そこで12月2日の朝、雪景色の湖上で寛いでやろうと思い立ち、久々にカヌーを車に積んで支笏湖へ湖上散策に行って来ました。

いつものポロピナイ駐車場へ着くとシーズンオフの為、ゲートが施錠されていたのでゲート前のスペースに車を停めてカヌーを組み立て、漕行しました。

夏の間は観光客や度の休憩客で賑わっていた駐車場も閑散としており、施設管理関係の人の物と思われる車が数台停められていました。

シーズン中は。、常にスワンボートやカヌー・ゴムボートが何艘か浮んでいた湖上も、今日は独り占め、まずは沖へと向かいます。

右へ旋回して右手に恵庭岳を望み、オコタン方面へと漕ぎ進みます。
写真には写っていませんが、実は雪が少し舞っています。

舞う雪と霧に霞んだ美笛方面の空から、美しい光のカーテンが降り注いでいます。
こんな風景の中で艇に揺られて居ると、日常の中の些細な出来事や自分という一人の人間の存在がとても小さく思えると同時に、しかし大空や太陽と同じ様に尊い自然の一部なんだ…と、つくづく思い知らされた在り難い気持ちになります。
何に対するでもなく『ありがとう』とつぶやく瞬間です。

前回のカヌー散歩のとき解体中だった伊藤温泉は、基礎だけを残して更地になっていました。
以前、これまでの経営者から大手の観光業者に売り渡され、建物の老朽化が著しいので建て直して来年以降に再び営業開始する予定…という記事をどこかで読んだ事がありましたが、こうして更地にされて人っ子一人居ない状態を見ると、本当に再び営業する時が来るのだろうか…と疑問が湧いてきます。

天の恵みに照らされて美しく輝く湖面に心奪われつつ、美笛方面へとさらに漕ぎ進みます。

多少ですが風が強まり、波の動きがやや大きくなって来ました。
冬は、ちょっとした風の変化で湖面が豹変する恐れがあり、最悪の場合、引き返す事が出来なくなる恐れがあるので、無理をせずに岸に艇を寄せ、戻る事にします。

岸に寄って駐車場方面へ向かうと、向かい風が結構強く、川を遡って居るような感覚です。
写真を撮ろうとパドルを漕ぐ手を休める度に、ゆっくりと後ろに引き戻されます。

途中、二つの小さな岩が並んで居たので、岩の間を行ったり来たりして少し遊んでみました。
ポロピナイ岸にはこれと言って危険な場所は在りませんが、美笛方面~モーラップ間の南岸には沖へ出ても湖上スレスレに突起した岩があり、波の荒い時なんかは岩が確認出来ない為、以前軽く座礁したことがありました。
僕の艇は布製の折りたたみファルトボートなので、座礁の際、運が悪いと布地が裂けて沈没してしまう恐れがあります。
ベテランの方からの情報では、ドライスーツなしで真冬の支笏湖で沈没した場合、ほぼ即死は免れないだろう、という事です。
僕は、出来ればあと50年は生き永らえたいと思って居るので、誰か身長178センチの私にピッタリのドライスーツを譲って下さると在り難いです。

電話が来たので慎重に着岸して、ふと崖の上を見上げると、夏の間は木の葉に覆われて見えなかった廃墟の様な岩が猛々しく聳えています。
いつか、この岩も湖に沈むときが来るのでしょうか。
電話は、午後過ぎに南沢サロンで点描画セッションを受けたい、とのお申し込みのお電話でした。
ありがたい事です。
あとは、ドライスーツがあれば最高ですw

まだまだ時間に余裕はありますが、ゆっくりと駐車場を目指します。
それにしても冬の天気は、変化が激しいですね。
さっきまで暗かった空は次第に明るくなり、風不死岳を美しく照らしています。
少しだけ雪が舞って居ますが、夏や秋に感じた、湖のやさしい表情を思い出しました。

しかし、その晴天とは反比例して波の動きは次第に大きくなり、どうやら荒れてきました。
多少荒れている方が僕は好きですが、濡れるだけでもかなり体温を奪われ、気が付かない内に体力を消耗する恐れがあるので、今日は帰路を急ぎます。

またまた天気が変わり、少し風も波も緩んで来たので、パドルを漕ぐ手を休め、ふと後ろを振り返ると、先程まで霞んでいた美笛の陸がくっきりと見えています。

ポロピナイに着く頃には、すっかり穏やかな湖面となり、まるで別れの挨拶に、優しい笑顔を見せてくれているかの様です。

体感気温は0度前後と、まだ遠い冬を感じる温かい一日でしたが、次は雪景色の中…漕ぐ日を夢見て、ポロピナイを後にします。
そうして私は今回も無事に家へ帰り、大好きな点描画セッションの一時を過ごしましたとさ。
そんな訳で、身長178センチの私にシックリ来るドライスーツ(ダイビング用尚可)を譲ってくれる方は、090-2814-5054 まで、どうか御連絡下さい。