べらぼう(NHK大河ドラマ)がべらぼうに面白い | 福永英樹ブログ

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 これまでほとんど取り上げられなかった時代で、大河ファンの皆さんにはあまり馴染みがないかもしれませんが、今年のNHK大河ドラマ「べらぼう(第3回まで放送済)」は、「鎌倉殿の13人」以来の面白さをもつ秀逸作品だと私は感じています。


 徳川家康が創設した幕藩封建体制は、100年くらいは士農工商すべての身分から受け入れられ、人口もどんどん増えていきました。長い戦国乱世に苦しめられていた庶民たちは、平和で安定した日時を待ち望んでいたからです。そしてそれは儒教に基づく厳格な身分制度による世襲で成り立ってきたわけですが、八代将軍吉宗の頃から雲行きが怪しくなってきました。人口も増えなくなりました。商品経済と貨幣経済の発展により米価(士農の収入源)が下がり、商業資本(大商人)が大きく台頭してきたからです。自由競争による能力主義の到来で、家格や身分や世襲による治世は限界にきていたのです。ただこの流れは欧米のそれと同じでしたから、今回の準主役である老中 田沼意次が採った重商政策は自然な時代の流れであり、日本国が遅れることなく近代化へ進む最後のチャンス(幕府による維新)でした。つまりそれまでになかった「自由で開かれた文化や暮らし」が華開きつつあるタイミングで、ドラマの主役 蔦屋重三郎もメディア王としてその一翼を担っていました。


 従ってこのテーマを大河ドラマにしてくれたNHKの目の付け所にまず敬服しました。そして主役を演じる横浜流星さんが、正に役にピタッとはまっています。その何ともいえない輝きは、2008年大河ドラマ「篤姫」の主役を演じた宮崎あおいさんを彷彿とさせ、私がもし豊臣秀吉の若い頃のキャスティングをするとしたら、迷うことなけ横浜さんに頼むと思います。きっと豊臣秀長 竹中半兵衛 蜂須賀小六 黒田官兵衛らの優秀な秀吉家臣も、流星さんが醸し出す魅力的な息吹きのようなものに惹き付けられて、若き秀吉に傾倒していったと感じるからです。まだまだ視聴率は苦戦していますが、きっとこの歴史的にも意義あるテーマの面白さが、少しずつ確実に視聴者を惹き付けていくと私は予想します。