出会い・・・ | 大園継基(おおぞのひでき)のショーミのハナシ

出会い・・・

何事かを始める時、

ボクはいつもカッコから入ってしまう。

といっても、有名ブランドや高額なものを

求めるわけではなく

自分が納得できるもの、気にいるもの、

それは形だったり、色だったり・・・

 

そんなボクは、最近料理を始めたいと思い始めました。

案の定包丁が欲しくなったんですが

仕事道具以外で面倒な手入れはしたく無いんで、

ステンレス!左利きなんで両刃!

この2つに絞って探すことにしました。

 

とりあえず動画やネットで色々調べて

方向性を決めようと思ってた矢先

アウトドア用のナイフで心惹かれる1本が出てきました。

 

実物見てないけど・・・ええわ!買ってまえ!

勢いだけで購入・・・!

 

 

程なく使う機会が訪れました。

ヨメさんが用事で夕方遅くなるから晩御飯が作れない…ということで

ボクの大好物のチキンステーキを作ってみるわ、ってことになりました。

 

どうせなら美味しく作りたいんで、ユーチューブでいろんな動画を見て、

スジの取り方など学びました。

 

さぁいよいよ初めてのマイナイフの出番です!

 

いざ、使ってみると・・・

 

なっ、なんじゃこりゃー!!

全く切れません!

全くです!

 

ヨメさんの包丁借りる…?

いやぁ、マイナイフで乗り切る…!

 

そんな葛藤の中、最後までナイフを使いましたが

スジを手でむしり取った感じでした…

あれだけユーチューブ見てイメージしたのに〜

 

これが現実かとへこんでたら

追い討ちをかけるように

チキンがフライパンに引っ付き

ニンニクは生煮えで…

 

それでもヨメさんは

美味しいっていってくれたけど・・・

 

実物を見ずに買ったことに後悔しつつも

研ぎ専門の職人さんに研いでもらおうと思い

数日後、堺伝統産業会館へ足を運びました。

 

包丁作りの町ならではのお店で

堺打ち刃物が所狭しと飾られてる

プロの料理人さんや道具にこだわる方にとっては宝箱!

 

研ぎだけお願いして帰ろうと思ったんですが

せっかくなんで一流の包丁を見てみようと店内を散策…

 

もちろん、見るだけ!

 

どれもこれも切れ味が良さそう…

っていうか、すごい存在感!

そんな中で一本の包丁に目が止まったんです!

その刻まれた銘に見覚えがある気がして

記憶をたどると、一度お会いしたことのある職人さんの物でした!

 

ガラス越しにじーっと眺めてたんですが

見れば見るほどその包丁から目が離れず・・・

すぐ近くにお店の方がいらっしゃったんで

素材と何刃か尋ねたんです。

 

すると、「ステンレスの両刃です」と言いながら

ショウケースから出してくださいました。

 

「あかん!これ手に取ったら・・・やばい!」

とか思いながらも手は勝手に包丁へと伸びていき・・・

 

持った瞬間、分かった!・・・(ような気がするだけかも)

 

切れる包丁って、見た目はもちろんですが

持った時にしっとり手に馴染むというか

持ち手から刃先までの重量バランスが良いというか・・・

 

結局、ボクが仕事で使うハサミと同じようなフィーリング!

 

『こっ、これください!』

 

 

 

 

 

で、今度はポトフに挑戦!

玉ねぎ、ニンニク、セロリ、ジャガイモに鶏肉・・・

 

キレる切れる!!

 

硬い食材でも同じ力加減でス〜っと切れる!

ど素人のボクでもヒヤッとすることが無く快適!

 

本物との出会い・・・

 

奈良や平安の古い時代から受け継がれてきた

技術の伝承と進化、とんでもなく奥が深い!

 

この存在感・・・

 

職人の端くれのボクに

お前のモノづくりは何かに媚びず

ただひたすら挑み続けているか?

と問いかけられているような・・・

 

 

身が引き締まる思いです!

 

 

ありがとうございました。

大園継基