さて、僕にとって好きなことと言うのは一体何なのか…
登山もいいなぁ~と一瞬思うものの、暑くてその気になれず…
カヌーを漕いだり魚を釣りに行くには、どうも遠出したい気持ちになれず…
絵を描こうと紙とペンを手にしてみるものの、暑さで手汗を描いてしまい、紙がフニャフニャになってどうにも気分が乗らない。
『これを機に新たな趣味を持とうと思うのだけど、私に相応しいエレガントな趣味は思いつかないだろうか?』
と、家の者に問うてはみるものの、有力な情報は得られず。
趣味がダメならば、行きたい所へいってみよう!とは言っても遠くへは行きたくない。
『私は近場で行きたい所を探しているのだけれど、良い行き先は思いつかないだろうか?』
再び家の者に訪ねる。
『神社なんかどう?』
神社!いいね~!
しかし果たして私は神社に行きたいのであろうか…
少しく考える。
そして出した結論が『私は猛烈に神社へ行きたい!』というものだった。
これと言った悩み事がある訳でもなく、宗教も持たない僕ですが、どういう訳か猛烈に神社に行きたい気分になった。
本能に従い、遠くへは行きたくないので南区限定で小さな神社巡りをして来た。
今回は、最寄の南沢神社と行きつけの藻岩神社へは行かず、日頃余り馴染みのない神社を巡ってみることにした。
思えば一月ほど前にも、今日と同じように猛烈に神社へ行きたくなったときがあった。
そのときに訪れたのが、中ノ沢の住宅地に忽然と姿を現す【中ノ沢神社】と

中ノ沢の更に奥地にある、初探訪の【布袋神社】であった。

【布袋神社】は、一度訪れてから、その可愛らしい存在感が特に気に入ってしまい、先日2度目の参拝をしてきた。
今日は【中ノ沢神社】へは行かず、一つめの神社は【布袋神社】。
【布袋神社】
場所は札幌市南区中ノ沢1987-112
三度目の参拝である。
南沢トンネルを下り、中ノ沢ホクレンショップ『REX』の横の道へ左折、しばらく道なりに行ってから右左折を繰り返しているうちに馬が数頭現れる。

更に森の中へと砂利道を進むと、行き止まりになった右手上方に、鳥居は現れる。

鳥居の傍らには、手書きの文字で『布袋神社』と記された小さな碑が建てられている。
これがまず可愛い♪

【布袋神社の歴史(参考:みなみ区HP)】
・昭和29年(1954年)、初代宮司『米谷ナル 氏』に、八意思兼神(やごころおもいかねのかみ)が授かり、守護神として奉斎された。
・昭和36年、小祠を設置し、布袋大神を奉祀したことに始まる。
・昭和43年に天照大神、布袋大神、亀水竜神を合祀。
・昭和52年、境内に無縁碑が建てられる。

祭神は、天照大神、布袋大神、亀水竜神、水掛不動明王である。
布袋神社付近の山林には、竜神の祭られていた祠があるので、今回はそこにも行ってみようと思っていたのだが、草木に覆われて場所が確認できず、断念。
布袋神社を参拝して、二つめ【開拓神社】へと向かう。
【開拓神社】
場所は、札幌市南区澄川389
サラリーマン時代、花見や接待などで訪れた紅桜庭園という庭園の中にある。
紅桜庭園と言えば、ジンギスカンやヤマベ釣堀などで有名だが、神社があることは知っていたものの、訪れるのは今回が初めてであり、庭園のどこに開拓神社があるのかは全く見当も付かない。
しかも庭園の案内板のどこを見ても開拓神社の文字はない。
庭園はかなり広く、何本もの道が入り組んでいる。

少しく公園内を往来したが見付からず、広場に車を停め、池の鯉を眺めつつ途方に暮れていると…
ふと広場の傍らの小高い丘の上から強烈な視線を感じる。
『ハッ!』と思い振り返ると、丘の上の『紅桜本館』へと上る急な階段の天辺に、職人風のユニフォームを着たガタイの良い男が、不動明王の如く機嫌の悪そうな姿勢で腕を組み、仁王立ちしてこちらを見下ろしている。
今にも『お前らそこで何してやがる!』とでも言いたげな有様だ。
私は、そんな事は意に介さず階段を途中まで駆け上り、男に向かって『開拓神社って、どこにあるかわかりますか?』と、尋ねた。
男は、私が階段を途中まで駆け上る間も微動だにせず、相変わらず不動明王の様に不機嫌そうな怒り顔をして仁王立ちしていたが、神社はどこかと尋ねると、慌てた様子で急に迫力を失い、丘の更に山側を指差しながら、意外と甲高い声で『開拓神社はそこの上ですよ。』と教えてくれた。
『ありがとうございます。』と礼を言うと、男は更に落ち着きのない様子で逃げるように紅桜本館の方へと姿を消した。
車に乗り込んで本館へと向かうスローブを上り、本館前に車を停めて更に山側へと向かう階段を上って行く。

枝道が何本かあり少し迷ったが、間もなく鳥居を発見。

傍らには神社の由来などか記された案内板がある。

鳥居をくぐると、情緒漂う急な階段が現れ…

頂上に着くと、文字の彫られた岩がふたつ。

逆光で見えにくい写真になってしまったが、左側の石碑には『御大禮記念』右側の石碑には『山乃神』と、それぞれ彫られており、それぞれの岩の傍には碑文が添えられている。
『御大禮記念』

『山乃神』

神社と聞いてイメージするような建造物や祠はないので、ふたつの岩に向かってそれぞれ参拝し、開拓神社を後にする。
【滝野神社】
場所は札幌市南区滝野
道道341号線(厚別滝野公園通)沿いにある小さな神社。

ここも初めて訪れた神社だが、凛と張り詰めた神の息を感じるとても美しい神社で、優雅な雰囲気であった。

境内には色んなところに大きなカタツムリがくっ付いていた。


祭神は、天照大神、大山祇神、倉稲魂命である。
【常盤神社】
場所は札幌市南区常盤
滝野神社から道道341号を北西に進み、国道453号を支笏湖方面へ左折。
空沼岳登山道入り口方面に右折すると間もなく右手に神社が現れる。

階段を上って行くと伸び放題の芝の生い茂る広場の向こうに鳥居が立ち、その向こうに社がある。

ここも比較的拓けた生活道路沿いに所在する割には、山奥の布袋神社同様、可愛らしくて雰囲気のある神社である。

不規則に並んだ石段の歩きにくさと、草の鮮やかな緑とのコントラストがシュールで気に入った。

祭神は、天照大神、明治天皇である。
昨日の神社巡りでは、以上の四つの神社を参拝した。
どれも小さな可愛い神社ばかり。
私は魔女や悪魔・鬼の持つダークなインパクトに萌えてしまいつつ、神も仏も嫌いではない。
むしろ歩き続けて辿り着いた先にあるのは、神であり、仏であるのかも知れないと私は思っている。
機会在らば教会へも行くし、寺にも神社にもモスクへも行くだろう。
クリスマスも正月も復活祭もラマダンもイオマンテも、踊り祝い呑み楽しむだろう。
三次元と言うのは餓鬼界(=x)・畜生界(=y)・修羅界(=z)に伴なう快楽と苦悩のバイオリズムによって成立する次元である。
リスクを省いて良い子ちゃんぶって、先回りして神仏に媚びを売っても…
角を折り、牙を抜き、爪を隠しても…
所詮人間など、神の子すなわち…xyzからなる、単なる物理空間に過ぎないのだ。
小さな神社が好きだ。
それは、美しいからであり、優しいからであり、気持ちイイからである。
相馬 英樹