「羅生門に啼く」松下隆一 読了 | pyonpyon ブログ

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松任谷由実。


「羅生門に啼く」松下隆一 新潮社

 2024年7月に読了 
 私は文庫本の方を読んだのですが
こちらが2020年に刊行された時の装丁です
不気味ね

前に読了した「侠(きゃん)」の作者です

「第一回京都文学賞」受賞作
NHKドラマ『雲霧仁左衛門』などの実力脚本家の初小説 

 舞台は人々が貧苦と疫病にあえぐ平安時代の京

 主人公は、奴婢として売られた孤児のイチ
 残虐な苦役に耐えかねて主家から逃げ出し、同じような境遇の若者とつるんで強盗などの悪事の日々 
 19歳のイチは、ある日富裕な油商人の家を襲うが強盗仲間のヤマに裏切られ捕縛され斬首されそうになるが居合わせた空也上人に助けられる

 上人は疫病で死に放置された遺体を担いで運び、穴を掘り経を上げて埋葬していた
 イチは上人についてまわるうちに改心し善行を行うことにより救いを見出そうとしていた 
その矢先、油問屋で殺した主人夫婦の生き残りの娘と再会する 
イチは娘の顔を見覚えていたが娘はイチを知らない 
 両親を亡くしたことで自身の境遇が大きく変わってしまった娘は身ごもっており、イチは秘密を隠したまま世話をする
 上人は「欲してはならぬ。与えるのだ。」とイチにいう 
イチは、拭えない罪を背負って生き直しの道を進んで行く

 明るい話ではないのだけど
油屋の娘との生活が崩壊しそうな気配、娘の出産のために必死に産婆を探す姿など脚本家ならではの臨場感のある文章 

 何か、気に入っちゃって
この次の作品「ゲンさんとソウさん」も既に読了しています