5☆STAR GP2016優勝決定戦
美闘陽子 vs テッサ・ブランチャード




イオとカイリの星の潰しあいの末、今年の決勝に上がってきたのは美闘陽子とテッサ・ブランチャードとは伏兵もいいとこである。

例年以上に星の潰しあいがあったようで何個かの不戦勝もあり、5☆STAR GPの歴代優勝者を見ればわかるが、まだ二連覇や二度優勝をしたものがいない。
それだけ勝つのが難しいリーグ戦で復帰してそこそこの美闘陽子が確実に決勝まできたのはやや意外だった。
また相手のテッサ・ブランチャードにしてもレスリング一家のブランチャード家のサラブレッドとはいえ、トニーやケイに比べたら未知数の存在だったので、こちらはより大穴だった。



テッサが警戒したというように美闘の持ち味は重いキックである。




ブランクが長かったといえどもその破壊力は健在だった。
相手がどんなに有利に試合を進めてもいい蹴りをもらえば一発KOに繋がる危険性もある。
テッサは蹴りを警戒してそれに対しては徹底的に逃げた。

ドラゴンスクリューで倒してから美闘の背中に蹴りこむテッサだが、蹴りそのものはあまり上手くない。
やはりこの人の持ち味はレスリングだろう。



キチンシンクで攻めていくテッサに対して美闘はランニングネックブリーカーを唐突に出しダメージを与えた。
しかしどこのダメージかあるいは自分の頭も打ったのか美闘の目の焦点が定まっておらずスタミナもかなり苦しそうである。
連戦のダメージも考えられないことはないが、大した大技も食らってないのに精彩がない。



対してテッサは親父のタリー・ブランチャードがリック・フレアーのチームで長らくやっていたのでテッサもフレアーの王道学をある程度は備えていると思えた。
予想どおりロープを使っての腰攻めもあり、口頭での挑発もあり、典型的なアメリカのオールドファッションタイプである。



これがイオならばそういう相手に対しての対応もあるだろうが、美闘は過去にこういう選手との対戦がほとんどなく対応策を持っていない。
性格的にもおそらくこの手の選手は苦手だろう。

それでも無理にどつきあいに持ち込んでしまえばまだなんとかなると思ったが、ジャーマンやミサイルキックなど単発の反撃しかないので流れが変わらない。
またテッサも慎重になってか一気には来ないので消耗戦になり、噛み合わない状態が続く。

そのため美闘への声援はあるが、流れを作っていくのがまだ復帰したての美闘にはできないため声援を味方につけることも難しい。
結局は流れを無視してBドライバーを使い、強引に勝ちに行った。

だがBドライバーもドールBも一発では決まらず。



さらにテッサもまだ返してくる。
こうなると美闘は再びBドライバーを叩きこみ。



ドールB二発めを叩きこんで必死に押さえ込みカウント3。

美闘陽子が20165☆STAR GPの優勝の栄冠を手に入れた。




正直試合内容では歴代最低の決勝の内容だったかもしれない。
けど優勝を期待されてるこの状況で内容を気にして負けるよりも多少のことは気にせずに優勝にこだわった方がよっぽどいい。
ここで優勝するのとしないのでは大きく違うからである。


正直美闘にとってはちょっと気の毒だった。
相手がイオかカイリを下しての優勝であればブランクの長さも含めて大きく評価されたのだろうが、苦手なタイプのテッサが上がってきてしまい内容も噛み合わない。
あれが新木場での普通の試合ならば特に気にも止められなかっただろうに。



だが次は違う。
優勝したからには次のイオへの赤いベルトのチャレンジだ。
4月のシンデレラを優勝した岩谷を退けたように赤いベルトとの一発勝負であればイオは経験も多いし圧倒的に強い。
昔一度シングルはやっており20分引き分けだったが、おそらくそのデータは全く参考にならないだろう。


5☆STAR GPの決勝戦でありながら後楽園が完全な満員にならなかったのもちょっと不安を感じた。
以前のドン底状態に比べたら人も内容もだいぶ全盛期に戻ってきた。
だがまだ何かが足りない気がする。



つい最近アクトレスガールズのことで堀田祐美子と話すことがあった。
プロレスは戦いだという信念をもとに堀田は今、アクトレスガールズがナメられないよう真剣に教えてるのでサオリもなつみももう正直あの位置の器じゃない。

イオたち上三人以外の選手に危機感があったのだろうか?
私が思う限り必死に頑張るという気概が上三人以外で見えたのはジャングル叫女だけだった。
正直このままだったらスターダムが規模も何もかもが小さいはずのアクトレスガールズに抜かされることもあるだろうと思っている。

スターダムの上三人以外が変わらないとスターダムはこのまま変わらない。
たぶん次のイオと美闘の対決の結果次第ではいろんなものが変わってくるだろうなと思うのだ。
イオに少しだけ話す機会があったので、彼女(美闘)が今日弾けられなかった分、次の戦いで弾けさせてほしいと話した。



スターダムもスターダムで大変な部分もあるだろうけど、安穏としてられる暇はこれっぽっちもないんだよと言いたかったのである。