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初めて読む作家さんです
気に入っちゃった💕
時代ミステリー小説
主人公は平清盛の異母弟の平頼盛・池殿流平家の棟梁(大きな池のある屋敷からそう呼ばれた)
清盛は正妻の子ではなく(父親に関しても諸説あり)頼盛は正妻の子で折り合いが悪い
保元平治の乱では頼盛率いる家の子郎党は平家一門の主戦力を担い獅子奮迅の活躍もあり、平家一門は乱を鎮めた功績により朝廷から武力を担う武士の棟梁と認められた
その平家一門の棟梁、清盛との関係が悪いのだ
池殿流平家一門を背負う頼盛としては何としてもこの状態を耐え忍ばねばならない
だが、30代になった頼盛は突如、清盛に官職を剥奪されてしまった
朝廷にも出仕できなくなり出世は遠のく
平家一門での地位の低下は、合戦では十中八九前線で戦わされる事になる
頼盛率いる家の子郎党は使い捨て同然、遠くない死を意味する
このまま終わるわけにはいかない頼盛、何としても復帰しなければ…
そんな時に野犬に噛み殺された禿髪(清盛が都に放った密偵)が発見される
事件の一報を受けた頼盛は現場に赴き禿髪が犬ではなく人間によって殺された事を見抜く
これを解決する事で清盛に朝廷復帰を認めてもらおうと事件解決に乗り出す「禿髪(かぶろ)殺し」
ただ、事件はこれだけでは終わらず、そこから清盛が絡む別の謎へと移行しよりミステリー度が強くなる
他の四作品もよく練られたミステリーになっている
「葵前(あおいのまえ)哀れ」
「屍実盛(かばねさねもり)」
「弔千手(とむらいせんじゆ)」
「六代(ろくだい)秘話」
中でも「葵前哀れ」は面白みがある内容
高倉天皇が寵愛した「葵前」の急死の真相を知りたいと天皇直々に呼ばれた頼盛が知識と知恵で真相を解明するのだが
頼盛が「コレではないだろうか」と言うと天皇が「いや、それはこうだったからそうは、ならない」と何度も後出しで情報を出してくる
頼盛の「だったら、最初からそう言えよ」「先に言えよ」など心の声が笑える
それぞれの話が時代小説としても面白く、その上に頼盛という個性的な主人公と平家滅亡後も生き延びる頼盛と鎌倉幕府(頼朝)との話もあり読み応えあり
早速、シリーズ第二弾「揺籃の都」も予約
今年の夏頃には、姉妹編(藤原定家が頼盛の長男平保盛を相棒にした小説)が刊行予定だそうです
清盛の異母弟でもある頼盛の知名度は低いが、平家隆盛の世で、失脚三回、破産二回、自宅全焼一回など、幾度となく窮地に陥るがその度に復帰に向けて手を打ち生き抜くために非常に知恵を絞る頼盛の波乱の人生はとても面白いぞ!