【不競法2条1項1号/刑事】名古屋地判令和4年12月16日<市松模様(鬼滅の刃)>

「4種類以上組み合わせる場合には無数の選択肢が存在するところ…類似した模様…を選択すること自体…作品を知った上で意図的に選択しなければまず起こり得ない」

Cf.2色模様は商標法3条1項6号で拒絶査定

(判旨抜粋)
 まず、本件模様AないしCについて検討すると、これらの各模様単体では、色の選択も単一色又は2色を選択するにとどまり、その配色も、市松模様、麻の葉模様、鱗文様(鱗文)といった伝統的柄模様ないし一般的に使用される装飾的図柄の上に配色されているにとどまり、特別顕著性を有するということはできない。
 他方、本件模様DないしFについて検討すると、いずれも3色の色を選択している上、本件模様Dについては、それ自体が亀甲柄と無地とを組み合わせた模様であり、亀甲柄と無地それぞれに特定の2色と1色が配色されている特徴がある。本件模様Eについては、特定の3色のグラデーションとなっており、グラデーション内の色の特定の順序や、白色の配色部分が多いことも特徴として挙げられる。本件模様Fについては、3色の特定の順序及び黄色部分と小豆色部分の境界部分の形状によって炎の模様が表現されているという特徴がある。これらの特徴に加え、伝統的な日本の文様や着物の文様についての調査によっても本件模様DないしFに類似する模様が認められなかったこと(証人庚)、これらの模様単体で商標登録がされていることを併せ考えれば、本件模様DないしFについては、各模様単体でも特別顕著性を有すると認められる。
 さらに、上記⑵のとおり、「KMT」のグッズ展開に当たっては、多種多様な商品が存在し、多くの場合、各商品ごとに複数のラインナップを揃えて商品化されるというのであるから、本件各模様を組み合わせるに当たり、単体では特別顕著性を有しない模様が含まれていたとしても、少なくとも本件模様AないしDの組合せにおいては、単体で特別顕著性を有する本件模様Dが含まれることに加え、本件模様AないしC各単体では単純な色と単純な柄を組み合わせた模様にすぎないとしても、そのような模様を任意に4種類組み合わせる方法は無数に存在するのであるから、その中から本件模様AないしDのみを任意に選出する可能性は限りなく低く、本件模様AないしDを組み合わせる場合には、色彩や形状について他者が使用する自由を制限することにはならないといえる。
 これらを併せ考えれば、本件模様AないしDの組合せは特別顕著性を有すると認められる。そうすると、これらに本件模様E及びFを加えた6種類の組合せについても、当然に特別顕著性を有すると認められる。

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/740/091740_hanrei.pdf