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ねこまた狸穴素浪人始末


「ねこまた 狸穴素浪人始末」由原かのん
                 光文社
 
「首さむらい世にも怪奇な江戸物語」に短編として収録されていた「ねこまた」
肝心の「ねこまた」の記憶が朧気😆
読書感想文を見ても、ネタバレしないように書いているので「???」のまま🤣

ただ、「首さむらい…」を未読でも全く問題なく楽しめます

主人公の猫矢又四郎は荒物屋「伊文字屋」の防ぎ(押し込み強盗などを防ぐ用心棒)として夜は不寝番、日中は雑用などをこなしている

伊文字屋の娘お清の飼い猫の黒猫「かちん」と対話が出来る(どうも、前作で狸穴に入り込んでそんな力がついたみたい😅知らんけど🤣)

「かちんも今の話を聞いたはずだ。聞いて得心できただろうか。本音と建前の間で揺れる人の心は素直なかちんには飲みこみ難いかもしれない」
この様に、かちんが又四郎や人の言葉を全て理解していない、って所がリアリティがあっていい

徳川家康が江戸城を作るはるか前からこの地に留まる奥津城の媼、真麻
黒猫かちんを操ってみたり、又四郎の行く末を暗示しながら狸穴の異空間と現世を漂う

旅人風の男が伊文字屋に質草として変わった水晶の数珠を持ちこまれるが対応した又四郎は「買い取りはしていない」と断る

数珠はその後、僧侶の兎心坊(又四郎の父)の手に渡り再び又四郎の元へ再び現れる  

数珠がキーワードとなり、物語は大きな広がりを見せる

ネタバレするとつまらないので🙊

ラストに近づき犯人が判明していくくだりは、よくある展開なのだが、真麻の口を通して語られる暗示のような言葉に又四郎が自身の胸の内を気付かされる(何となく気付いていたけど)事や怪しいままに終わると思われた人物のその後や又四郎が生活や考え方について厳しく叱責する場面は良い
温かいラストに繋がる

兎心坊(父)の真実が美談過ぎない事がとても良い
よくある話だと、まあ美談になるのよ
でも、短慮だった…と言う結末はいい

伊文字屋の主がドケチな所も面白い

登場人物も良いし、続きがありそうな終わり方

「首さむらい…」の感想に載せていた「首取り物語」です↓