
「本日も晴天なり鉄砲同心つつじ暦」
梶よう子 集英社
幕末も近付いていている時代の江戸が舞台
鉄砲百人組同心の礫(つぶて)徳右衛門を父に持つ礫丈一郎が主人公の話
もう長いこと戦もないので鉄砲組といっても実際の職務は外張枡形御門下の警備や将軍が増上寺、寛永寺への御成に随行し寺の門前の守備
要は大した仕事は無いわけ😅
で、大久保百人町の広大な敷地でつつじ栽培をして生計を立てている
給金が安いからね~
因みに、根来組は提灯、青山百人町の甲賀組は傘張り、御徒組は朝顔栽培でそれぞれ糊口をしのいでいる
どこも内職無しでは生活できない😅
この人達は戦になれば、騎乗はできない足軽らしい
父親の徳右衛門は鉄砲の腕が良く、まだまだ若い者には負けない
もう56歳になるのだが家督を息子の丈一郎にまだ譲っていない
丈一郎はつつじ栽培の才能があり(父はつつじは全然ダメ)家督を継がずに植木屋にでもなろうか、などと言ったりしている
徳右衛門は伊賀を先祖とする家柄と言うのもあり甲賀組の事を「ふん、傘張りが何を言うかっ!」と言ったり
親戚と口喧嘩をしたりなかなかのトラブルメーカー
親戚である徳右衛門の妻の兄(甲賀だから🤣)とのバトルも笑えます😁
丈一郎は36歳で妻子もあり
この妻(みどり)が気が強くお義父さんにも負けずに口答えしたり
慎重派の丈一郎は押されっぱなし
登場人物のキャラクターが面白くて読んでいて楽しい
ドラマにしたら絶対に当たるだろうな
息子と違い直情型の徳右衛門が1番面白く、息子にはまだまだ負けんぞ!な気持ちが異常に強く
よく掴み合いの喧嘩があり「なにを!かかって来い!」と父が言えば「宜しいのですか?投げ飛ばされても知りませんぞ」みたいな事を言い返す息子
食事中でも、もめ出すと室内で組み合ったりする
残りの家族はさささーっとお膳を隅に避けて「あら、これ美味しい」などとおかずをつまんだり🤭
寺内貫太郎一家みたいよ
物語の内容は時代の大きな変わり目に揺れる武士達が起す企てもあれば、丈一郎の息子(市松)の学友との話では現在に通ずるような虐めやモンスターペアレント問題、親戚との付き合いの
一見、横暴な徳右衛門だけれど実は家族思いで妻への愛情が深い人でもある事が最後の方でわかったりハッピーエンドで終わります
この作家、たまに読んでいたけれど最近では「とむらい屋颯太シリーズ」が面白かったかな