東京地判平成29年(ワ)22010<山田>=控訴審R2(ネ)10038<大鷹>【…空調服】

<間接侵害>のみ要件○
「ハーネス型安全帯を全く利用しない使用形態は,経済的,商業的,実用的な用途として想定されていない」

<先使用権>否定
試作品を社内で試着をしたが、即時実施が可能な状況であったか不明



 (判旨抜粋)
<間接侵害>
 被告の空調服のカタログに,「ウェアのみ」の製品は「洗い替え用やファン・バッテリーなどをお持ちの方向けのウェアのみです。」と記載され,被告製品3及び6は「フルハーネス安全帯着用者専用空調服です。背中部分からランヤードを取り出すことができます。もちろん空気は逃がしません。…」などと記載されていることなどからすると,被告製品3及び6は,ハーネス型安全帯を着用するために販売されている製品であると認めるのが相当であり,ハーネス型安全帯を全く利用しない使用形態は,経済的,商業的,実用的な用途として想定されていないというべきであるから,本件登録実用新案に係る物品である被告製品の製造のみに用いるものと認めるのが相当である。

<先使用権>
 フルハーネス対応空調服の構成に係る手書き図面が作成され,その試作品を作成して,社内でその試着をしたからといって,被告らにおいて,即時実施が可能な状況にあったかは必ずしも明らかとはいえないところ,…被告らが被告各製品の製造,販売等を開始したのは平成28年5月であり,本件試作品が作成され,試着された平成27年3月及び同年4月から1年以上を要したことにも照らせば,本件出願日の時点では,少なくとも,本件考案の実施に当たる被告各製品の事業に係る被告らの即時実施の意図が客観的に認識される態様,程度に表明されていたということはできない…。     
 
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/683/089683_hanrei.pdf