「静かなパレード」井上荒野 読了 | pyonpyon ブログ

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松任谷由実。



「静かなパレード」井上荒野 幻冬舎

自身の誕生日の夜、突然別れを告げた妻が幼子を残したまま失踪
残された夫と幼い娘、妻の恋人だった男とその配偶者や関わりかあった人のその後の人生

序盤で妻の身に何かが起こった事は分かるのだがその繋がりが見えないままに
妻と関わりのあった者達の十数年間が断片的に描かれている

それぞれの目線で書かれているので、どの人にも「本当は知っているのに都合の悪い事は伏せているのか?」と感じさせる文章なので、最後まで妻に何が起こったのかはハッキリと分からせないままに進む

突然に解明されてしまう事実に拍子抜け感は否めない

残された夫が再婚へと揺れる不器用な心が少々気の毒でもあるし、田舎の街で母親不在で育った娘が一時期幼い心を痛めて粗暴になるエピソードはやるせない

妻は不倫相手に何を求めていたのだろう
家族を捨てて彼の元へ走っても長続きはせず他の誰かにとって代わられてしまう関係だったろうに

東京から地方都市へ嫁いだ女性が田舎の生活で溜まっていた息苦しさから一時的に逃れたかっただけだったのか

残された夫が不憫過ぎる

父親と奔放な女性作家の不倫を書いた「あちらにいる鬼」と同じ作者