
コルバタ志田組公演『引退』は9.21の夜公演をもって無事終幕しました。
ただ完全に無事にとはいかなかったかもしれません。









おそらく志田光は前夜の試合シーンの最中に本当に肩を怪我したようで、この最終日9.21の昼夜公演では主人公愛陸(ノノ)の負傷箇所が首から肩へ一部設定変更されており、演出も一部変更されてメインの試合シーンは志田(愛陸)の体調を鑑みてタッグマッチに変更されてました。





















ただそうしたリアルな変更点をそのまま台詞に取り込み、その日のみに見に来たお客さんを心配させないよう上手く設定変更して周りの演者たちもわずか半日足らずの時間で変更をさらっと自然にやりこなしてしまうあたりはもうホント彼ら役者陣それぞれの技量もさるとこながら、その洗練されたチームワークにホント感心させられました。






そうした頭の柔軟さと、動揺も隠さず変更をほぼぶっつけ本番ながらもほとんどミス一つなく自然にお芝居を成立させたとこにもう一つのリアルドラマがあって、物語の素晴らしさも含め二重に感動がありました。





当日になって急きょメインの大舞台に登板となった蒼子(キコ)役の岩井杏加と詩葉(ウタハ)役の網倉理奈。
設定上現代の同じ団体にいる同期二人が参戦ということで形は整いましたが、昼夜二つ公演があるのでタッグの組み合わせを入れ替えるかなと思いましたが、さすがにそんな余裕はなかったようで流れも昼夜ほぼそのままでしたが、ただアクシデントがあってからわずか24時間もない中で急きょ変更した試合をきっちり成立させてしまうあたりはさすがに女優団体のアクトレスガールズで鍛えられただけのことはあるし、志田も日本に帰ってきてる時はMARUたちと練習することもあり、アクトレスガールズに関して、あそこは本当に良く練習すると太鼓判を押しているので、よくみんな愛陸(志田)をかばいながら試合をなんら違和感を感じさせずに迫力のある引退試合を見せていました。





幸い志田の肩の状態は大きな受け身を取らなければなんとか大丈夫そうな感じには見えたのでメインをタッグマッチにしたのは正解だったかもしれません。
これまで妃芽役を朱里、雪妃、世羅、惡斗が演じて、日替わりで豪華なシングル戦が続いたあとだったけど、最終日まさかのタッグ変更は偶発的なこととはいえ結果的により刺激的な展開を生むことになったのです。
芝居では筋書きのあるドラマを楽しんだけど
連日観劇してまさか筋書きのないドラマまで楽しむことになるとは。














今までの萬劇場とか築地ブディストホールなんかに比べたらシアター711は比較的小さな方なのでやれることは限定されてしまう。
しかしそういうやれることが限定されてる中で頭を駆使しいかにインパクトのあることができる柔軟な発想もプロレスには必要。
そんな普段のアクトレスガールズと同様なアクションをこの舞台でも見ることができました。













いろんな感情をマイクにぶっちゃけることになりましたが、そのどこまでが芝居でどこまでが現実かはわかりません。
おそらく話したMARU自身も演技と現実の境界線の狭間で心情を打ち明けてたのだと思います。
作り手である本人が話すのだからいいのですけど
芝居というにはあまりにもリアルすぎる場面。







ひとしきり喋ったあと、MARUは岩井と網倉にもマイクで話すよう促しました。
これは昼公演の演出にはなかったので、おそらくMARUが独断でやったのかもしれません。
だとしたら二人は完全にアドリブで喋ったので
役の形を借りながらも、中の本人の本音で喋ったのだろうと思っています。











本来ならば撮影は試合シーンのみだったのでしょうけど、これが千秋楽でしかも引退と名のつく舞台ですし、わざわざ演者たちが紙テープまで作ってお客さんが投げる演出も取り入れてるのですから、それをしっかり撮って残す必要があると判断して、今回のみそのまま撮影を続けました。
まあ他のお客さんも撮ってたし、キレイな絵になっているのなら結果オーライではないかなと。








たぶんこのシーンでそのままエンディングでも良さそうでしたが、その後の伏線を回収するエンディングがこれまた絶妙かつ格別でした。
過去にもずっとコルバタや水色革命の舞台を見てきても、私自身あまり泣くことは少なかったのですが、今回はエンディング5回見て5回とも泣きました。
それだけにもうホント気持ちのわかるところがあるのです。





主人公の愛陸ファミリーの描いた家族愛の物語。
母親の美子役、鉾田智子さんはこれまでもコルバタ、水色革命で様々な名演技を見せてくれてましたが、今回はそれをさらに超える名演技で、それに乗っかる形で入江彩乃もクリスさんも素晴らしい演技を見せてくれていました。


個人的なことを言ってしまえば私は今年の2月に介護をしていた祖母が亡くなりましたが、その手前、介護している時に今回のと似たような境遇になりました。
もうどこの病院に連れてっても病気は完全に治らない。それこそ延命治療を続けてましたが
最後はもう本人のやりたいように過ごさせてやろうということで、ホームから自宅に戻すことにしましたが、その後ずっとつきっきりで看病してた母でさえいつ逝ったかわからぬほど祖母は自然に旅立ちました。
そんな経緯がわりと身近にあったので、あのラストシーンはもうかなりの部分で共感するところが多かったので、じんわりきましたね。






