無免許運転はいけません。当然のことです。


教員免許、医師免許、…世の中にはたくさんの「免許」があります。それぞれの職業で一定の技術能力を持つことを証明してくれる、その仕事に従事するには必要不可欠なものです。


しかしながら、塾の先生になるのには、何の資格も何の免許もいりません。




面接で

「人に教えるのが好きです」

「子供が好きです」

「一生懸命頑張ります」


こう答える先生は多いのですが、

「どうしても英単語を覚える事ができない生徒さんにどのように指導しますか。」

「どうしても算数の割合が苦手な子供にどのように指導しますか。」


ときかれて、その技術を持っている先生はあまり多くないように思われます。


英単語がどうしても覚えられない子供の場合を例にとると、


授業中に単語を覚える時間をとります。そして最初は鉛筆を持たせずに、机の上に人差し指で指書きをしてもらいます。

「アープル」と声に出しながら、です。

そこは徹底して、指で完璧に書けるまで机の上に練習します。

そして指で書けるようになったら、鉛筆を持ってノートに一回書きます。もし書ければ、その先ほど書いたものを消しゴムか何かで隠して、もうひとつ書いてもらいます。

さらに念のためもう一つだけ書いてもらいます。

これで大抵の子供は(その瞬間だけは)書けるようになります。


間違っても、いきなり「ノートに50回練習しなさい」、「100回練習しなさい」、などとは言いません。英語の勉強が「辛い作業」になり、英語嫌いを加速させるだけだからです。


その次の時間にテストをするのですが、

私の場合、その子の能力に応じて、

5問テスト

10問テスト

20問テスト

と3種類作ります。


そして1〜3問間違えた場合は

「間違えた単語だけを机の上に指書きで何回でも書けるまで練習しなさい」

と指示します。


そしてその1〜3問のうち一つだけを

「指書き再テスト」と題して机の上に書いてもらいます。


先生の中には、いわゆる「再テスト」などせずに丸つけをして終わりにする方もいるでしょう。

或いは逆に、間違えたものを20回練習、50回練習、100回練習させる方もいるでしょう。


私は両方ともとりません。


宿題として「覚えてきなさい」という場合、覚えなかった場合、何らかの負荷がかかってしまうルールがないと、「覚えなくてもいいや」となってしまう事が多いからです。しかもその際のルールは「英語嫌いを加速させるものであってはならない」からです。


時には全く書けない子供もいるでしょう。

その場合にも、間違えた単語から

「テストに出易いものを3つ選ぶから、今からその3つを指書きで練習しなさい」と指示して、のうちの一つをやはり指書きで「再テスト」します。

それで正しく書ければ「合格」にします。


覚えてこなかった生徒さんに、

「どうして覚えてこなかったんだ!!」

と怒鳴るのは簡単です。


しかしながら、単語をいくら努力しても、「どうしても頭に入らない」子供はいるのです。


「怒鳴る」という方法はある意味で「楽」です。全て生徒の責任にすることができます。

「楽」な方法に逃げては駄目だと思います。


以上は一つの「技術」です。「勉強のよくできる生徒たち」だけを担当していては、身につくことのない「技術」です。


冒頭に書きましたように、塾の先生は全員「無免許運転」です。


皆さんの先生は「技術」をちゃんと持っていますか。『単語が書けない』今日は少し教育技術的な話です。これまで20年以上、いろいろな生徒さんを見てきました。その中には、いくら頑張っても、英語の単語が書けない、覚えられない、という子…リンクameblo.jp