令和4年(行ケ)10003【海生生物の付着防止方法】<菅野>

*副引用発明が既にした主引例の課題を達成するために主引例に組み合わせる動機付けなし

「甲5発明は、甲1発明…課題を、それ自体で解決…している…から、…甲1発明に…甲5発明を組み合わせる…動機付けが…ない。」


<同旨の裁判例>
令和3年(行ケ)10082【電気絶縁ケーブル】<東海林>
*課題は共通するが、引用発明が別の手段で課題を解決済み。
⇒更に副引例を組み合わせる動機付けなし
=H19(行ケ)10238
=H24(行ケ)10328
=H28(行ケ)10103
=H29(行ケ)10013


(判旨抜粋)
 甲5発明は、…甲1発明における塩素剤の添加によりトリハロメタン類が生成されるという課題があることを前提として、工業用海水冷却水系にあらかじめ過酸化水素剤を特定の濃度で分散させた後、塩素剤を特定の濃度で添加するという解決手段を採用しているのであり、かつ、各特定の濃度について…としているのである…。そうすると、甲5発明は、甲1発明における上記課題を、それ自体で解決しており、かつ、塩素剤の使用を前提としているのであるから、当業者において、甲1発明における有効塩素発生剤を二酸化塩素に置換した上で、更に甲5発明を組み合わせるという動機付けがあるとはいえない。また、甲5文献は、二酸化塩素の添加を想定していないから、二酸化塩素の特定の濃度割合を開示するものでもない。したがって、当業者が、甲1発明と甲5文献の組合せにより、相違点1のうち、本件数値範囲を容易に想到することができるとはいえない。


https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/064/092064_hanrei.pdf