「笑い三年、泣き三月。」木内昇 読了 | pyonpyon ブログ

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笑い三年、泣き三月。      木内昇


「笑い三年、泣き三月。」木内昇 文藝春秋

2025年5月に読了していました😅

発売は2011年9月
「かたばみ」で木内昇作品に出会って、過去作も読み漁っていて見つけた作品です

今月角川書店より文庫本が発売されるので
大急ぎでの投稿です😝

↓文庫本の装丁です

終戦直後の浅草が舞台の話

自分の漫才で世の中を幸せにしたい、と地方からお笑いの聖地浅草に出てきた純朴な男、岡部善造
空襲で両親と兄を失い戦災孤児となった武雄
右も左も分からない東京で出会った2人
孤児の武雄は日々の生活の為、善造を騙して金にしようと企むが犯罪が露見しても怒らずに接してくる心優しい善造
そんな出会いから始まる
これに元、映画関係者の偏屈な復員兵の光秀や
菩薩のような母性で皆を癒す、自称•元令嬢のダンサーふう子
この4人の疑似家族による共同生活

仕事場は浅草のストリップ劇場「ミリオン座」
戦後の復興、皆が求めるのは「エロス」
元々小劇場だったミリオン座をストリップ劇場へ
ストリップダンサーの募集とその面接の場面で
子供の武雄もダンサー志望の女性を見ており、何であの綺麗な人が落ちたんだ?と不思議に思うが支配人の杉浦曰く「美人の女より程よい程度のブスがどんどん垢抜けて行くのが客をまた来ようと言う気にさせる」のような事を言われる
そんな面接で合格したのが、ふう子
ふう子のキャラクターが良い
令嬢と言う触れ込みで優雅な仕草とゆったりした口調で嘘で固めた人生を語り演じ続ける
ある時、ダンサー仲間とのトラブルの中で
あんたが令嬢なんかじゃないとバレてる皆わかってると言われるのだが
怒るわけでもなく、こうありたいと夢を持ってそう思い続けているのならそれはもう嘘ではないのだと

敗戦後の5年間の浅草の復興と名もない人々の生活の記録でしかないのだが
善造、武雄、光秀と語り手を変えることで年齢も境遇も違う人達の気持ちや様子を上手く伝えている

彼らが目指すそれぞれの道もドラマティックに熱くなりすぎず、よいラスト

劇場でも、アパートでもドタバタした人間ドラマは面白く、善人はこの上なく優しく、捻くれ者にも捻くれ者なりの思いやりもある温かい気持ちにさせる話でした