全日本選手のVリーグ滑り出しは!? | 福永英樹ブログ

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 来年の秋は日本五輪に次ぐ大イベントとされる世界選手権が開催されますが、言うまでもなくこれに出場する14名の選手は、2020年東京五輪に一歩も二歩も近づくことになるはずです。従ってその直前の国内リーグであるVプレミアリーグ2017/18(現在開催中)は、非常に重要な位置づけとなりそうです。今のところ新星といえるほどの新たな存在は残念ながら見当たらないこともあり、今日は今年の全日本選手の当該リーグの滑り出しの様子を見ていくことにしましょう!

 

■セッター

冨永こよみ(28歳・上尾):ほぼ全日本の正セッターの座をつかんだ印象の彼女ですが、自チームのアタッカー(特にWS)が他チームと比較してかなり得点力が低く、どうしても外国人WSに依存せざるを得ない状況です。そうなると本来彼女が全日本で目標として来たであろうトスアップの精度向上を、磨く機会が乏しくなるかもしれません。

佐藤美弥(27歳・日立):彼女も主力アタッカーが移籍したこともあり大変ですが、今年の国際試合の経験を振り返り、さらに身体能力を向上させていくという自身の明確な課題を見据えながら今リーグに臨んでいる姿勢が素晴らしいです。これだけ毎年毎年確実に腕を上げているセッターも珍しいのではないでしょうか。

 

■リベロ

井上琴絵(27歳・JT):チームに全日本リベロが二人いるという特殊な環境から、今は小幡にリベロの座を譲り彼女はレシーバーに専念させられている状況です。またチームのWSのレセプションの安定度が低いことも、彼女がセット後半でのピンチレシーバーに起用されている理由かもしれません。ただこれはリーグ後半には小幡と交代する可能性もありそうです。

小幡真子(25歳・JT):スタートからずっと正リべロを任されていますが、やはり久光製薬新鍋・筒井などと比較するとレセプションの安定感は乏しいと言えるでしょう。常にチームを鼓舞する姿勢は素晴らしいのですが、ディグは圧倒的に井上が上なだけに、レセプション能力の向上が今後も鍵となりそうです。

 

■ミドルブロッカー

荒木絵里香(33歳・トヨタ車体):不思議なことに今の彼女は、28歳で出場したロンドン五輪(銅メダル)の時より、ブロックもブロードも動きが良くなっているような印象です。身体が軽く感じます。ただやはり年齢が年齢ですから、あと2年半後の東京五輪でどこまでこのコンディションを維持できるかが重要です。でも彼女の身体の異常な強さは下北沢成徳高校時代から抜きん出ていたといいますから、体幹がすばらしく強靭なんでしょうね。また今季もブロック賞を獲得しそうです(苦笑)

岩坂名奈(27歳・久光製薬):今年の全日本における彼女の国際試合の不調は、3年ぶりということで慣れるのに時間が不足していたからと思っていましたが、今リーグでの引き続いての不調ぶりを見るとそうでもなさそうです。とにかく体が動いておらず、ブロック賞争い常連だった得意のブロックまで昨季までより良くない印象です。東京五輪荒木の先発レギュラーは年齢的に不可能ですので、彼女にはしっかりと裏ミドルを務めてもらうことは全日本にとって必須事項です。是非コンディションを整えながら復調してもらいたいものです。主将ですしね。

奥村麻依(27歳・JT):チームが劣勢の時でも、彼女だけはしっかりと仕事をしているところが相変わらず凄いです。天性のブロック力に加えて、ハードワークによる速攻や移動攻撃もさえにさえまくっています。吉原監督によれば、今年の全日本における彼女を見て、まだまだあんなものじゃないそうですので非常に楽しみです。

島村春世(25歳・NEC):リーグスタートから新人荒谷にレギュラーの座を譲っていますが、コンディションが悪いか故障があるのでしょうか。ただ途中出場はありますので、不調なのか、あるいは単に力で荒谷に負けているのかもしれません。このままですと中田さんも彼女を再び全日本に召集するかどうかわかりませんね。

 

■ウイングスパイカー

新鍋理沙(27歳・久光製薬):確固たる技術の裏付けがある彼女は、コンディションさえ充分なら、常に安心してプレーをみていられる数少ない選手です。特に以前はミスが多かったサーブの精度がより向上したようで、引き出しがますます増えるばかりのようです。今年のたった一年で、やはり彼女のレセプションと勝負所の攻撃が全日本で不可欠なことを見事に証明しました。

古賀紗理那(21歳・NEC):昨季のMVPも全日本で痛めた膝が完治していないこともあり、跳躍力不足で攻撃面で非常に苦しんでいます。近江・鳥越の引退でレセプションにも負担が増えていますので、苦しいシーズンになりそうです。とにかく怪我をしないことです。世界選手権全日本エースとしてピークを持って行けるよう、山田監督にも是非考慮してほしいものです。

石井優希(26歳・久光製薬):今年の全日本ではあれだけ苦しんだ彼女が、今リーグでは攻守に絶好調で本当に驚きました。まずディガーを弾き飛ばすようなスパイクの威力が完全に戻りましたし、得意のストレートのみならずクロスもどんどん得点できるようになったことも凄いの一言です。またもともとディグは抜群でしたが、今季はレセプションも自信をもって臨んでいる印象です。きっと今年の全日本の表レフトを内瀬戸・鍋谷に譲った悔しさが、彼女を発奮させたのでしょう。

鍋谷友理枝(23歳・デンソー):今年の全日本でもそうでしたが、とにかく勝負どころでの集中力の高さが半端なく強いのが彼女です。その部分では新鍋と双璧といえそうですが、やはり彼女の課題もレセプションといえそうです。ライバルの内瀬戸はそこが得意ですし、来年の全日本黒後・井上愛も合流してきますので、鍋谷・内瀬戸の二人ともが世界選手権に出場することは考えにくいと思うからです。

黒後愛(19歳・東レ):彼女のスパイクのパワーは、早くも日本人WSの中では既にナンバーワンといえそうです。スパイクを受けたディガーの弾き方が他のスパイカーとまったく異なるからです。ただ東レはMBの攻撃がほとんど無いといっても良い状況で、しかもセッターが不安定ですので、新人ながら負担が重くて苦しんでいることも確かです。それでも大きく動揺したりせずに、気持ちの切り替えも非常に早いところはやはり非凡なものを感じずにはいられません。またまだ不充分ながらも、レセプションやディグにもそのセンスの良さを感じています。チームが新旧交代の時期という苦境(未勝利)の中で、普通の新人なら潰されているところですが、逆にそれを肥やしにして糧にしているようなところも垣間みまれ、はやく全日本での活躍を見てみたい気持ちで一杯です。

野本梨佳(26歳・久光製薬):長岡がまだ調整中ということで、今リーグが初めて先発レギュラーとしての出場ですが、全日本で国際試合を経験した自信からか、以前のようなおどおどした様子がまったく見られなくなったようです。また国内リーグですと、やはり彼女の高さは非常に際立ちます。課題はスロースターターなところと、ディグが下手なことでしょうね。技術的に完全に自信があるわけでもないので、自分が乗って行ける状況に持ち込むのにどうやら時間が掛かるようです。ディグについてはより改善していかないと、全日本での先発は厳しいと言えるでしょう。

 

 

※以上の14名に、リハビリ後調整中のWS長岡二部リーグのS宮下イタリア二部のWS内瀬戸大学リーグのWS井上愛が加わりそうですが、予想外の新星の登場にも是非期待したいものです!