
初めて読む作家の作品です
ガラシャの辞世の句
「散りぬべき時しりてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」
装丁の美しい女性のように魅力的な細川ガラシャ
真っ直ぐでいて繊細な心を敢えて茶の湯では使わない瑠璃の椀のようだと千利休に例えられた忠興
粗暴な印象すらあった忠興ですが
利休は彼にこう言います
硬く澄みきっていて、光を浴びて煌めく様はこの上なく美しい。
だが意外と脆く、冷たい水を注がれれば美しく煌めく瑠璃も、熱い湯を注げば儚く割れてしまう。
そしてその破片は、人を深く傷つける
それゆえに、瑠璃は透き通って美しいのです
父である明智光秀の元で素直な愛らしい姫として成長した玉(ガラシャ)と
父である細川幽斎に「細川家のため」と幼い頃から重責を背負わされ愛を知らずに育った忠興
少しずつ分かり合い、歩み寄りながらやっと本当の意味で心が繋がった二人だったが石田三成の挙兵により引き裂かれてしまう
この作品では、玉がキリスト教の洗礼を受けるまでの過程を丁寧に書かれ、またそれを受け入れるまでの忠興の葛藤も読み手の心を打つ文章
苛烈な性格により恐ろしい逸話が多い忠興
玉への愛は、それはそれは深く、玉に対して見下すような言動をした実の妹の顔を殴リ倒す
「よくやった!忠興!」と思うほど(笑)
妻のキリスト教への傾倒を苦々しく思いながらも強く止める事も出来ず、ある時に玉が信者である侍女たちとともに祈りを捧げているのを聞いた忠興はそれが終わるのを待ち部屋へ入り「そなたの祈りの声は美しい」と玉に告げる
消えることのない玉への愛
二人の愛に感動する作品でした
他の登場人物
ムカついたのが、侍女から側室になる藤
心根の悪い女で呆れた
玉がビシッと言い放つ言葉にスカッとする
あと、私の推し「石田三成」が本作では、よろしくないヤツなのだ
しょうがないとは言え、挙兵前に死んでしまえ!と思ってしまう