デビュー戦

尾崎妹加 vs 播磨佑紀


メインにゆうなを差し置いて登場した二人は同じ劇団出身でもあるが経歴がなかなかすごい。
まず青いコスチュームの尾崎はなんとパワーリフティングの三冠王者とか。
見た目にはちょっとわからないがパワーには自信ありということか。


対して長い髪を束ねた播磨は後から聞いた話だと以前スターダムの練習生だったという。
それを聞いて思い出したのは昨年安川惡斗が私の誕生日に周りの若手たちと手作りの色紙を作ってくれた時にそこに一緒にいたのである。

不思議な縁だが話を聞いて思い出した。

ということでパワー vs 機動力とテーマはわかりやすいが、最初ロープに詰めた時点で緊張が走る。


なぜ、この二人がメインに選ばれたかがこの時わかった。
二人とも試合に不可欠な闘争心をちゃんと理解していたのである。




この二人はさすがに動きが新人離れしており、播磨もキックを中心に延髄蹴りやクリストを繰り出して器用な部分を見せ、食い下がるが


パワーを上手くいかした尾崎が逆エビやセントーンを駆使し、最後は二度のアルゼンチンバックブリーカーでギブアップ勝ち。


初めての大会にしてはなかなか良かったと思う。
演出の面がちょっとくどいかなと感じはしたものの、劇団で畑違いのプロモーションが作るものだから多少それは大目に見ても構わない。
私から見て肝心な所はやる人間たちのハートがどれだけ本気かどうかだったが、やる気は十分に伝わった。


試合後、うまい具合に話を聞きたい人間とはほとんど接触できた。
まず一番の掘り出し物だった播磨となつみだが、播磨の方が私の顔を覚えていたし、なつみもちょうど話してた時に夜のスターダムで会場入りするとこだったKちゃんパンダの新井みずかと偶然通りかかったので双方から面白い話も聞けた。

みずみずの話によれば、当時スターダムのロッシー小川社長も運動神経のいいなつみに目をつけていて練習生にスカウトしようかという話があったらしい。



ゆうながさすがに記念撮影に引っ張りだこなので中心人物となった安納サオリと石塚みづきに話したところ、やはり二人も前々からプロレスを見てはいたが、実際に自分がやって体感をしたことで新たな魅力に気づけたようだ。

これを見ていると昔のJd'吉本女子プロレスの女優育成プロジェクトだったアストレスの初期を思い出す感じだった。
アストレスも素材の高い人材はいろいろいたが、いかんせん失敗だったのは既存のレスラーと同じ練習に組み込んで育成方法を従来のレスラーと同じにしてしまったため、アクション女優独特の価値観を引き出せなかったことにある。

レベル差が違いすぎることもあるが当面は他の団体とかとは絡まずに独自性を追究していくのがベストだろう。


それと面白いのは観客に知った顔がいた。元Jd’のレスラー斎藤啓子と久しぶりに会った。

盟友ガブコの応援に来ていたのだ。

斎藤啓子もアストレスの経緯を身近に見てきた人なので私の言いたいことはすぐに理解してくれた。
その上で面白かったと感想を言ってくれてたのである。

実のところ、その後でロッシー小川社長からもBeginningどうだったと訪ねられた。
初期のスターダムと比べてどうだったかとかゆうなの感じはどうかと聞かれたので私は思うがままを話した。

聞けばスターダムも初期の頃からファンがだいぶ様変わりしてきて新しいファンが増えてると、
スターダムの前のファンがBeginningに流れたのもあると聞いた。

確かに新たな始まりを感じる大会ではあったし、じっくり取り組めば面白そうな原石もいた。

ただこれが一回こっきりの大会ならこれで良かったが、続けるとなるとそれが苦労する。

選手がもともと舞台女優なのだから舞台や公演が入ったらどうなのか、そういう意味で続いていくのかどうかは全く不明だが、彼女たちのやる気はちゃんとしっかりしたものがあったのでそれをしっかり継続させられるかはプロモーションの責任である。

継続は力なりにできるかは彼女たちのこれからの心がけ次第なのである。


(2023年10月21日、追加修正)