「侠 きゃん」 松下隆一 講談社
初の作家さんです。 画像の日付を見たら4/17に読み終えていました😅
江戸時代の下町で小さな蕎麦屋を営む年老いた男
男の打つ蕎麦は江戸の蕎麦に比べると柔らかい
それは男が幼い頃に離れた故郷の蕎麦
そのコシのない蕎麦は江戸っ子にはなかなか受け入れずにいたが、よその店より安い値段で出しているとそれなりに客もついきていた
寡黙な蕎麦屋の主の過去を知る者は少ない
男は元々、この界隈で一家を構える親分の元で博打打ちをしていた博徒
親分が亡くなり男はここが潮時と博打から足を洗い蕎麦屋を始めた
自分の余命に気づき始めたある日、博打場の金を盗んで逃げ込んできた若い男を助けたことから、男に残された日々が騒がしくなって来る
江戸の片隅で命を終えようとしていた男が人生最後の大勝負をかける
弱々しい年老いた蕎麦屋が抱えていた過去や一瞬彩りが見える未来も泡のように消えてしまう現実など、面白かった