「京屋の女房」梶よう子 読了 | pyonpyon ブログ

pyonpyon ブログ

日々のこと。
趣味のこと。
読書記録。
テレビ。
海外ドラマ。
好きな音楽。
松任谷由実。



「京屋の女房」梶よう子 潮出版社

京伝を支えた先妻の菊と後妻のゆり、2人との夫婦の話を軸に蔦重をはじめとする江戸の出版業界に携わる著名人達との交友を描いた山東京伝が主人公の話

ゆりが京伝の後妻になったところから始まる
先妻の影が残る家の中で孤独を感じながらの生活
そこから、先妻の菊と京伝との出会いの話へ

先妻の菊、後妻のゆり、二人とも吉原から身請けをされて京伝の妻に

最初の妻、菊は吉原で年季を終えた女郎
若侍の仇討ちをきっかけに知り合い惹かれ合うが、気持ちが決まらない京伝とすれ違ってしまう二人
再び出会い京伝の恋女房となってゆく話
若く美しい侍の仇討ちの話はまるで人情本の話のよう

またゆりの話へ戻り、先妻の菊に敵わない自身に苛立ち、菊の面影にまで嫉妬してしまうゆりが菊の想いを感じるようになり京屋の内儀としての成長してゆく過程を丁寧に描いている

同じ時代を背景にした小説、朝井まかて「秘密の花園」は滝沢馬琴が主人公
馬琴側からの目線で描かれているので、京伝の弟相四郎がかなり根性の悪い人物として登場していたが
この作品での相四郎は京伝とも仲が良く、義姉二人に甘える弟で可愛げがあって良い

滝沢馬琴、呆れるほどに根性が捻れていて本当に嫌な人物として描かれてます(笑)

若侍、喜次郎の仇討ちの話がちゃんと繋がり心温まるラスト

見た目もいいし、遊び方も綺麗、妻にも優しい
おまけにクリエイティブな才能まで持っている京伝の魅力が溢れてます