
古道具屋皆塵堂シリーズ4作目
猫好き(恐らく作者も?)にはたまらない子猫達の可愛さ爆発の回
前半に少し登場人物の説明と今までの展開の説明が入るのでなかなか話が進まない
魚の棒手振りの巳之助、経師屋稲田屋で働く幸七の母親(巳之助の魚を贔屓にしてくれている)から家に籠もってしまった息子の悩みを聞いてやってくれと頼まれる
話を聞くと仕事仲間達が次々と首を括って死んでいて、次はいよいよ自分の番なんじゃないか、と怯えていた
過去に仲間内の虐めを苦にして死んだ男の祟りではないか?
巳之助と幸七は太一郎を連れて、自分の店も閉めて引き籠もる幸七の兄弟子の家を訪ねると霊が見えないようにと真っ暗な部屋の中に蚊帳を吊りガタガタと震えていた
元々、彼らが犯した罪を許し難く思う太一郎は何時になく冷たく手厳しい言動
そして、過去の罪はそう簡単には許されない、こいつはもう手遅れだ、と太一郎はあっさりとその兄弟子を見捨てる
その後、仕返しを心に秘める妹に恨みを胸に生き続けてもいい事にはならないと言い聞かせ田舎へ帰らせる
この章は、こういう諭し方で話を締めくくる優しい展開
巳之助にぶん殴られて目が覚めた繁蔵は、心を入れ替え益次郎の小間物屋で働いている
その繁蔵が観音像に祟られてると言う話が過去への思わぬ話へと繋がる
全てが物の祟りという事はなく、何かを知らせたい、という想いの時だってある、という話
職人の仕事から話を推理していき、繋がりを見つけ解決する
それぞれの話に全て猫が付いてくる
皆塵堂は猫で溢れ、猫嫌いの太一郎は頭から足先まで猫にぶら下げられながら歩く始末
皆塵堂の大家でもある清左衛門の猫の名前の付け方に知性が感じられていい
雷鼓らいこ、野分のわき
春疾風はるはやて、夏木立なつこだち、秋時雨あきしぐれ、冬日和ふゆびより
猫大好きな巳之助は、見た目で名付けるので白猫なら白助とか雄雌全く考えずに名付けてしまう
そして猫を沢山飼って可愛いお嫁さんと暮らしたいと願う巳之助の願いが少しだけ叶ったり
チャラチャラしたいい加減な男の繁蔵が意外と女性相手の商売が向いており上手く客あしらいが出来たり、と日々の生活の話も少し語られる