「さくらを見る会」の招待状が届いた。今、問題になっている総理主催の「桜を見る会」ではない。

友人の外科医が自宅で催すものだ。

彼とは病院の待合室で知り合った。と言っても医師と患者としてではなく、患者同士として。

彼は木彫が趣味で,能面を彫っていて、私は仕事で金属を彫っていて、手をスパッとやってしまった。

誰にとっても手は大切だけれど、我々にとっては仕事道具。手の怪我は死活問題である。

傷は治っても指がうまく曲がらないので、神経ブロックという治療法を試してみることにした。

「ここの先生の腕は確かだよ」首い大きな注射針を刺すと聞いてビビる私に声をかけてくれたのが彼だった。

お宅には伺ったことがなかったので、楽しみだけれど、桜って・・・会期の頃にようやく梅が咲くかどうか。

どういう事なのかなと思いながらお宅を訪ねた。リビングに通されると談笑している女性に目が留まった。

胸元にレースがあしらわれている、ペールピンクのセーターが白髪に良く似合っている。小さなダイヤが並んだシンプルなイヤリングも素敵だなと見ていると、シャンパングラスを持つ手がキラリ。ピンクダイヤだ!日本人の手の色に良く合うライトパープリッシュピンク。

私はかねてから、年齢と経験を積んだ手にこそピンクダイヤは似合うと思っていた。

元々産出量が少ないのに、オーストラリアの鉱山が閉鎖するので、ますます手の届かない存在になる。

彼女の神々しい雰囲気にぴったりだ。近寄って話をしようとした時、彼が現れて「紹介するよ。僕の母のさくらです。」戸惑う私に「そう。さくらを見る会」その後を彼は言わなかったけれど、きっとお母様の誕生日だ。なんかおかしいと思いながら、リサーチせずにプレゼントも持たずに来てしまった。気後れしていると「お会いしたかったのよ」と私に飲み物を勧めてくださった。その場にいた方々にも紹介して頂き、皆を大きく包む様な彼女のおもてなしでホームパーティーを楽しむことができた。帰り際、彼女が窓の外を見てこう言った。「今度は花が咲いたら、またいらしてね」指差す庭には大きな桜の木があった。春が来るのが楽しみで仕方ない。