彼女は控えめで繊細な人。私とは全く性格が違いますが、家が近くだった事もあり仲良くなりました。
家族ぐるみで食事に行くことも。「うちは二人とも口数が少ないから、にぎやかでうれしいわ」と私の冗談に笑ってくれていました。
ある日、彼女がとても素敵なダイヤのペンダントをしているのを私は見逃しませんでした。「突然お誕生日にくれたの」
「いいな、いいな」と騒ぐ私に「今までこんな事なかったのよ」と嬉しそう。そのペンダントはデザインが良くて、ご主人のセンスに脱帽です。
しばらくして彼女に会った時も「本当にそのペンダント綺麗ね」と褒めたら「それがね彼女は笑いながら「留め金が硬くて自分では付けられないの」いつもご主人がつけ外ししてくださるとのこと。「ご馳走様~」新婚なら兎も角、そんな面倒なことをしてくれる男性はなかなかいません。子供のいない夫婦はいつまでも恋人みたいなのだなとうらやましく思いました。
その時は彼女の幸せな生活が消え去る日が近いなんて思ってもみませんでした。
出張に出かけたご主人が交通事故に合われて帰らぬ人に。慌てて彼女の家へ行きました。
呆然とする彼女にかける言葉もありません。その時は気が付きませんでしたが早めにお通夜に伺った時、喪服の彼女の胸元にきらり光るものが。「あ~朝ご主人がペンダントを付けて出かけて、外せないままだったんだ」私は彼女に近寄り、そっとペンダントを外すと「つけやすい金具に変えておくね」と預かりました。
いつかこのペンダントを自分で付けて出かける日が来ることを信じて。