、
どこまでも吸い込まれて行く深い碧空(へきくう)
の奥のようにみえることがある・・・・・・・・・」
全文を読まないとこの文章が名分であるという
ことはわからないでしょう。
学徒生が彼女と向き合っている時
五感のすべてを駆使し、その美しさを心に
とどめたのではないかと想像しています。