「首取り物語」西條奈加 読了 | pyonpyon ブログ

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松任谷由実。



「首取り物語」西條奈加 
徳間書店

今年もあと2ヶ月と少しになったところで
またいい本に巡り会えた

「首取り物語」西條奈加  
9月に出たばかりの作品

私の大好きな「少年が主人公の西條奈加作品」👏

「千年鬼」「三途の川で落としもの」
もっと前なら「今春屋ゴメス」
とにかく、西條奈加の描く少年はホントに自然で魅力的

今回の主人公は2人

少年と生首だけの男が七つの異空間なような国を旅する話
ミステリー要素のある昔話のような物語

人ともに、自分が何故ここに居るのか?自分はどうやって生きてきたのか?名前すら思い出せない

少年をトサ
生首をオビト
と2人で名付け合う

布に包まれて棒からさげられて移動するオビト ↓

物語の語り部担当はは概ね「よく喋る生首」😅

少年と生首の掛け合い漫才のような場面は楽しいが、話が進むにつれ、このまま進んだら先に何か怖いものが待っているな、とじわじわと伝わってくる

森を抜けると辿り着く新しい国はそれぞれまったく環境も状況も違っており、唯一同じなものが、どうも日本語が通じる国らしい、ということ

旅で出会う者達や国は、2人の真理に辿り着くための行程なのではないか?

後半に行くにつれ
2人は出会うべくして出会い、旅する中で物事の本質を探すために苦しい思いや新しい感情に気づかされたりしているように思う

本当は2人の魂だけがさ迷っているのかもしれない

雪原を走る船の場面は幻影的
トサの記憶の奥に残っていた「おふう」は、私の想像を越える意外なモノで「おふう」の幻影を見て叫びながらそれを追うトサ
後に「おふう」が何なのか少年にとってどれだけ大事だったのか、が判明した時に少年が置かれていた孤独と哀しさが染みてくる

ラストはハッキリとした形にはなっていないが、西條奈加らしい良い終わりかた

字が少し大きい

小学校高学年~大人まで楽しめる作品