セルフ・アイデンティティ -5ページ目
久しぶりにデートの約束。
仕事をあがってから、
彼の会社の近くまで急いで向かう。
彼が連れて行ってくれたのは、
地ビールがおいてある小さなお店。
明るい店内に、
カジュアルな雰囲気のカウンターと、
テーブル席がいくつか、わりと盛況。
それもそのはず、
地ビールの取り揃えも珍しいし、
小皿のサイズでお惣菜がいろいろ、
どれをとっても期待どおり美味しい。
ビールは少し苦手な私も、
ご機嫌に酔うことができてしまい
(選んだビールは柑橘系ばかり
)
私は、ほんとはお酒が好きだけど、
今は彼としか飲まないので、
こういうご機嫌モードは特別な感じ。
彼とつきあっていて感動するのは、
衣食住の好みが絶妙に合ってるとき。
一緒に過ごす時間のベースだから。
彼とはもっともっと
一緒にいる時間のことを相談したいよ。
いつでも仲良く並んでいたいと思うよ
久しぶりに
ずっと本を読み耽っていた。
時間の感覚がなくなって、
どれだけそこにいたのか
わからなくなる懐かしい感覚。
まったく種類の違う
恋愛小説を数冊続けて読んで、
ずしっときたのは1冊だけだった。
うまい感じで
仕事と恋愛と飼犬と生と死と
浮気と本気と名誉と執着と達観
いろんな感情が混ざり合って
ちょっとだけ涙がでた。
どうすれば
私は私に追いつくのだろう。
愛してることに気づくのと
別れることを受け入れるのが
同じタイミングになるのには
それなりの理由があるはずだね。
あと1分くださいと
その小説の主人公は願うのだけど
その気持ちは
わかるようでわからない。
気持ちが離れたあとで
やり直すことはできないのだから。
彼と新幹線に乗るのは
1年に1度あるかないかだったのに
近頃はときどき
一緒に遠出をするようになりました
二人きりで過ごせる時間は
私にとってはとても貴重に思える時間で
これからもこんな風に
日帰り旅行ができたらいいなと思います
これまでの私の恋愛には、
「いつの間にか好きになった」
という経験が一度もありません。
相手の良いところを知って
徐々に好きになる、というような
タイプではないんだろうと思います。
不思議なことに
出会ったその瞬間に
私にはそれがわかってしまうのです。
「私はこの人を好きになる」
なにを根拠にそう思うんでしょう?
なにも知らない相手のことを
直感的に肯定しているようです。
そしてあたかも
ずっと恋焦がれていたかのように
「やっぱりこの人が好きだ」まで、
私自身の気持ちが変化する経過と
相手の気持ちが寄ってくる予感が
なにかのタイミングで
確信になっていくのです。
彼と出会ったときもそんな風でした。
彼に会った夜。
苦笑しながら彼が言う。
結局似てるんだよね。
なにが似てるのか
私にはよくわからない。
彼が謝ってくれた言葉を
そのまま受け取っていいのか
また先送りになっただけなのか
やっぱり考えあぐねてしまうよ。
彼と私は
長くいるようで
離れていた時間はもっと長い。
だからふつうに話さないと
その時間を埋めるのは難しい。
きっと
彼が不安に思うのも
私が面倒に思うのも
離れていた時間にあったことを
まだちゃんと話せていないから。
そうわかれば
ふたりのこの行き違いにも
説明がつくのかもしれないね・・・。

