「日月潭の朱い花」青波杏 読了 | pyonpyon ブログ

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松任谷由実。



「日月潭の朱い花」  青波杏  集英社

第35回小説すばる新人賞受賞「楊花の歌」に続く
2作目です 

 日本での人間関係や諸々の生活に疲れ逃げるように台湾へと渡った25歳のサチコ

 日本語学校で教師をしながら生活していたが、街中で「子供の頃、会ってた」という在日コリアンのジュリと再会

 行くあてのないジュリはそのままサチコの部屋に転がり込み共同生活を始める 

サチコの趣味でもある古物商の店通い 
何かを買って来てはジュリに「またガラクタ買ってきた」とからかわれる日々 

そんなある日、店で古い革のトランクが目に止まる
買おうか、悩むがジュリにまた何か言われるし、と諦めて帰宅 

 後日、帰宅するとあのトランクが部屋に 

ジュリがサチコの誕生日プレゼントとして買ってきてくれていた 

 トランクを開けると中の布張りの裏に古い日記が入っていた 

 パラパラと読み始めると、日本が台湾を統治していた時代に台湾で暮らしていた日本人女子学生の桐島秋子という人物の日記だと分かる

 日々の生活、家族のこと、隣家に住む日本人青年のこと、学校の友人のこと等が書かれている

短い日記の中の後半に家庭に不穏な空気が流れている様子が感じられる文章のあと、ぷっつりと終わる

 秋子は、その後どうなったのか?と気になりだした2人は夢中になって調べだす 

やがて、秋子は日月潭で湖に落ちてそのまま行方がわからずに失踪という古い新聞記事に行き着く 

 ここから、推理小説の要素が強くなり、過去と現代を行きつ戻りつしながら、日記に書かれていた人物の捜索が始まる 

 ジュリの複雑な過去や伏線回収の様な話や、過去の台湾での日本人と本島人と朝鮮人の微妙な関係や現在も問題となっているヘイトクライムも織り交ぜているが説教じみたりせずに上手く伝えている 

 文中で北欧ミステリー「特捜部Q」の話題が出たりして、私は特捜部Qのファンなので😁 

 ラストの種明かしの様な話は少し予測できるものではあるけれど、どんでん返しもあり、楽しめました 

 前作と似たような…と感じないでもないが、こういうストーリー(過去の話から現代に繋がる…みたいな)がけっこう好きなので🙆