出会い・・・2 | 大園継基(おおぞのひでき)のショーミのハナシ

出会い・・・2

いきなりですが、ボクが使っている和バサミ(糸切りハサミ)

とにかく異様なほど切れます!

通常は糸を切るとき、「チョキン!」って音がするイメージですけど

ボクの和ばさみは「・・・無音!」しかも手に切った感触さえ無い・・・!

 

なぜそんなに切れるのか?

刀と同じ技術で作られているんです!(写真参照)

 

 

かなりざっくりとしかわかりませんが

一般的な和バサミは、2種類の鉄を溶接して作るのですが

ボクのは軟鉄と鋼を鍛造、つまり叩いて(鍛えて)一つにする

いわゆる「手打ち」なんです!

 

出会いは、いつもお世話になってるハサミ製作所さんに

ネットで和バサミの追加注文をいれたんですが

社長さんから電話がかかってきました・・・

 

なんか間違った?なんか怒らせた?

と、ちょっとビビりながら出ると

 

社長「今回の注文の和バサミ、お勧めのがあって

   電話させてもらったんです・・・」と!

 

ボク「いつも使ってるのがよく切れて気に入ってるんですが・・・」

 

社長「実は引退した一人の職人がいるんですが、

   その腕が惜しく、説得して復帰させたんですよ

   まだ若いですし!」

 

ボク「若手かぁ〜、熟練の職人さんの方が良いですが・・・」

 

社長「まだまだ若い75歳!」

 

ボク「・・・超ベテランですやん!」

 

 

と、こんな感じで手打ち和バサミを購入することになったんです。

 

その後届いた和バサミは、先に書いたような切れ味で

手放せなくなり、もう一つ購入するほどのお気に入りとなりました。

 

ですが、社長とのやりとりで「若手」という言葉がどうも気になったんで

詳しく聞かせていただけないかと、連絡したんです。

 

すると社長の息子さん(ラシャばさみ職人)からお電話をいただき

播州の手打ち和バサミ職人の現状を聞かせていただきました。

 

何と、現在3人の職人さんしかいないそうで

1番ベテラン方が80代半ば、で2番手の方が75歳で

最近40代の方が業界に入られたそうなんです。

 

ラシャばさみ(裁ちばさみ)が幕末に洋服と共に伝わってくるまでは

大型の和バサミで生地も切っていたそうですが

ラシャバサミの普及と溶接技術の進歩などで

手打ち和バサミと職人の激減につながったと考えられます。

 

 

こんな素晴らしい日本の技術を、後世に伝えてほしいと願うばかりです!

 

 

ボクの独自技術マジックウォッシュ(手作業ユーズド加工)職人はボク1人・・・

あと何年できるかわかりませんが、身体の限界までやるつもりです!!

 

 

 

大園継基