主人の転勤でベルギーへ。
首都ブラッセルは森の中に街がある様な美しい所。フランス語にはなかなか苦労するけれど、折角の海外生活で何か学んで帰る事はないかと日々探していました。ある日英語で書いた彫金教室のチラシを目にしました。英語なら何とかなるかもと、訪ねてみました。
先生はベルギー生まれの白人でちょっとシャイな感じ。後でわかった事には、日本からジュエリーの勉強に来た留学生だと思ったのだそうです。
私はダイヤモンドで有名なベルギーに住んでいた記念に、帰国までに、ひとつリングが自分で作れたらいいな、くらいの気持ちでした。
優しそうな先生は実はとても厳しい人で、手が覚える仕事は一日休んだら後退するから、毎日来るように言われたのでした。一日休んだら二日後退すると言われるバレリーナみたいと、驚きました。
家で練習する事を条件に、日曜日だけはお休みにしてもらい学生の様な生活が始まりました。
工房にプロを目指す人達が何人か居て、日本人を珍しがって、よく話しかけてくれました。先生の厳しいダメ出しに励まし合いながら、時には皆んなで美術館へ行ったり、工具を買いに行ったり、言葉や風習の違いに戸惑いながらも、かけがえのない時間の中で、確実に手は仕事を覚えていきました。