
「ゲンさんとソウさん」松下隆一 薫風社
2024年12月に読了
「羅生門に啼く」「侠きゃん」の作者の作品です
ソウさん、壮一郎 元武士 かろうじて光を感じられるが盲目元々視力が悪く徐々に盲目になったので御家人株を売り妻子とも別れ按摩に
ゲンさん、げんぞう 耳が聞こえない捨て子が物乞いの親方に拾われ、物乞いに
親方が死んだ後は天涯孤独で1人物乞いをして暮らしていた
ある日、因縁を付けられ川へ落ちてしまったソウさんを助けた縁でソウさんに招かれ小屋で一緒に暮らし始める
目の見えないソウさんの杖の先をゲンさんが持ち二人連なって出かける様はなんとも微笑ましい
互いの気持ちを掌になぞる事で気持ちを通わせて行く2人
按摩に通う見世物小屋の女の事で気持ちが行き違いソウさんも大怪我を負うことに
そんな時に生まれて間もない赤子を拾う
家族というものを持ったことのないゲンさんと自分のせいで家族と別れてしまったソウさんはこの赤子(サヨ)を育てることに歓びを見出し一生懸命に育ててゆく
全て上手くいくわけでもない展開
悲しみに暮れるゲンさん、それを必死になだめるソウさん
荒くれ者かと思っていた人が男気のあるいい人だったり…
悪いやつも入ればいい人もいる
ヤクザの親分の権吉と子分の銀次がなかなかいいやつだった
そんな人間関係の中、娘の成長とともに話は進む
年も取って目も見えない耳も聞こえない非力な老人2人、どうなってしまうのかと心配してしまう展開になるが
2人の引き際も良く、サヨが見た幻と最後のまとめ方は心温まる
これの前作「羅生門に啼く」がどちらかと言うと暗い内容だったので心配しながら読んたが
心温まる良い作品だった
心温まる良い作品だった